裁判結果についての新聞報道

【目 次】

  1. 日本経済新聞:軍人遺族の請求棄却、「100人斬り」報道訴訟で東京地裁
  2. 読売新聞:「百人斬り」報道、旧軍少尉遺族の損賠請求を棄却
  3. 毎日新聞:中国兵「百人斬り」、原告の請求を棄却 東京地裁
  4. 朝日新聞:元将校遺族の請求を棄却 「百人斬り」訴訟で東京地裁
  5. 産経新聞:将校遺族の請求棄却 「百人斬り」報道訴訟 東京地裁「明白な虚偽と言えぬ」
  6. 産経新聞:「事実なき報道、許すのか」 「百人斬り」訴訟棄却 遺族、父の無念晴らしたい
  7. 産経新聞:【主張】「百人斬り」判決 史実の誤り広げかねない

2005.8.23 日本経済新聞

軍人遺族の請求棄却、「100人斬り」報道訴訟で東京地裁

http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT1G2300X%2023082005&g=K1&d=20050823

第2次大戦中に旧日本軍の少尉2人が中国人の「100人斬(ぎ)り」競争をしたと報じられ、名誉を傷付けられたとして、遺族らが朝日、毎日両新聞社などと著者のジャーナリスト、本多勝一氏に損害賠償や謝罪広告掲載などを求めた訴訟の判決で、東京地裁(土肥章大裁判長)は23日、請求をすべて棄却した。

訴えていたのは、旧日本軍片桐部隊の向井敏明、野田毅両少尉の遺族3人。

訴えによると、東京日日新聞(現毎日新聞)は1937年、両少尉が中国・南京に向かう前線で、切り殺した中国兵の数を競い合っているとの記事を4回にわたり掲載。これが基になり、2人は南京軍事裁判で死刑宣告を受け、48年に処刑された。

一方、本多氏は71年、朝日新聞に100人斬りが真実だったとする記事を執筆したほか、朝日新聞社や柏書房(東京・文京)から出版した「中国の旅」など計3冊の著書にも同様の内容を記載した。 (13:00)

2005.8.23 読売新聞

「百人斬り」報道、旧軍少尉遺族の損賠請求を棄却

http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20050823it04.htm

1937年に旧日本軍が中国の南京へ侵攻した際、2人の少尉が中国兵を競って切り倒す「百人斬(ぎ)り競争」を行ったとする記事で名誉を傷付けられたとして、少尉の遺族が毎日新聞社(当時の東京日日新聞)、朝日新聞社、柏書房の3社と、本多勝一・元朝日新聞編集委員に計3600万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が23日、東京地裁であった。

土肥章大裁判長は「真偽について見解が分かれ、歴史的事実としての評価は定まっておらず、明白な虚偽とは認められない」と述べ、請求を棄却した。原告は控訴する方針。

原告は、「百人斬り」などでの虐殺を理由に、47年の南京軍事裁判で死刑となった向井敏明少尉と野田毅少尉の遺族3人。

判決は、初めて百人斬りを報道した東京日日新聞の記事について、<1>2人が記者に話したことが契機となった<2>1人は報道後、百人斬りを認める発言をしたことがうかがわれる――などの点から、「虚偽、誇張が含まれている可能性が全くないとはいえないが、記者の創作とまで認めるのは困難」と判断した。

判決などによると、同新聞は37年、4回にわたり、南京侵攻中の両少尉が、どちらが先に中国兵100人を切り倒せるか競争していたなどと報じた。

本多氏は71年、朝日新聞に、百人斬りを事実とする中国人の証言を含む記事を載せ、単行本の「中国の旅」(朝日新聞社刊)にも収録。本多氏らが執筆し、柏書房が出版した「南京大虐殺否定論13のウソ」も、百人斬りが事実だったと記述した。

(2005年8月23日12時47分 読売新聞)

2005.8.23毎日新聞

中国兵「百人斬り」:原告の請求を棄却 東京地裁

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20050823k0000e040055000c.html

1937年に中国兵の「百人斬(ぎ)り競争」をしたと報じられ、戦後に処刑された旧日本軍将校2人の遺族が「虚偽の報道で名誉を傷つけられた」として、毎日新聞社と朝日新聞社、柏書房、ジャーナリストの本多勝一氏に計3600万円の損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁(土肥章大裁判長)は23日、原告の請求を棄却した。

判決などによると、東京日日新聞(現毎日新聞)は37年11〜12月、南京へ向かう途中に2人が競って中国兵を切り倒す「百人斬り」をしたと報道。本多氏は朝日新聞社発行の著書「中国の旅」(81年)や柏書房から発行した共著「南京大虐殺否定論13のウソ」(99年)などで「百人斬り」に言及した。原告は「戦意高揚のため創作された虚偽の記事や記載で、遺族として名誉を傷つけられた」と主張していた。

土肥裁判長は、記事は2人が記者に「百人斬り」の話をしたことが契機となっていることや、百人斬りの真否が歴史的事実として定まっていないことなどから「虚偽であるとまでは認められない」と判断。さらに、毎日新聞社については、提訴が記事掲載から20年を超えていることから、損害賠償請求権が消滅する除斥期間を経過したと認定した。【井崎憲】

▽毎日新聞社社長室広報担当の話 当社の主張が認められたものと理解しています。

毎日新聞 2005年8月23日 12時06分

2005.8.23朝日新聞

元将校遺族の請求を棄却 「百人斬り」訴訟で東京地裁

http://www.asahi.com/national/update/0823/TKY200508230181.html

旧日本軍の将校2人が戦時中の1937年に中国で「百人斬(ぎ)り競争」をしたとする当時の新聞報道や、のちにこの問題を扱った書籍をめぐり、遺族が「虚偽の事実を書かれ、名誉を傷つけられた」などとして、朝日、毎日両新聞社と本多勝一・元朝日新聞記者らを相手に出版差し止めや謝罪広告の掲載、計3600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、東京地裁であった。土肥章大(どい・あきお)裁判長は請求をすべて棄却した。

当時少尉だった将校2人の遺族が03年4月に提訴。37年当時、両少尉が中国人を日本刀で殺害した人数を競う「百人斬り競争」をしたと報じた東京日日新聞(現・毎日新聞)の記事と、本多氏が執筆し、朝日新聞社が出版した書籍「中国の旅」と「南京への道」の記述などを問題とした。

原告側の「死者への敬愛追慕の情を侵害した」との主張について、判決は「表現行為が違法となるのは『一見して明白に虚偽』である場合」との基準を示したうえで、記事は「両少尉が記者に百人斬り競争の話をしたことがきっかけで掲載された」などと認定。「本多氏が論拠とした関係者の著述なども一概に虚偽とは言えない」などとして、書籍の記述が「一見して明白に虚偽だとはいえない」と判断した。

原告側の「死者や遺族の名誉を棄損した」との主張についても、「死亡によって名誉などの人格権は消滅する」「記述は遺族の生活状況などについて言及していない」などとして退けた。

〈原告側代理人の話〉 明白に虚偽だとの証明を原告に求める不当な判決。控訴して争いたい。

〈朝日新聞社広報部の話〉 当社の主張を認めた判決と受け止めています。

2005.8.23産経新聞

将校遺族の請求棄却 「百人斬り」報道訴訟
東京地裁「明白な虚偽と言えぬ」

http://www.sankei.co.jp/news/evening/24iti002.htm

昭和十二年の南京攻略戦で旧日本軍の二将校が日本刀で「百人斬り」を行ったとする事実無根の報道で名誉を傷つけられたとして、遺族が毎日、朝日両新聞社と本多勝一朝日新聞元編集委員らに謝罪広告の掲載や出版の差し止め、計三千六百万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は二十三日、「当時の記事内容が一見して、明白に虚偽であるとまでは認められない」として遺族側の請求を棄却した。遺族側は判決を不服として、控訴する方針。

土肥章大裁判長は判決で「記事は二将校が東京日日の記者に百人斬り競争の話をしたことをきっかけに連載され、報道後に将校が百人斬りを認める発言を行っていたこともうかがわれる」と指摘。その上で「虚偽、誇張が含まれている可能性が全くないとは言えないが、何ら事実に基づかない新聞記者の創作とまで認めるのは困難」と判決理由を述べた。

「百人斬り」の真偽については、「さまざまな見解があり、歴史的事実としての評価は定まっていない」とした。

判決などによると、東京日日新聞(現毎日新聞)は十二年、四回にわたり、野田毅、向井敏明両少尉が前線でどちらが先に百人斬れるか競争しているとの記事を実名入りで掲載。両少尉は戦後、この記事を証拠として南京軍事法廷で銃殺刑に処せられた。朝日新聞や本多氏らは四十六年以降、「百人斬り」が「真実」と報じ、同様の記述のある本を出版した。

遺族側は訴訟の中で、「『百人斬り』は戦意高揚のための作り話。人格権を侵害された」と訴えてきた。

これに対し毎日新聞社は「報道時、二少尉は記事で英雄視された。戦闘中の出来事を適正に取材し報じた」などと反論。朝日新聞社は「捕虜や民間人の虐殺があったのは真実で名誉棄損には当たらない」、本多氏は「二少尉は東京日日の記事に同意しており、違法性はない」と主張していた。

≪毎日新聞社社長室広報担当の話≫ 「当社の主張が認められたものと理解しています」

≪朝日新聞広報部の話≫ 「当社の主張を認めた判決と受け止めています」

≪本多勝一氏の話≫ 「当然の結果。この歴史的事実がますます固められたというべきだ」

2005.8.23産経新聞

「事実なき報道、許すのか」 「百人斬り」訴訟棄却
遺族、父の無念晴らしたい

http://www.sankei.co.jp/news/evening/24nat002.htm

「いくら表現の自由があるといっても、あり得ない事実を報道することがジャーナリストとして許されるのか」。「百人斬り」の責任を問われて処刑された向井敏明少尉の二女、田所千恵子さん(64)=千葉県成田市=は二十三日、謝罪広告掲載などの請求が棄却された判決後の会見で、憤りを語った。

田所さんは会見で「『百人斬り』はなかったと確信している。明確にされなかったことが残念」と苦渋の表情。ただ「多くの激励でここまできた。感謝です」と前向きな姿勢をみせた。

田所さんは、父の遺言状を持参して判決に臨んだ。「私の事は世界も正しく見てくれる日も来ます。世間様にも正しく知らせて下さい」−。中国の獄中から家族にあてられたもので、B4判のわら半紙に十五枚、家族への思いがつづられている。「父の願いを果たすことができず残念です」と唇をかんだ。

田所さんは中学時代に「戦犯の子」と呼ばれるなど、苦痛を受けてきた。ただ、「百人斬り」もいつかは忘れ去られるだろうという淡い期待があった。

だが昭和四十六年、本多勝一氏が朝日新聞の連載で紹介すると、定期的にメディアなどで取り上げられるように。百人斬りを事実とする出版物も刊行され、「史実」として授業に取り上げる学校も出てきたという。

消え去るどころか、ますますクローズアップされる父の汚名。「職場でも、みんな腫れ物に触るように私に接するようになった」。そんな中、無念を晴らすのが娘の使命だと思い、今回の訴訟に踏み切った。

判決では主張が認められなかったが、「まだ先がある」と気を取り直す。「日本が戦時中に中国で行ったとされる“蛮行”がどれほど間違いなのか、明らかにしなくては」。訴訟でも控訴する方針で、父の汚名をはらすつもりだ。

≪同僚カメラマン「作り話」を証言 疑問残る事実認定≫

南京攻略の際に二人の旧日本陸軍将校が「百人斬り」を競ったとする報道が争われた訴訟で、東京地裁の判決は、「当時の記述が明白に虚偽とはいえない」としたが、「百人斬り」が極めて疑わしいことは多くの識者が指摘してきた。

南京攻略戦は銃撃戦が主で、日本刀による“殺人ゲーム”は起こり得なかったとされる。また、野田毅少尉は大隊副官、向井敏明少尉は歩兵砲小隊長で、白兵戦に参加することはあり得ず、日本刀で百人斬ることも不可能とされている。

両少尉は戦後の南京軍事法廷にかけられ、一貫して無実を訴えた。両少尉の弁護を行った中国人弁護士は、東京日日新聞記者が「この記事は、記者が実際に目撃したものではない」と明言していることや、その他の目撃者、遺体などの証拠が皆無であることを主張したが、法廷は新聞記事を唯一の証拠に銃殺刑を言い渡した。

これに疑問を持ったノンフィクション作家の鈴木明氏は「『南京大虐殺』のまぼろし」で克明な検証の結果、冤罪(えんざい)を指摘し、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。

記事を書いた東京日日新聞の記者は死去したが、同僚カメラマンは産経新聞の取材などに「あれは戦意高揚のための作り話だった」と明らかにし、今回の訴訟でも高齢をおして同様の証言を行っている。

産経記事をいっぱい引用したのには訳があります。ほかに原告側の論評がないからです。加えて、 これを疑問詞として判決文を読むと、判決および歴史的事実の読み取りがいっそう進むのではないか、と思ったからです。

2005.8.24産経新聞

【主張】「百人斬り」判決 史実の誤り広げかねない

南京で旧日本軍の将校二人が「百人斬(ぎ)り」を行ったとする報道の真偽が問われた訴訟で、東京地裁は「明白に虚偽であるとは認められない」として、「事実無根」とする元将校の遺族の訴えを全面的に退けた。史実の誤りを増幅させかねない判決といえる。

問題とされた報道は、最初に「百人斬り」を報じた昭和十二年の東京日日新聞(現毎日新聞)の記事と、昭和四十六年にそれを再び報じた朝日新聞の連載記事(中国の旅)である。

東京地裁は「記事に虚偽、誇張が含まれている可能性が全くないとはいえないが、新聞記者の創作とまで認めるのは困難」「現在までさまざまな見解があり、歴史的事実としての評価は定まっていない」とした。

しかし、朝日の連載記事が書かれた後、ノンフィクション作家の鈴木明氏は元将校の遺族らを取材し、その結果をまとめた著書『「南京大虐殺」のまぼろし』(大宅賞受賞作)で、「百人斬り」報道に疑問を提起した。東京日日新聞の記事に載った将校二人の写真を撮った元毎日新聞カメラマンも「戦意高揚のための記事で、あり得ない話だ」と証言している。

また、毎日新聞が平成元年に発行した昭和史年鑑『昭和史全記録』は「百人斬りは事実無根」と自社の戦前の報道を否定した。米国にも「百人斬りは捏造(ねつぞう)」とする学術論文がある。

「百人斬り」報道の信憑(しんぴょう)性を否定する反証は、十分に示されてきた。東京地裁の判決は、こうした最近の実証的な調査研究や当事者の証言をほとんど考慮に入れていない。元将校の遺族は控訴する方針で、控訴審での新たな判断が待たれる。

「百人斬り」の責任を問われた元将校二人は戦後、中国・南京の軍事法廷で無実を訴えたが、東京日日新聞の記事を根拠に死刑を宣告され、処刑された。現在も、「百人斬り」は中国が一方的に主張する「南京大虐殺(三十万人以上)」の象徴的な出来事として宣伝されている。日本の教育現場でも、しばしば蒸し返されている。

判決結果にかかわらず、「百人斬り」が冤罪(えんざい)だったことは疑いの余地がない。朝日、毎日両紙は訴訟の法的な問題とは別に、報道機関として自らの報道を謙虚に反省すべきである。

「判決結果にかかわらず、『百人斬り』が冤罪(えんざい)だったことは疑いの余地がない。」 とは凄いですね。こういう論調が昨今では人気を集めるのでしょうか?

《 お願い 》 この産経の主張が裁判を反映しているのかいないのか、どなたか、判決文を引用しながら中学生にも分かる論考を書いてくださらないでしょうか?

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