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《事実の適示か論評か、その検討基準》
事実及び理由
本件各書籍の記載が事実を摘示するものであるか,意見ないし論評の表明であるかを区別し,さらに,本件各書籍の記載がどのような事実を摘示し,又はどのような意見ないし論評を表明しているものであるかを理解するためには,一般読者の普通の注意と読み方とを基準とし,当該名誉毀損の成否が問題となっている部分に使用されている語の通常の意味に従って理解した場合に,証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項を主張していると解することができるかどうかを基準とすべきであり,対象部分が修辞上の誇張ないし強調を行ったり,比楡的表現を用い,あるいは,第三者からの伝聞内容の紹介や推論の形式を採用しているとしても,当該部分の前後の文脈や,その公表当時に一般読者が有していた知識ないし経験等の事情を総合的に考慮して判断すると,間接,婉曲的にであっても,証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項を主張していると理解されるものであるときには,当該部分は事実を摘示するものと認めるのが相当である。
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