茨城県神栖町における汚染メカニズム解明のための
調査中間報告書  追補版

平成17年9月
環 境 省
国内における毒ガス弾等に関する総合調査検討会

原文は http://www.env.go.jp/chemi/report/h17-11/index.html

 

まえがき

本書は、平成17年6月に公表した「茨城県神栖町における汚染メカニズム解明のための調査 中間報告書」について、@平成17年7月に掘削エリア(東西24m×南北12m)の土留め矢板西端の外側部に おいて追加の掘削調査を実施した結果の追記、A(財)化学物質評価研究機構からの化学剤関連化合物分析結果の最終報告書の提出を受けて、ジフェニルアルシン酸等の分析結果のデータ修正の反映、を行い、中 間報告書の追補版としてとりまとめたものである。なお、中間報告書からの追加、修正内容は、以下の通りである。

追補版目次


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追補版 目 次
追 補 版    中間報告書の該当個所    摘 要
1. 掘削作業全般 1 頁    3.1 掘削作業全般 3-1 頁    掘削エリア西端外側部での掘削調査を追記
1.1 掘削調査作業手順の概要 2 頁    3.1.1 掘削調査作業手順の概要 3-2 頁
1.2 掘削作業の実施状況 3 頁    3.1.2 掘削作業の実施状況 3-3 頁    西端外側部の掘削について追記、写真追加(コア抜き写真の日付訂正)
2. コンクリート様の塊 4 頁    3.2 コンクリート様の塊 3-5 頁    西端外側部の塊について追記、写真追加 ジフェニルアルシン酸最大濃度の値修正(4,900mg/kg→4,800mg/kg)
図2.1 コンクリート様の塊の分布状況 5 頁    図3.2.1 コンクリート様の塊の分布状況 3-6 頁    西端外側部の塊について図、写真追加
2.1 コンクリート様塊の総ヒ素分析結果 6 頁    3.2.1 塊中のジフェニルアルシン酸、総ヒ素等の分析結果 2)コンクリート様塊の総ヒ素分析結果 3-8 頁    西端外側部の塊について追記
2.2 化学剤関連化合物分析結果 8 頁    3)化学剤関連化合物分析結果 3-12 頁    西端外側部の塊について追記、ジフェニルアルシン酸最大濃度の値修正(4,900mg/kg→4,800mg/kg)、ビス(ジフェニルアルシン)オキシド溶出量定量下限値修正
2.3 コンクリート様の塊中に元々存在していたヒ素総量、ジフェニルアルシン酸総量の推計9 頁    4)コンクリート様の塊中に元々存在していたヒ素総量、ジフェニルアルシン酸総量の推計 3-13 頁    西端外側部の塊分合算、ジフェニルアルシン酸最大濃度の値修正(4,900mg/kg→4,800mg/kg)
2.4 コンクリート様の塊の中から発見された缶、瓶等10 頁    3.2.2 コンクリート様の塊の中から発見された缶、瓶等 3-14 頁    西端外側部を図に追加
2.5 コンクリート様の塊の白色物質、赤色物質等分析結果 12 頁    3.2.3 コンクリート様の塊の鉱物組成及び白色物質、赤色物質等 分析結果・コンクリート様塊中の赤色物・T−3下側塊中のガラス瓶の白色粉・化学剤分析結果 3-23、24 頁    化学剤分析結果の値の修正、ビス(ジフェニルアルシン)オキシド溶出量定量下限値修正
3. 掘削調査の際に発見された異物 13 頁    3.3 掘削調査の際に発見された異物 3-33 頁    西端外側部について追記
3.1 飲料用空缶等 14 頁    3.3.1 飲料用空缶等 3-34 頁    〃
4. 掘削現場の土壌の汚染状況 15 頁    3.4 掘削現場の土壌の汚染状況 3-37 頁    〃
4.1 掘削土壌量 15 頁    3.4.1 掘削土壌量 3-37 頁    〃
4.2 土壌総ヒ素分析結果 16 頁    3.4.2 土壌総ヒ素分析結果 3-38 頁    〃
4.3 土壌化学剤関連化合物 19 頁    3.4.3 土壌化学剤関連化合物 3-40 頁    化学剤分析結果の値の修正、西端外側部について追記、
5. 地下水モニタリング 22 頁    3.7 地下水モニタリング 3-89 頁
5.1 地下水位測定結果 22 頁    3.7.1 地下水位測定結果 3-89 頁    7 月末までのデータ追記
5.2 地下水総ヒ素等分析結果 23 頁    3.7.2 地下水総ヒ素等分析結果 3-90 頁    〃
6. コンクリート様の塊の性状・投入方法 25 頁    8.1.1 コンクリート様の塊の性状・投入方法 8-1 頁    ジフェニルアルシン酸最大濃度および量修正( 4,900mg/kg →4,800mg/kg)
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1. 掘削作業全般

汚染源が存在する可能性の高いA 井戸の南東90m 地点のNO.123 調査孔を含む東西方向24m×南北 方向12m×深さ4m の範囲について掘削調査を実施した。
図1.1 に掘削現場の平面および断面の概略図と南側から俯瞰した写真を示す。

  1. 1)表層1mの範囲は、全面的に比較的清浄な土壌であったが、汚染源が存在する可能性が高いと予想され た南北2m×東西2mのトレンチ掘削部の深さ2.1m付近にてまずコンクリート様の塊が発見され、高濃度 のジフェニルアルシン酸が確認された。さらにその後の掘削により掘削エリア面積のほぼ半分、深さ 1.5mから3.5mの範囲にまでコンクリート様の塊が大きく広がっていることが確認された。
  2. 掘削土壌中には、コンクリート様の塊以外に木片、コンクリートガラ、金属片、飲料用空き缶などが 含まれていた。またコンクリート様の塊の付近においては、コンクリート様の塊と同種の多くの小塊、 小片が含まれていた。
  3. 当初は、掘削調査範囲全体を4mまで掘削する予定であったが、コンクリート様の塊がこの地点の汚染 源である可能性が高いことや、コンクリート様の塊周辺に汚染が集中していることから、コンクリー ト様の塊およびその周辺のみを4mまで掘り下げ、その他の部分は深さ2.5mまでの掘削とした。
  4. 掘り下げた部分に溜まった地下水を抜いて、GL-4m付近の水面下の底面に沈んでいる汚染土壌の除去 を行った。
  5. 仮設テントの外東側において過去の土地改変履歴の確認のためのボーリング調査を行った。
  6. 化学剤関連化合物としては、ジフェニルアルシン酸等が検出されているが、マスタードガス、ルイサ イトおよびジフェニルクロロアルシン、ジフェニルシアノアルシン等の毒ガス成分は、全く検出され なかった。
  7. 掘削エリア(東西24m×南北12m)の西端部で発見されたコンクリート様の塊が西側の土留め矢板の 外側にまで拡がっている可能性があるため、掘削エリアを深さ2mまで埋め戻し後、矢板の西端外側3m の位置まで東西3m×南北12mの範囲について追加の掘削調査を実施した。西端部で発見されていたコ ンクリート様の塊と連続する形で同様の塊が確認され、また、この塊より北側のさらに深いところか らも別のコンクリート様の塊が確認された。

図1.1 掘削現場の平面・断面模式図および写真

図1.1 掘削現場の平面・断面模式図および写真


1.1 掘削調査作業手順の概要

1)準備工事
  1. まず調査ヤード全域について、水平磁気探査とレーダー探査を地表面に対して行う。
  2. 掘削エリア周囲の土留め打設位置の深さ1.0m から深さ11.5m の範囲に対して鉛直磁気探査及びガス 検知を行った後、土留め矢板を打設する。その後、二重の仮設テント、排気除染装置設置等の準備工 事を行う。
2)掘削作業
  1. 表層より深さ0.5m ずつ深さ4m まで8 層に分けて掘削する。
  2. 本掘削に先行し、汚染源が存在する可能性が高い南北2m×東西2m×深さ3.5m について深さ0.5m ず つ7 層に分けてトレンチ掘削を行う。
  3. 深さ1.0m、2.0m、3.0m、4.0m においてレーダー探査及び金属探査を行うとともに、深さ0.5m ずつの 新たな掘削面に対してガス検知を実施する。
  4. 掘削した土壌は、約100mm 以上の大型物を篩い分けし、目視にて土壌以外のもの(プラスチック片、 金属くずなど)の混入がある場合には、それを選別した上でフレコンバックに詰める。
  5. フレコンバック詰めは、トレンチ掘削部分については、深さ0.5m ごとの各層を一単位(T1 からT7 ま でぞれぞれが1 単位)としてフレコンバックに詰める。本掘削部分については、深さ0.5m ごとに各 層を東西に二分してそれぞれ1単位(次項のaA からcC までの9 ブロックが1単位、aD からcF まで の9 ブロックが1 単位)としてフレコンバックに詰める。
3)掘削エリアの識別記号(図1.2 参照)
  1. 掘削エリア(南北12m×東西24m)を4m メッシュで南北方向3列×東西方向6列に分け、各メッシュ を北から南にa、b、c、西から東にA、B、C、D、E、F とし、深さ方向は表層から0.5m ごとに4m まで 1、2、・・・8 として識別符号を付するものとする:例bB3
  2. トレンチ掘削部は、T とし、深さ方向に表層から0.5m ごとに3.5m までT1、T2、・・・T7 とする。
4)土壌サンプリングおよび分析
  1. 土壌サンプリング(図1.2 参照)

    本掘削部分(12m×24m)については、4m メッシュごと、深さ0.5m ごとに掘削面表層より10cm 程度ま での深さの土壌を採取する。4m メッシュ内の4 点から採取し、風乾はせずに4 点分を均等混合して1 検体を得る。得られた検体は、北西方向を1 とし時計回りに4 まで枝番号を付け識別する(例:bB3 −3)。トレンチ掘削部分の中心(2m×2m)については、1m メッシュに区切って均質に土壌をサンプリング して1検体を得る。標識記号は、北西方向を1 とし時計回りに4 まで枝番号をつける(例:T6-4)。

  2. 土壌分析
    1. 総ヒ素分析
      上記@の全検体(144+28=合計172 検体)について、総ヒ素の含有量及び溶出量を分析する。
    2. 2.毒ガス関連物質の分析
      本掘削部分の検体を同一深さごとに東西に二分して9検体ずつ混合した16 検体(2 検体×8 層)及 びトレンチ掘削部分の28 検体の合計44 検体について、毒ガス関連物質の含有量試験(マスタード、 ルイサイト、あか剤等及びその分解生成物)及び溶出試験(あか剤及びその分解生成物のみ)を行う。
5)その他

掘削エリアのすぐ北に設置した3 カ所のモニタリング井戸からは、矢板打設前に1 回、以降掘削開始ま では1 週間ごとに1 回、掘削開始後は毎日(掘削作業の無い日を除く)、深さ8m から採水して総ヒ素の分 析を行うとともに水位の連続測定を行う。 また、掘削調査開始後、3 カ所のモニタリング井戸で1 週間に1 回、深さ8m から採水してジフェニル アルシン酸等の分析を行う。

図1.2 掘削手順の平面・断面模式図

図1.2 掘削手順の平面・断面模式図


1.2 掘削作業の実施状況

掘削作業は、下記のようなスケジュールによって行った。図1.3 に掘削作業中の写真 を示す。


2. コンクリート様の塊

南東90m 地点の掘削調査にて発見されたコンクリート様の塊から高濃度のジフェニルアルシン酸 が検出された。この塊中のジフェニルアルシン酸、ヒ素濃度等を調べることで、塊自体の物性、性 状を明らかにする。

  1. 中央部の大きな塊(東西10m×南北8m×厚さ2m、塊T)と西側(東西1.5m×南北4m×厚さ2m、塊U)と北 側(東西2m×南北1m×厚さ50cm、塊V)の計3 つの大きなコンクリート様の塊が当初発見された( 11) 項参照)。これらは同一層準において発見された。またこれらの大きな塊の付近からは、多くの小塊、 小片も土壌に含まれ掘削されている。3つの大きな塊と多くの小塊、小片も含めると、コンクリート 様の塊の量は約52 トンと推計された。図2.1 にコンクリート様の塊の分布状況を示す。
  2. 塊から採取したコアからは、塊Tの上部から含有量で、最大4,800mg/kg(ヒ素換算値)のジフェニ ルアルシン酸および最大11,000mg/kg(可搬式蛍光X線分析装置による)の総ヒ素が検出された。
  3. 化学剤関連化合物としては、毒ガス成分は全く検出されていない。またジフェニルアルシン酸以外に 若干のフェニルアルソン酸、ビス(ジフェニルアルシン)オキシド、トリフェニルアルシンが検出さ れているが、これらは、ジフェニルアルシン酸製造時の副生成物として微量に含まれているものなど と考えられる。
  4. 4)塊の内部は均質でなくコンクリート様の層の間に粘土が数十センチ程度挟まれているようなと ころもある。塊の下部の粘性土中にも比較的高濃度のヒ素が検出されている。さらに下部の深 さ3.5m 程度になると細〜中粒砂が主体となりヒ素濃度は低くなる。
  5. 面分析結果によると塊中のヒ素の分布は一様でなく、局所的な高濃度部が点在し、偏りがみら れる。
  6. コンクリート様の塊には、50%程度の雑多な礫が含まれ、さらに通常のセメントコンクリート 片、アスファルトコンクリート片、貝殻、木片、針金、ビニール等の廃棄物も含まれていた。 また全体に1〜5mm の空隙があり脆い。
  7. コンクリート様の塊のセメントペースト部分の分析結果によると通常のセメントに比較し、カ ルシウム分が少なくまた鉄分が多い傾向が認められた。
  8. コンクリート様の塊の内部に白色物及び赤色物が点在しており高濃度のヒ素の含有が検出され た。さらに高濃度のジフェニルアルシン酸が含まれる白色粉末の入ったガラス瓶も塊中から取 り出されている。
  9. 組成分析結果等から、コンクリート様の塊は土壌および雑多な礫、廃棄物が混ざった粗雑なコ ンクリートであり、コンクリート様の塊の内部にあった白色物は、セメントと石灰成分の混合 物、赤色物の主成分は水酸化鉄であり、ガラス瓶中の白色粉も石灰とセメントの混合物である と考えられる。
  10. コンクリート様の塊内部から3 個の飲料用空き缶が発見回収された。塊Tからは、1993 年6 月 28 日の製造年月日が確認できる缶が塊の解砕作業時に発見された。塊Vからは、製造年月日は 確認できないがデザインより1989 年から1993 年6 月の間に製造された可能性の高い缶が発見 され、塊Tには、コア抜き作業によりカットされているため詳細不明はであるが飲料用缶が内 包されていた。
  11. 掘削エリア西端部で発見されたコンクリート様の塊(塊U)が西側の土留め矢板の外側にまで 拡がっている可能性があるため、矢板西端の外側部において追加のボーリング調査行い、その 結果に基づき、西端より外側3m の位置まで追加掘削を実施した(掘削エリアを深さ2m まで埋 め戻し後の平成17 年7 月6 日〜13 日に実施)。掘削深さは、地下水位以上の深さ約3.1m まで とした。

    西端部の塊Uと連続する形で同様の塊(東西2m ×南北5m ×厚さ1.5m、塊U-A)が確認され た。また、この塊より北側のさらに深いところからもコンクリート様の塊(東西1.5m ×南北 3.5m ×厚さ0.4m、塊W)が確認された。(図2.1 参照)。これまでに撤去した塊や、塊以外に 発見された小片を含めたコンクリート様の塊の総重量は、約87 トンとなった。
  12. コンクリート様の塊の状況としては、塊Wは従来のものとほぼ同様のものであったが、塊U-A については従来のものに比較し、非常に脆くセメント成分が少ない塊と思われる。
  13. ジフェニルアルシン酸の含有量分析結果の最大値4,800mg/kg(ヒ素換算値)が当初のコンクリート 様の塊全体に含まれていたと仮定し、投入された当初のジフェニルアルシン酸の総量を推計する と290kg となった。



2.1 コンクリート様塊の総ヒ素分析結果

コアサンプルの総ヒ素の分析結果(可搬式蛍光X線分析装置による)を表2.1 に、コアの採取位置を 図2.2 に示す。 西端外側コンクリート様塊(破砕除去したものより無作為に採取)の分析結果を表2.2 に示す。







2.2 化学剤関連化合物分析結果




2.3 コンクリート様の塊中に元々存在していたヒ素総量、ジフェニルアルシン酸総量の 推計

コンクリート様の塊より最高11,000mg/kg の総ヒ素、最高4,800mg-As/kg-wet のジフェニルアルシン酸 が検出されている。投入された当初のコンクリート様の塊中の濃度をこの値と仮定し、元々存在していた 総量(最大値)を推計する。

掘削時の計量データよりコンクリート様の塊の総質量を以下のように推計した。大きな塊以外の小塊、 小片については、表備考欄の仮定により推計した。

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表2.4 コンクリート様の塊の質量推計結果
コンクリート様塊 質量 (kg) 備 考
塊T 20,280
塊U 5,600
塊V 970
GL-2.5m 以深掘削時の粗大物 2,920
GL-1m 以深の小塊、小片 14,280 掘削粗大物の1/2 と仮定
GL-1m 以深の土壌中の小片 8,290 掘削土量の1%と仮定
塊U−A 27,760
塊W 6,520
総 計 86,620
====文字プール====



また分析は、2mm 以上の骨材成分を除去した上で行っているため、骨材成分の割合を30%とすると、

正味の対象成分 = 86,620kg×(1−0.3) = 60,630kg

元の総ヒ素濃度を11,000mg/kg、含水率20%として、

総ヒ素総量 = 60,630kg ×(1-0.2)× 11,000mg/kg =530kg-As

ジフェニルアルシン酸(DPAA)濃度を4,800mg/kg-wet(ヒ素換算値)として、

DPAA 総量=60,630kg × 4,800mg/kg =290kg-DPAA(ヒ素換算値)
                        =1020kg-DPAA


2.4 コンクリート様の塊の中から発見された缶、瓶等










3. 掘削調査の際に発見された異物

コンクリート様塊以外に土壌中又はコンクリート様の塊の中に含まれていた異物を整理し、埋め 戻し方法等に関する情報を得る。

  1. 掘削土壌中には、コンクリート様塊以外に多くの木片、コンクリートガラ、金属片、飲料用空き缶な どが含まれていた。
  2. 数十の飲料用空き缶が発見回収されており、その製造年月はほとんどが1993 年のものであった。西 端外側にて掘削した土壌の中からも同様の4個の飲料用缶が発見された。
  3. 全体としては、建設系廃棄物が混じった土のように見える。
  4. 木片、コンクリートガラ、金属片等の量は、合計で数トン程度である。



4. 掘削現場の土壌の汚染状況

総ヒ素と化学剤関連化合物の含有量・溶出量を分析し掘削エリアの土壌の汚染状況を把握した。

  1. 表面より深さ1.5mまでは比較的汚染濃度は低いが、1.5m以深でコンクリート様の塊が発見された個 所周辺では土壌の汚染濃度が高くなっている。
  2. 東側3分の1のエリアの汚染は低い。
  3. 化学剤関連化合物としては、マスタードガス、ルイサイトおよびジフェニルクロロアルシン、ジフ ェニルシアノアルシン等の毒ガス成分は、全く検出されなかった。また、ジフェニルアルシン酸を 主体に若干のフェニルアルソン酸、ビス(ジフェニルアルシン)オキシド、トリフェニルアルシン が検出されている。
  4. 掘削土壌中には、コンクリート様の塊以外に多くの廃木に加え、木片、コンクリートガラ、金属片、 飲料用空き缶が含まれていた(3.項参照)。
  5. 総計で約1900トンの汚染土壌と100トンの粗大物(コンクリート様の塊、木片等)が発生した。

4.1 掘削土壌量


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表4.1 掘削土壌量一覧表
土壌粗大物
合計重量kg 合計重量kg
処理前袋数
69 H16.12.25〜27 79,130 1,590
小計79,130 1,590
トレンチT1 (±0〜-0.5m) H16.12.24〜25 37,140 少量(土留めに含む)
トレンチT2 (-0.5〜-1m) H16.12.26〜27 31,220 160
トレンチT3 (-1〜-1.5m) H16.12.28 27,950 2,970
  トレンチT4 (-1.5〜-2m) H17.1.5 22,860 3,610
  トレンチT5 (-2〜-2.5m) H17.1.7、11 5,960 120
 本掘削東側1層目(E1) (±0〜-0.5m) H17.1.8〜9 94,690
 本掘削西側1層目(W1) (±0〜-0.5m) H17.1.9〜11 137,560
 本掘削東側2層目(E2) (-0.5〜-1m) H17.1.12〜13 91,090 −
 本掘削トレンチ東側延長3層目(E3) (-1〜-1.5m) H17.1.13 33,190 570
 本掘削トレンチ東側延長4、5層目(E4、5) (-1.5〜-2m) H17.1.14 41,850 630
 塊T周辺(-0.5〜-3m) H17.1.14〜15 77,950 4,110
 本掘削西側2層目(W2) (-0.5〜-1m) H17.1.15、17〜18 114,400 5,590
 本掘削西側3層目(W3) (-1〜-1.5m) H17.1.19〜20 93,480 3,780
 本掘削東側3層目(E3) (-1〜-1.5m) H17.1.20〜21 56,100 1,500
 本掘削東側4層目(E4) (-1.5〜-2m) H17.1.26〜27 75,100 2,970
 本掘削西側4層目(W4) (-1.5〜-2m) H17.1.27〜28 112,790 3,720
 本掘削東側5層目(E5) (-2〜-2.5m) H17.1.31〜H17.2.1 78,010 1,500
 本掘削西側5層目(W5) (-2〜-2.5m) H17.2.1〜2 106,350 3,080
小計1,237,690 35,000
 塊V−1 H17.2.9 − 970
 塊U−1 H17.2.22〜23 − 5,600
 塊T−2 H17.2.23 − 4,740
 塊T−3上部H17.2.23 − 3,190
 塊T−1 H17.2.25〜26 − 6,440
 塊T−3下部H17.2.25 − 5,910
 塊U−1周辺土壌H17.2.22〜23 18,020 −
 塊周辺土壌H17.2.23 31,440 −
 塊周辺土壌H17.2.25 6450 −
 塊周辺土壌H17.2.26 41,070 −
小計96,980 26,850
 @ブロック水面下掘削H17.3.1 38,970 2,140
 @Aブロック水面下掘削H17.3.2〜3 36,650 780
H17.3.2〜3
H17.3.24
 Bブロック水面下掘削H17.4.6 73,490 −
 ABブロック水面下掘削H17.3.2〜3、H17.4.6 69,260 −
 Dブロック掘削(-2.5〜3m) H17.6.29 43,000 −
小計331,940 2,920
 西上4 H17.7.6 26,250 −
 西上3 H17.7.6〜7 31,230 −
 西上2 H17.7.7 28,300 −
 西上1 H17.7.7〜8 28,610 −
 西下4 H17.7.11 17,560 −
 西下3 H17.7.11 2,520 −
 西下2 H17.7.11〜12 24,930 −
 西下1 H17.7.12 28,310 −
 西1(3.1m以深) H17.7.13 4,190 −
小計191,900 0
 塊U-A H17.7.12〜13 − 27,760
 塊W H17.7.13 − 6,520
小計0 34,280
総計1,937,640 100,640
土留め時フレコン土壌
690
掘削位置掘削日
−
 @Aブロック(3/2〜3)
    +Cブロック(3/24)水面下掘削
70,570



4.2 土壌総ヒ素分析結果



















5.地下水モニタリング










6. コンクリート様の塊の性状・投入方法

コンクリート様の塊等に含まれているジフェニルアルシン酸は、旧軍がくしゃみ剤等として利用してい たジフェニルシアノアルシン、ジフェニルクロロアルシン等の毒ガス成分が分解したものではなく、ジフ ェニルアルシン酸そのものである可能性が極めて高い。ジフェニルアルシン酸約290kg(ヒ素換算値)が 約87トンのコンクリートのようなものに混ぜられて投入された可能性が高い。

1) コンクリート様の塊の形状

コンクリート様の塊は、当初の掘削範囲(東西24m×南北12m)の中で、大小あわせて3個体発見さ れており、その大きさと重量は、東西10m×南北8m×厚さ2m、20.3トンと東西1.5m×南北4m×厚さ 2m、5.6トンと東西2m×南北1m×厚さ0.5m、0.97トンであった。さらに西端外側部の東西3m×南北 3mの範囲で行った追加掘削においても、2つの塊が発見され、その内の1つの大きさと重量は、東 西2m×南北5m×厚さ1.5m、27.8トンで、当初発見された西端の塊と連続する形で存在していた。他 1つは東西1.5m×南北3.5m×厚さ0.4m、6.5トンであった。これら5つの塊以外にもコンクリート様の 小片が多数発見されており、これまでに撤去したコンクリート様の塊の総量は、約87トンと推計され る。これらはすべて同一層準から発見されていることから、同一時期に投入された可能性が高い。

2) コンクリート様の塊の投入方法

最も大きなコンクリート様の塊は10m×8m×2m程度であり、固まった状態のものを搬入することは 現実的に困難であることや、コンクリート様の塊の形状が不均一であることから、現場で流し込まれた ものと考えられる。

3) コンクリート様の塊の分析結果

コンクリート様の塊及び周辺環境からは、これまでのところ毒ガス成分(マスタード、ルイサイト、 ジフェニルシアノアルシン、ジフェニルクロロアルシン等)は全く検出されず、またあか剤の筒等の残 骸といった毒ガス弾を疑わせるようなものも発見されなかった。あか剤(ジフェニルシアノアルシン、 ジフェニルクロロアルシン)が投入されていたとすると、ジフェニルアルシン酸への分解経路で発生し、 分解速度が速くないビスオキシドが相当量検出されるとも考えられるが、ほとんど検出されていない。 このため、ジフェニルアルシン酸そのものが投入された可能性が極めて高い。コンクリート様の塊の モルタル部分からは、最高で11000ppm(可搬式蛍光X 線法による)の総ヒ素、4800ppm(ヒ素換算値) のジフェニルアルシン酸が検出された(水溶出量)。また、コンクリート様の塊に散在する小さな白色 物や、コンクリート様の塊の中から発見されたビン中の白色粉からも数千ppm(ヒ素換算値)のジフェ ニルアルシン酸が検出されている。これらのことから、当初のジフェニルアルシン酸の濃度は少なくと も数千ppm 以上あったことが推察される。また、現在確認された最高のジフェニルアルシン酸濃度が、 コンクリート様の塊全体に分布していたと仮定し、当初コンクリート様の塊に含まれていたジフェニル アルシン酸の総量を推計すると、290kg程度になった。

4) コンクリート様の塊の成分・状態等

コンクリート様の塊自体の成分、構成、状態等を確認したところ、すべて同様の構成物と組成からな っており、同一の作成物であると考えられる。また掘削時の観察およびボーリングコアの詳細観察の結 果、コンクリート様の塊内部の構造は一様でなく、土壌(粘性土等)の薄層を挟んでおり、コンクリー ト様の塊内部の粘性土は塊周辺の粘性土と同様のものであることが分かった。また、コンクリート様の 塊自体は、空隙が多く土壌分も含んでおり、一般的なコンクリートと比べて軟質でもろい状態であった。

 

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