『南京戦 閉ざされた記憶を尋ねて 元兵士102人の証言』はニュースステーショ ンでその内容が紹介され、証言ビデオも話題になった。ネット右翼があわてふためい て否定のための妄想をネット上に垂れ流し続けたのは記憶に新しい。
阿羅健一の批判もこれらと同質、同根なのを確認するために紹介する。 今まで私が認知したり、直接、反駁に関与しただけでもこんなにある。
1.「11才の兵士がいるから嘘」、これは誰が読んでも誤植。誤植一つで本がすべ て嘘と決めつけるのもどうかねー。 2.「腰だめという言葉はない」。あった。佐々木到一の日誌にも出てくる。 3.「腰だめで撃つと銃口は天を向き、銃手は倒れる」。日本軍の射撃法のマニュア ルに出てくる。 4.「腰だめで撃つのは不適当」。至近距離からの捕虜射殺であり、撃てば当たると いう状況だから適切。逃げ出す捕虜には小銃で射殺するつもりだった。 5.「二時間撃てない」。連続射撃と言っても、三点射、五点射の繰り返しでそれも 適当な冷却期間を置いて撃つのが常識。そのような射撃法で二時間撃ったことを 「二時間撃った」と言ったと見るのが至当。
6−10は第三艦隊第十一戦隊第二十四駆逐隊所属の兵士の証言についてである。
6.「駆逐艦隊とはいわない」。証言者の所属を表す部分でそういう表記がある。聞 き取り者はこの証言集では海軍関係はこの一人だけだったので、海軍の知識はあ まりない。だから誤記した。しかし、証言本文では駆逐隊と正しい表現であるの で、まったく問題ない。
7.「第三艦隊というのはない」。砲艦「比良」の艦長だった土井申二中佐が「『南 京事件』日本人48人の証言」でそう書いている。
8.「海風は建艦したばかりで参加したかどうか」。海風は5月で間に合う。 9.「第十一戦隊が参加したという証拠がない」。海軍の戦闘詳報に出てくる。土井 申二中佐が書いている。 10.「海風が参加したという記事を見ていない」。「南京戦史」に書いてあった。 11.「処刑した捕虜の死体にガソリンをかけて燃やすのはおかしい。」「石油の一 滴は血の一滴だから、そんなことに使うはずがない。」射殺した生き残りを見つ けるために焼いて動くのを銃剣で刺殺した。合理的。「石油の一滴・・」の標語 は昭和18年製。 12.「日本軍にガソリンなどなかった」。中国軍の塹壕にもあった。外国人邸宅に も備蓄があった。さらに100万都市南京には石油会社、ガソリンスタンドもあ った。 13.「戦略物資だから、厳密に管理されたはずだ」各部隊で競争のように略奪して 気ままに使っていた。
というわけで、否定派諸君は愚にもつかないことであーだ、こーだ、と責め立てて来 るが、目下のところ、13勝0敗だ。
いや、まだあったぞ。証言ビデオを見て「80才にしては頭の髪の毛が真っ黒なのが おかしい」というのがあった。すっ、鋭い、鋭すぎる指摘だ、降参だ。
否定論者は都合が悪い証言が出てくると、「嘘だろう、そんなはずはなかろう」とあ らぬ妄想をかき立てて事実関係の精査もすることなく「捏造だーー」と書いてしまう ものらしい。 |