「満州」偽国家
日本の政府が補償請求などに対してとんでもない形式論理を展開してなんとか補償を免れるよう画策するということはこれまでにもいろいろあった。しかし、この「満州国は独立国家だった」という主張には単なる逃げ口上以上の悪質さを感じる。
かの「満州」偽国家は成立当時はナチス・ドイツさえ承認しなかった。体裁の悪い成立過程だった。ナチスが防共協定を三国同盟に格上げし、日本と「悪の枢軸」を組む決意を固めてはじめて承認に及んだものだった。その結果、ドイツ、イタリアそしてどういうわけか、エクアドルが承認しただけだった。その後日本がアジアで戦争を拡大し、各地で作った傀儡政権だけが承認に加わった。
「満州」偽国家の仕組みを読んで驚いたのはこの偽国家には「国籍条項」というものがなかったという事実である。日本からの移民が次々にやってくるとき、日本国民が「満州帝国」国民になるのは都合が悪い。ということで日本人移民者は日本国籍のまま「満州」国民になれたのである。その反面、当地の中国人は「中国人」というと日本官憲にどやしつけられたそうである。入国管理もない、関税もない、およそ国家のていをなさない、国家の皮だけを被った特殊権益地帯を中国東北部に作りあげ、中国人の土地を略奪し、中国の資源を略奪した。それが「満州国」であった。
このような偽国家を独立国家などと称するのは歴史の真実を覆い隠し、中国と中国人民を侮辱する犯罪行為である。 |