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  孫平化氏との3時間 ゆう 2003/08/23 06:22:38 
  なるほど・・・ 熊猫 2003/08/27 20:49:59 

  孫平化氏との3時間 ゆう 2003/08/23 06:22:38  ツリーへ

孫平化氏との3時間 返事を書く ノートメニュー
ゆう <pmyqfxtjon> 2003/08/23 06:22:38
「中国側が日中合同の調査を拒否した」。・・・掲示板で、よく見かける表現です。

もちろん、日本政府、もしくはそれに準じる機関が、日本政府の意思を代表した形で正式に「合同調査」の提案を行い、その上で「中国側」がそれを拒んだ、という事実は存在しません。


さてこの記述、松尾さんのページの田中正明氏の文から来ているようです。

>しかも、日中友好協会の孫平化会長いわく、「30万虐殺は政治的に決まっている事実だ。そのために記念館を建ててある。日中共同調査のプロジェクトなど受け入れる余地など無い」と、日本側の提案を峻拒したという。(丹波春喜・京都産業大教授著「孫平化氏との激論3時間」−「正論」昭和63年7月号)。

http://www.history.gr.jp/nanking/peace.html



この「孫平化氏との激論3時間」なる論稿を入手しましたので、その内容を報告します。


論稿は、まず、こう始まります。

「わたしは、本年(ゆう注.1988年)6月下旬、ある訪中団に参加して、中国におもむく機会を持った。・・・この訪中団のなかには、わたしのほかに、村松剛(筑波大教授)、笠原正明氏(神戸外大教授)、花井等(筑波大教授)、加瀬英明(外交評論家)などの諸氏が加わっていたのであるが・・・」

豪華メンバーです(笑)。これだけの面々が揃ったら、さすがに中国側も警戒しますね。

それはともかく、ここで注意すべきは、これは日本政府の意を受けた訪問ではなく、単なる私的な訪問である、ということでしょう。


「そして翌々日の六月十三日には、孫平化氏が会長をつとめる「中日友好協会」への表敬訪問が予定されていた」

訪問の目的は、「南京事件」について何らかの話し合いを持つことではなく、単なる「表敬訪問」であったわけです。しかし、訪問前に孫氏が別の席で「要するに、日本は中国に強盗に入ったのだ」という発言を行い、これに丹羽氏らが猛反発して、ちょっと「表敬訪問」とは言えない雰囲気になっていきます。


「着席と同時に、まずはじめに、村松剛氏が日本側の学者・評論家グループの総意を代表する形で、孫平化氏に、・・・日本に対する「強盗呼ばわり」の部分のとり消しを求めたのである」

「訪中団」は、いきなり喧嘩を仕掛けました。一応文中には「きわめて穏やかに、そして、きわめて礼儀ただしくこのことを求めた」とありますが、発言内容は要するに「喧嘩」です。孫氏らは、これに猛烈に反発します。

その後、「実は、そのようななりゆきとなり、表敬訪問が意味をなさなくなったため、われわれは退席しかけた」という場面もあったようです。しかし結局は「ひき続き議論をたたかわすことにし」て、丹羽氏はこんな「要請」を行いました。


「そこで、まず、わたしは、次の三点を中国側に対して要請した。

すなわち、日中両国の永続的な友好を念願するのならば、第一に、日本の首相が靖国神社に参拝することに対して中国が批難し抗議するようなことはやめていただきたいということ(略)、第二に、日本が日本国民の教育のために教科内容を定めたり教科書を編さんしたりするとき、その内容について中国が干渉するようなことは厳につつしんでいただきたいこと、」

次が、いよいよ「合同調査」です。

「そして第三に、たとえば「盧溝橋事件」やいわゆる「南京大虐殺事件」については、日本の多くの歴史学者の厳密かつ客観的な研究の結果として、中国がこれまで主張してきたようなこととはまったく異なった歴史的事実が明らかになってきているのであるから、中国側の見解を無理に押しつけるような態度をあらため、むしろ、日中両国の歴史学者たちの協力によって「真実の歴史的事実」が明らかにされるように中国も努力していただきたいこと、の三点である」


いずれも、もし万一日本政府が「公式」に行ったら、たちまち大変な外交問題になりそうな「要請」です。当然、中国側がこれを受け入れるわけがありません。


「わたしが、盧溝橋事件を日本側から仕掛けたという形跡はまったく認められず、また南京で日本軍が三十万人もの一般市民を虐殺したとされていることについても、そのことを示す証拠が皆無であるという日本の多くの歴史家たちの研究結果に言及しつつ、「日中戦争」(支那事変」に関連した本当の歴史的真実を厳密かつ客観的に調査するための、両国協同の研究プロジェクトを発足させたらどうかと提案したことに対しては、孫平化氏は、「中国では盧溝橋や南京にそのための歴史博物館まで建てて、日本軍の非を示す展示をしているほどであるから、そのような協同調査プロジェクト案を受けいれる余地はない」とにべもなく拒絶した」


当たり前です(笑)。だいたい、「三十万人もの一般市民を虐殺した」という表現自体、中国側の主張とは異なります。(「多くの歴史家たち」って、一体誰の名を挙げたのでしょうね(^^))


要するに、丹羽氏は、「私人」としての立場で、それも単なる「表敬訪問」の場で、中国側から見れば唐突に、しかも中国側を批判する形で「合同調査」の提案を行ったに過ぎません。実際のところ、こんな雰囲気では、「中国側」がそれを受け入れるはずもないでしょう。

そもそも、丹羽氏が、具体的にどのようなメンバーでのどのような内容の「合同プロジェクト」をイメージしていたのか、この文ではよくわかりません。実際のところ、東中野氏や田中氏あたりと(「歴史学者」ではありませんが)、中国側の「歴史学者」が「合同」して、何か有意義なものが生まれるとはとても思えません。私には、初めから「拒絶」を予定した、為にする提案のように思われるのですが・・・。


ついでに、田中氏の引用のいいかげんさにも注目して下さい。孫氏は、「30万虐殺は政治的に決まっている事実だ」などという発言は、行っていません。だいたい、いくら中国側でも、「政治的に決まっている」などという表現を行うわけがありません。


まあ、私のHPに掲載するほどのネタではありませんので、こちらへの投稿のみにとどめます。

  なるほど・・・ 熊猫 2003/08/27 20:49:59  ツリーへ

Re: 孫平化氏との3時間 返事を書く ノートメニュー
熊猫 <dhcvsuquwp> 2003/08/27 20:49:59
なるほど・・・
私は外務省関係の記録にあるのではないかと思って、おかしいと思いながら調べてたんですけど、全くの的外れだったんですね(笑)。日本政府と中国政府のやり取りにしては、不自然だとばかり思っていました。今日からゆっくり眠ることが出来ます。有難うございます。


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