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  董顕光から蒋介石への報告 渡辺 2003/11/04 01:00:48  (修正1回)

  董顕光から蒋介石への報告 渡辺 2003/11/04 01:00:48  (修正1回) ツリーへ

董顕光から蒋介石への報告 返事を書く ノートメニュー
渡辺 <oogeblxyju> 2003/11/04 01:00:48 ** この記事は1回修正されてます
 笠原氏が、『週刊金曜日』2002年8月2日号(No.422)、p.67 で触れている国際宣伝処から蒋介石への報告は、中国語のサイトで見かけますが、なぜか日本では、あまり話題にならないようです。

 とりあえず、『民国档案』に掲載された記事と、拙訳を投稿いたします。
 ただし、翻訳については、昔の公文書で大変難しい中文なので、私の能力の範囲を完全に超えています。当たらずとも、遠からずということで、微妙な表現などにこだわらずにお読みください。是非、きちんとした翻訳を誰か、していただきたいものです。

原文への註:
原文の簡体字は、日本で使われる字体に変換した。
「机」のような、日本語では別な意味を持つ簡体字は、「機」のように日本語で使われる文字に変換した。
「从(従)」、「广(広)」のように、日本語で使われるものと混乱を生じない簡体字は、そのままにした。

-- 原文 --
[『民国档案』2000年第4期, p.7]

董顕光致蒋介石簽呈(侍从秘書号:機密乙第5308号)
(1938年5月6日)

  謹密呈者:職部国際宣伝処前因在敵国境内推進宣伝工作,曽派外人四人赴日,茲四人中已
有三人返華,報告工作成績,尚有相当収獲。据報告称,彼等赴日,将職部国際宣伝処嘱其秘密携
去之英日文宣伝品分別遞送,流伝頗广。此中開有外人叙述日軍暴行之文件甚多,頗引起相当波
動。三人之一,更携有外人在南京所摂日軍暴行影片四百尺,曽密約東京各[国]使領館人員及開明之
日本士紳作数次演映,迄四月中旬,日方警察尚未発現彼等宣伝之迹象。彼等復携有第三国人及
日人自己所撮戦区中暴行照片多套,秘密分贈東京各国使領館人員。随呈附上此種照片一套,此
為日軍人在戦区所摂,送至上海洗印,由職部転輾覓得者。日人自摂暴行,測其用意,[しんにゅう+台]進欲表示其
威武歟? 孟却斯徳導報記者田伯烈,捜集戦地第三国人所記録之日方暴行数十篇,約十余万言,
刊印専書,将於本月中旬在倫敦、紐約同時出版,此項照片已尽量刊載此書中。各該外人留日之
時復广作耳語宣伝,即向各国駐日使領館人員、各国駐日通訊記者、日本工商界領袖、日本基督徒
及日本政党要員、机関公務員等作个別之淡話,告以日軍人対華作戦之不智,若何破壊其自己之
市場,若何毀滅其自己之戦斗力量,他日必為蘇俄所乗,復告以中国民衆抗戦之情緒如何昂揚,抱
如何抗戦到底之決心,全世界抵制日貨運動之普遍,表示国際間対於日本侵略戦之如何不満。三
外人返華后,報告日本内幕真相甚詳,茲撮其綱要,敬祈鑑核。此上
軍事委員会委員長蒋
                              職 董顕光(印)謹呈
                                二十七年五月六日
附呈報告一件及日軍暴行照片―套(原缺)

--- 訳 ---
董顕光から蒋介石への報告[註1](侍従秘書号:機密乙第5308号)
(1938年5月6日)

  謹しんで機密報告す:小職所属部・国際宣伝処が敵国内にて、外国人4人を日本に派遣して推進した宣伝工作につき,今般4人の中、既に3人が中国に帰還しその成果を報告したが、相当の収獲があった。報告によれば、彼等は日本に赴き,隠密裏に英語と日本語の宣伝品を携行して分別送付し、広く流布するようにとの依頼を小職所属部・国際宣伝処より受け、このうち、外国人が明らかにした日本軍の暴行の文書は甚だ多く、相当の動揺を引き起こした。3人のうち一人は、更に、外国人が南京で撮影した400フィートのフィルムを携行し、東京の各国大使館・領事館員と開明的な日本の紳士と密約し、4月中旬まで、数回にわたって上映したが、日本側警察は、未だ彼等の宣伝の形跡に気づいていない。彼等は、また、第三国人と日本人自身が戦争地区での暴行を撮影した写真の多数のセットを携行し、秘密裏に東京各国大使館・領事館員に分け与えた。このような写真の一セットを報告に添付する。これは日本軍人が戦争地域で撮影し、上海に送って現像され、小職所属部によって、紆余曲折の後[註2]、捜しあてられたものである。日本人自身が撮影した暴行は、その意図を推し量るに、その武威を誇示したいとでもいうのであろうか?マンチェスター・ガーディアン特派員、ティンパリーは、戦地の第三国人が記録した日本側の暴行数十篇、約十余万語分を捜して収集し、専門書を刊行、今月中旬にロンドンとニューヨークで同時出版されるが、この種の写真は、既に可能な限りの量がこの本に掲載されている。上述の各外国人は、日本滞在時に、また、言葉による宣伝を行い、各国の駐日大使館・領事館員、各国駐日通信記者、日本商工業界の指導者、日本のキリスト教徒及び日本の政党の要人、官署公務員など、個別に談話し、日本軍人の対華作戦への無知により、自分の市場を破壊すること、あるいは、自分の戦闘能力を壊滅するのはいかがか、他日、必ずやソビエト・ロシアが乗じるところとなると訴えた。また、中国民衆の抗戦の心情が昂揚することにより、如何なる徹底抗戦の決意、全世界での日貨排斥の運動の普遍化を抱えるかを訴え、国際間に日本の侵略戦争に対する如何なる不満があるかを示した。3人の外国人は中国へ帰還し、日本の内部の真相を詳細に報告したので、ここに、その概要を要約し、謹んでご査収を請う。以上。
軍事委員会委員長蒋
                              小職 董顕光(印)謹呈
                                 二十七年五月六日
報告に、1件の日本軍暴行写真、1セットを添付す(原本に無し)

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訳者註:
[註1]報告:原文にある「簽呈」(せんてい/qian-cheng)は、正式呈文より簡便な陳述書のこと。
[註2]紆余曲折の後:原文では「転輾」で、「転々とし」という意味に思われるので、「紆余曲折の後」と訳した。


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