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  秦郁彦氏の「スマイス調査(修正)」について ゆう 2003/11/08 10:55:10 
  秦氏の算定を検討したことはなかったので、... タラリ 2003/11/08 23:52:55 
   └「市部調査」の修正	 ゆう 2003/11/09 16:39:14 

  秦郁彦氏の「スマイス調査(修正)」について ゆう 2003/11/08 10:55:10  ツリーへ

秦郁彦氏の「スマイス調査(修正)」について 返事を書く ノートメニュー
ゆう <pmyqfxtjon> 2003/11/08 10:55:10
私のHPにも紹介した通り、秦郁彦氏は、中公新書「南京事件」の中で、「南京事件の犠牲者数」について次のような記述を行っています。


******************************

板倉氏は結論として、「南京で死んだ人の数は一般人(城内+江寧県)一・五万人、兵士三・二万人」で計約五万、うち日本軍による不法殺害は、兵士○・八万、一般人〇・五万、計およそ一・三万人と推定、幅を持たせて一万〜二万人としておけばよい、と述べている。

  筆者としては、スマイス調査(修正)による一般人の死者二・三万、捕らわれてから殺害された兵士三・○万を基数としたい。しかし不法殺害としての割引は、一般人に対してのみ適用(二分の一から三分の二)すべきだと考える。つまり三・○万+一・二万(八千)=三・八〜四・二万という数字なら、中国側も理解するのではないか、と思うのである。 (P214)


*「犠牲者数をめぐる議論」に掲載してあります。

http://www.geocities.co.jp/WallStreet/8503/giseisha.html#hata

******************************


私は、この文を紹介した当初から、この「スマイス調査(修正)による一般人の死者二.三万」というフレーズが引っ掛かっていました。この文の前後をいくら読んでも、「修正」の根拠が、どこにも見当たらないのです。

「スマイス調査」については、「市部調査」による死者2,400人、行方不明者4,200人、及び「農業調査」による死者26,870人、合計33,470人が「基数」になります。「南京戦史」、あるいは板倉氏などは、「南京市」の範囲を「江寧県」に代用させて、「市部調査」6,600人プラス「農業調査のうち江寧県」9,160人、合計約15,760人を「基数」としています。

(「スマイス調査をめぐる議論」参照)
http://www.geocities.co.jp/WallStreet/8503/smythe3.html

いずれにしても、「2.3万」という数字は、「南京戦史」、板倉氏の「本当はこうだった南京事件」を含め、どこにも登場しません。


板倉氏の雑誌論文を読んでいたら、それらしき記述をようやく発見できました。「30万虐殺説虚構の証明 (続)南京大虐殺」の数字的研究」(「ゼンボウ」S59年10月号)です。

この論稿で、板倉氏は、「スマイス調査」における「1000人あたりの病死者数」が少ないことに着目し、「病死」の一部まで「暴行」として報告されているのではないか、という疑問を提出しています。


「農村調査」については、具体的には、次のようになります。

<スマイス報告>
死因 暴行 26,870人 (住民千人あたり25人)
   病死  4,080人 (住民千人あたり3.8人)
   合計 30,950人 (住民千人あたり28.8人)

板倉氏は、バック教授の「中国における土地利用」の調査結果により、「病死」は「住民千人あたり7.4人」が正常値である、とします。この数字を前提に、上の数字を修正し、「修正計算を合計欄で行うと、殺されたものの総数は約23,000人となる」と主張します。

具体的には、次の数式になると思われます。

修正「暴行」死者数=30,950人×(28.8人−7.4人)/28.8人=22,998人。

板倉論文の発表(S59年)と秦氏「南京事件」の初版発行(S61年)から見て、秦氏の「スマイス調査(修正)」の根拠は、どうやらこれと考えて間違いないようです。


さて、仮にそうだとすれば、秦氏は大きな「見落とし」をしています。そう、これは「農業調査」のみの数字であり、「市部調査」による「6,600人」がカウントされていないのです。

「市部調査」の「割引率」を秦氏がどのように考えるかはわかりませんが、秦氏の数字はこの分だけ「上方修正」される、ということになりそうです。


*私自身、秦氏も板倉氏と同じく「市部調査+江寧県」の数字をベースにしている、と誤解しており(でも、ちょっと読むとそうとしか読めない(^^; )、HPにもその旨の記述を行いました。秦氏の考えがどうもよくわからないのですが、場合によっては修正の必要がありそうです。

  秦氏の算定を検討したことはなかったので、... タラリ 2003/11/08 23:52:55  ツリーへ

Re: 秦郁彦氏の「スマイス調査(修正)」について 返事を書く ノートメニュー
タラリ <vgezpxzsqe> 2003/11/08 23:52:55
秦氏の算定を検討したことはなかったので、耳新しいことばかりですが、秦氏は板倉の「修正」に賛成し、それを自著にも使ったということでしょうか。

板倉氏の修正というのは測定されたものではないので、根拠がないですね。なぜ病死が減ったかの詮索は別として、病死率は年々違う可能性があります。スマイス調査による病死の欄はこの年度における聞き取りですから、他年度の結果を基に修正するというのは無茶苦茶です。

秦氏が市部の被害を落としていた、というのはちょっとびっくりしますね。それから、
秦氏が一般人の不法殺害を「割り引く」という考え方の根拠も不明です。

ところで、スマイスの、
「市部調査」による死者2,400人、行方不明者4,200人、
はサンプル調査を50倍したもの。そしてサンプル調査によって50倍した人口は報告書作成の最終段階で22万人から26−27万人に上方修正されています。つまり、50倍という数字には問題があった。

ということは市民の死者6600人は人口修正の結果を踏まえ、26〜27万人/22万人(約1.2)をかけて7900人に修正すべきではないかと思っています。

実は
「スマイスはなぜ南京市民の死者数を誤って判断したか」タラリ 2003/03/26 23:19:53 でもそうしたつもりだったのですが、今見返すと、死亡のみ修正がかけられていました(^^;。

このように・・・
「スマイス報告に記載される南京市民の被害は死亡3250人、拉致4200人、拉致はその後殺害された可能性大であるので併せて死亡としても7450人に過ぎない。国際委員会のメンバーは早くから殺害された市民は5万人との認識を持っていたと考えられる」

   └「市部調査」の修正	 ゆう 2003/11/09 16:39:14  ツリーへ

Re: 秦氏の算定を検討したことはなかったので、... 返事を書く ノートメニュー
ゆう <pmyqfxtjon> 2003/11/09 16:39:14
「市部調査」の修正

>ところで、スマイスの、
「市部調査」による死者2,400人、行方不明者4,200人、
はサンプル調査を50倍したもの。そしてサンプル調査によって50倍した人口は報告書作成の最終段階で22万人から26−27万人に上方修正されています。つまり、50倍という数字には問題があった。

>ということは市民の死者6600人は人口修正の結果を踏まえ、26〜27万人/22万人(約1.2)をかけて7900人に修正すべきではないかと思っています。



ロムの方にはちょっとわかりにくいかもしれませんので、私が噛み砕いて説明しておきます。(実は私も、理解するまで1時間ほどかかってしまいました(^^; )


「スマイス調査」の方法は、次のようなものでした。


・「スマイス報告」より「実地調査の手続き」

>南京の市部調査においては、家族調査員は入居中の家屋五〇戸に一戸の全家族を家族調査表に記入するように指示を受けた。「家屋」は、若干の場合には一番号に数軒のアパートや建物があったけれども、「家屋番号」に従うものと定められた。

>三月には多くの出入口が封鎖され、どの家に人が住んでいるのか知るのは少しばかり困難であった。その結果、若干の家を見過ごしてしまったかも知れない。脱落した地域を点検するために対照地図が役に立った。各人は地図上で特定の地区を割当てられ、各自五〇戸ずつ人の住んでいる家を抽出して、住宅番号を数えてはそれに記入してうめてゆく。

(「南京大残虐事件資料集 第2巻」P217)

http://www.geocities.co.jp/WallStreet/8503/smythe2.html


「スマイス報告」の「市部調査」では、「五○戸に一戸」を抽出して、その結果を50倍して「統計数字」を出しています。その結果が、「暴行による死者2,400人、行方不明者4,200人」です。

これが仮に、対象区域内をくまなく調べ、全ての戸数から「五〇戸に一戸」を抽出したものであれば、この調査結果はそのまま使えます。しかし実際には、調査できない地域が、人口にして10〜20%分ありました。


>われわれが三月におこなった抽出調査で報告された人員を五〇倍すれば、すぐさま市部調査で表示されている二二万一一五〇人という人口数がえられる。

>この数は当時の住民総数のおそらく八〇ないし九〇パーセントを表わしたものであろうし、住民のなかには調査員の手の届かぬところに暮らしていたものもあった。(同 P219)


80%とすると「276,437人」、90%とすると「245,722人」。「倍率」は、1.1倍〜1.25倍になります。従って、この10〜20%分の被害状況も調査対象分と同様だったと仮定すると、「被害者数」は、タラリさんの言うように、「6,600人」を1.2倍した、約「7,900人」ということになります。


なるほど、これは気が付きませんでした。新しい論点ですね。



ところで、

>国際委員会のメンバーは早くから殺害された市民は5万人との認識を持っていたと考えられる」

って、どのような根拠でしたでしょうか? こちらは、わかりませんでした。(^^;



*「『ティンパーリーの謎』を嗤う その2 」、アドレスが違っているようです。                               
http://www.nextftp.com/tarari/timperley2.htm

が正しいアドレスだと思いますので、修正しておいて下さい(^^)


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