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[5395]アイリス・チャンの『レイプ・オブ・ナンキン』 タラリ 08/3/31(月) 23:10
[5396]Re(1):アイリス・チャンの『レイプ・オブ・ナンキン』 ピッポ 08/4/1(火) 7:47
[5397]Re(1):アイリス・チャンの『レイプ・オブ・ナンキン』 とほほ 08/4/1(火) 13:16
[6156]Re(1):アイリス・チャンの『レイプ・オブ・ナンキン』 かず色 09/1/11(日) 22:13
[6187]Re(2):アイリス・チャンの『レイプ・オブ・ナンキン』 タラリ 09/1/12(月) 23:12
[6189]丁重なお返事ありがとうございます かず色 09/1/12(月) 23:38
[6195]Re(1):丁重なお返事ありがとうございます タラリ 09/1/13(火) 0:55
[6209]Re(2):丁重なお返事ありがとうございます かず色 09/1/13(火) 20:59
[6197]スパム投稿だよ。かず色くん ピッポ 09/1/13(火) 1:18
[6198]Re(1):スパム投稿だよ。かず色くん ピッポ 09/1/13(火) 1:22

[5395]アイリス・チャンの『レイプ・...
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 タラリ E-MAIL  - 08/3/31(月) 23:10 -

引用なし
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   アイリス・チャンの『レイプ・オブ・ナンキン』を買った。半分かた読んだところである。以前、柏書房で翻訳の話が進んだが、日本側訳者が事実と異なる部分には意見をけさせてほしいと要望したが、著者側が拒否して翻訳本の出版に至らなかった曰く付きの本である。それが昨年12月に同時代社http://www.doujidaisya.co.jp/から出版されていた。

これを買ったのには先日来、東中野に影響された一派がwikiの「王小亭」の項でデマを書いているため、反論を書くために東中野・藤岡の『ザ・レイプ・オブ・南京』を読んだのであらためて興味を持った。

読んでみると意外にフツー。
細かな間違いや、出典が明らかにされていない叙述などは多いが、大筋としてはよくつかんでいると思われる。日本史の歴史のサマリーは南京大虐殺を解き明かすためのものであって、欧米の日本理解の標準レベルである。むしろ、日本が外国からどう見られているか、興味深い部分もある。

否定派は彼女を中国の手先と片付けているが、彼女の思想的立場は現在の中国すなわち中華人民共和国でも、台湾に脱出した国民党政府でもない。あくまで中国系アメリカ人のものであってバックボーンをなすものはアメリカ流の自由と民主主義である。

いままで、あまりにも頻回にアイリス・チャンの誤りという言説を否定派から吹き込まれていたために、とてつもないトンデモ本かと思っていたが、実像は相当違う。事細かな誤りの羅列ではなく、全体として彼女の思いはなんであったか、が何を言いたかったかということを中心に読まなくてはならない。

この本の白眉は安全委員会に参集して活躍した個々の外国人たちのプロフィールである。非常に生き生きと書かれており、多くの原文をよく読み込んでいると感じた。日本語の翻訳を読んでいてはとてもこういう雰囲気までを抽出できない。

もう一度東中野・藤岡のクソ本『「ザ・レイプ・オブ・南京』の研究』と較べて読んでみよう。どちらが正しいかというレベルの読み合わせとはならないことはもちろんである。そもそもが志向するものの気高さの度合いが違うからだ。

それでも、アイリス・チャンの記述に明確な誤り、出典が示されないかつ、不審な記述、同意できない見解はたくさんある。一度、私が異議を覚えた部分を書き出してみよう。
その後に、訳者、巫召鴻氏によって書かれた「『ザ・レイブ・オブ・南京』を読む」を読んで見よう。同書は読者のためのガイド、チャンは何を訴えているのか、注釈、批判に答えるチャンの「公開書簡」などでなっているという。それと自分の見解を対比させてみよう。
879 hits

[5396]Re(1):アイリス・チャンの『レ...
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 ピッポ E-MAIL  - 08/4/1(火) 7:47 -

引用なし
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   アイリス・チャン関連情報です。
ttp://prideofjapan.blog10.fc2.com/blog-entry-1366.html

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::(以下 水島文引用)

(略)

 この第一部は、最初、第二部として製作・上映を考えていたもので、当初考えていた第一部はアメリカで撮影する予定でした。ところがアメリカで、中国人や韓国人から妨害が入ったのです。

(略)

― 第二部、第三部はどのような映画ですか

水島◆第二部はドキュメンタリーです。ファーストシーンは決まっています。「南京虐殺」を見たとか、「やった」と証言しているおじいさんに直撃インタビューするところから始まります。

それから実証的な検証作業をされて来た東中野修道・阿羅健一両先生に映像の嘘や、虐殺派の主張の嘘など暴いてもらいたいと思います。皆さんが期待しているような、これぞ「南京虐殺」反対映画だというようなドキュメンタリー映画を作るつもりです。

 第三部は、アイリス・チャンの自殺を疑うところから始まる映画です。これもシナリオは完成しております。ファーストシーンは、女が夜明けの暗い中を車で走っている。そしてある場所で車を止めて銃を取り出して、口にくわえて引き金を引こうとする。

それがアイリス・チャンのように見えるんだけれども実は……という映画で、これを撮影するために現地を取材し、キャスティングも進めていましたが、妨害があって第三部にしました。

(引用 おわり)::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


水島らのアイリスチャンからの誤引用を指摘することも、有益かと存じます。
805 hits

[5397]Re(1):アイリス・チャンの『レ...
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 とほほ E-MAIL  - 08/4/1(火) 13:16 -

引用なし
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   ザ・レイプ・オブ・南京と言う本がとうとう日本語訳され出版されたと言うことだ。これは南京事件を勉強しているものにとっては大きなニュースである。
「ザ・レイプ・オブ・南京、第二次世界大戦の忘れられたホロコースト」アイリス・チャン/著  巫 召鴻/訳、同時代社

この本について知識のない人には説明が必要であろう、とはいえ翻訳されていなかったのだから、私のこの本の知識と言うのは、この本が「どのような扱われ方をしてきたのか」と言うことしか、しかも断片的にしか知らない。

著者はアイリス・チャン氏と言う中国系アメリカ人である。数年前に原因不明であるが自殺により他界している、旧思考錯誤にもその時のニュースを熊猫さんが報告している
http://t-t-japan.com/bbs/article/t/tohoho/10/jfcqrf/jfcqrf.html

と説明しようと思ったら、普段わたしがあまり信用していない Wikipedia の記事と私の認識も同じなので Wikipedia から引用する。
東京裁判で認定された、日中戦争における南京大虐殺について書かれたものである。

1998年に日本語版の出版が計画されたが、版権を取得した出版社の柏書房が、本書の「誤り」を正すと称して、本書に対する批判的な解説書を合わせて発売しようとし、彼女に拒否されたとして出版を見送った。出版が中止になった後、柏書房は、本書の内容が南京大虐殺の否定派を生き返らせていると主張した。また、本多勝一、笠原十九司などの所属する南京事件調査研究会が、本書を事実誤認が多いと批判し、アメリカ人のジョシュア・A・フォーゲルは雑誌「世界」に掲載されたエッセイで著者の人格攻撃や罵倒を伴う激しさで、本書を非難した。秦郁彦、藤岡信勝、東中野修道等、保守派の論客による批判のほかに、肯定派からも批判を受けた結果、この本にさまざまな問題があるという一般的な印象が形成された[2]。
詳細はザ・レイプ・オブ・南京を参照。
であるから、アイリス・チャンの著作であるザ・レイプ・オブ・南京から引用された否定論への反論は、この著作を無視する形で私も行ってきたのである。特に南京事件調査研究会の同書への批判はこの著作を題材にすることに私を躊躇させた。が、しかしアイリス・チャン氏の最大の功績はラーベの日記の発掘でありその点には揺るぎがない。

ところが思考錯誤掲示板でのタラリさんの読後観として、それほどデタラメな記述ではない、と言う話である。このタラリさんは批判すべきは批判する方で普段その舌鋒はするどい為に意外な感想である。ふむ確かにアメリカ人と言う立場でアメリカに居住しておれば、日本で歴史修正主義と闘っている勢力と対日本右翼に対する温度差は明確で、ただ単に笠原氏などの要請にアイリス氏は意義を見出さなかっただけなのかもしれない。

この本、私も読んでみようと思う。
783 hits

[6156]Re(1):アイリス・チャンの『レ...
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 かず色 E-MAIL  - 09/1/11(日) 22:13 -

引用なし
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   ▼タラリさん:
>読んでみると意外にフツー。

私はそうは思いませんでしたが、読後感は人それぞれでしょう。

ご参考までに各論客の書評をご紹介いたします。

---------------------------------

【まぼろし派・中間派・大虐殺派 三派合同 大アンケート】
 *月刊誌『諸君』2001年2月号特集記事より一部引用
 
 [アンケート項目]
(13)アイリス・チャン氏の『ザ・レイプ・オブ・ナンキン』をどう評価されますか
------------------------------------------------
【1:渡部 昇一】
 アイリス・チャンの本はもちろんインチキ本。こういう本を出した動機は、日本に揺さぶりをかけてシナ人が日本から金を巻き上げようとする要求に対して、シナ系アメリカ人が反応したものであろう。またアメリカ人としては広島長崎への原爆投下がヒットラーのユダヤ人虐殺に劣らぬホロコーストと思われることに心が休まらない思いをしていた。そこで、日本人を殺したことに理由を見出したいという潜在的思いから『ザ・レイプ・オブ・ナンキン』を愛読し、ベストセラーにしてしまった。こうした本に対して、日本政府がきちんと対応しなかったのは拙かった。
【2:鈴木 明】
チャンの本は、読んでいないし、これからも読む気はない。
【3:阿羅 健一】
バーガミニの『天皇の陰謀』を読んだ時は驚いたが、アイリス・チャンの本も、それと同じ感想。記述、発表の自由はあるとしても、このような本を評価するメディアの責任は重い。
【4:小林 よしのり】
チャンの本は初めからインチキ書物です。
【5:富士 信夫(東京裁判研究家)】
全然評価するに値しない作品と考えます。アイリス・チャンなる人物が周囲の在米反日人(主として在米華僑と思います)より吹き込まれた資料に基づいて書いたものと思います。この様な本がアメリカでベスト・セラーに入っているとは驚きです。
【6:高池 勝彦(弁護士)】
アイリス・チャンの本は歴史書としては全く価値なし。しかし、あれだけ売れ、アメリカのどこの本屋、世界のどこの空港の本屋にも並んでいるという組織力には驚かされます。背後の力を感じない訳にはいきません。
【7:田中 正明】
これに関しては藤岡信勝教授と東中野修道教授の共著『「ザ・レイプ・オブ・南京」の研究』にある通り、チャンの本は平成9年12月に出版され、たちまち50万分を超えるベストセラーとなり、アメリカで大人気を博している。しかし内容は間違いだらけである。この本文の間に写真34枚が掲載されているが、これまた捏造や修正のやらせ写真で、南京虐殺を証明するものは一枚もない。この本の副題は「第2次大戦で忘れられたホロコースト」である。チャンのいう南京事件は、ドイツのナチスが行ったユダヤ人の皆殺し作戦と同類の日本の中国に対するホロコーストだというのである。これは中国人特有の反日宣伝の書であり、戦時プロパガンダを60年後に再現した「国際情報戦」であると見ることができる。米のカリフォルニア州議会はこの書物に触発されて、日本に対する謝罪と弁償を求める決議まで行っている。この本は日本にとって「暗黒伝説」にもなりかねない危険なシロモノである。
【8:大井 満(戦史研究家)】
チャンの本は、論ずるに値せず。
【9:松村 俊夫(南京事件研究家)】
アイリス・チャンの歴史事実に対する無智は言うまでもないが、資料と称しているのはすべて二つの軍事裁判に利用された在南京外国人の噂や伝聞の記録と中国人証言を含む検事側証拠に加えて、1980年代以降に出てきた新しい中国人証言である。しかもそれらは原資料と比較することにより何層倍にも増幅されていることがわかるから、彼女による改ざんを指摘することは易しい。従ってこれは完全な偽書といえる。
【10.藤岡 信勝(東京大学教授)】
 アイリス・チャンの本は、反日プロパガンダの偽書である。
【11.原 剛(元防衛研究所戦史部主任研究官)】
アイリス・チャンの本は、南京大虐殺のキャンペーン書である。従って何ら実証性のないものである。
【12.中村 粲(獨協大学教授・昭和史研究所代表)】
チャンの本は、反日という政治目的のために書かれた荒唐無稽は本で、真面目に批判する価値もない。著者の歴史的な無知には驚くべきものがある。単なる反日扇動の書で、一読にも値せず。
【13.畝本 正己(戦史研究家】
 アイリス・チャンの本は、全くの虚言。偏向で信用ゼロであるが、アメリカで読まれていることについては、対策を講ずる必要がある。これを批判、否定、是非を論ずる必要がある。
【14.岡崎 久彦(博報堂岡崎研究所所長)】
 チャンの本は、猟奇的、三流歴史物語。
【15.櫻井 よしこ(ジャーナリスト)】
 チャンの本は、事実認定に誤りが多く公平に書かれているとは思えないが、米国はじめ国際社会における影響力は非常に強い。
【16.田辺 敏雄(昭和史研究家)】
 アイリス・チャンの本は、大成功を収めた宣伝文書、偽書と思います。歴史書の名に値しません。ただ、日中の資(史)料、多数の日中両国人の証言、ドイツなど第三国の資料などを根拠にしていますので、事実に基づいた歴史書であると多くの国の人が受け取ったと思います。アメリカでの報道や評論が好意的であったことからも分かります。この書が将来、日本人に対する迫害の根拠になり得ると憂慮します。残念ですが、当然の報いと思います。長年に亘って日本軍の悪行となれば検証抜きで大々的に報じ、間違いと証明されても頬かぶりしてきたのが日本のマスコミですし、一方の当事者は沈黙したまま反論しなかったのですから、チャンは日本発のこれらの報道を全部利用したに過ぎません。偽証と証明された証言者が続々登場しますが、レイプの模様を証言した「Tadokoro Kozo」(田所耕造)の名を見た時は驚きました。「アサヒ芸能」で証言した102連隊の兵士ですが、こんな人物まで著者は知っていたのですから。
【17.藤原 彰(一橋大学名誉教授)】  
アイリス・チャンの本は、事実誤認の誤りが多く日本の研究状況についても無知で、また掲載写真も問題のあるものが少なくない。従って虐殺否定派からの絶好の攻撃材料とされている。そのような弱点があるにせよ、この本は英語圏の人々に、南京大虐殺の生々しい事実を、はじめて広く知らせたという意味を持っている。この本のもう一つの目的は、日本での事実の隠蔽、抹殺を図る右側からの攻撃を告発することであり、その点でまともな紹介と批判が必要であろう。
【18.江口 圭一(愛知大学教授)】
 チャンの本は、単純ミスと誤認に満ちており、学術研究書とはいえない。
【19.井上 久士(駿河台大学教授】
 中国系アメリカ人として南京大虐殺を知って衝撃を受け一気にかいたという著者(チャン)の気持ちは分からないでもないが、事実誤認が多く、写真の使用にも問題があり、歴史書としては評価できない。
【20.姫田 光義(中央大学教授)】
 アイリス・チャンの本の原文を読んでいないが、笠原十九司氏の著書で知る限り、客観的科学的な論争にはなり得ず、海外のファナティックな(中国人では極端なナショナリズム)雰囲気を醸成するだけで、日本の「否定派」の勢いを増すだけである。
【21.笠原 十九司(都留文科大学教授】
拙稿「南京大虐殺と歴史研究」(拙著『アジアの中の日本軍』大月書店、所収)に整理したように、1970年代前半から1980年代後半にかけて展開されたいわゆる「南京大虐殺論争」は否定論が破綻・敗北して学問的にはすでに決着がついている。それが、1997年にアイリス・チャン『ザ・レイプ・オブ・ナンキン』がアメリカで出版されると、日本では翻訳書が未出版で一般国民は読む機会が無いにもかかわらず、否定派は同署にとびついて、同署の欠陥を大々的に取り上げて批判し、「大虐殺派の本」として日本国内の「南京大虐殺派」も同じであるかのように意図的に宣伝し、日本国内で敗退、失墜した否定派の影響力の復活を図るのに利用している。
【22.高橋 隆治(評論家)】
 チャンの本には、誇張を感じる部分があるます。が、文学的真実という立場からすれば肯定できます。
【23.吉田 裕(一橋大学教授】
 チャンの本には、日本側の研究状況を全く知らない点、事件を日本人の民族性や国民性から説明している点、日本国内にも反省の動きがあり、教科書などでも取り上げられている事実を全く無視している点、以上3点により、あまりにも問題の多い著作だと思います。

<以上、引用終わり>
287 hits

[6187]Re(2):アイリス・チャンの『レ...
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 タラリ E-MAIL  - 09/1/12(月) 23:12 -

引用なし
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   ▼かず色さん:
>▼タラリさん:
>>読んでみると意外にフツー。
>
>私はそうは思いませんでしたが、読後感は人それぞれでしょう。

雑誌記事の紹介より、かず色さん自身の読後感を語っていただきたいところです。

アンケートについてですが、否定派の面々の回答は「読まない」とか、「宣伝だ」とかに終わっおり、実質的な感想に達していません。一方、史実派の陣営ですが、この中にも読んでいないと言っている方、どうやら読んでいないと思われる方が何人かいます。史実派の方々のコメントは、先行する、否定派のキャンペーンに対して予防線を張るのに全神経を使った回答であり、これまた著作自体の評価に至っていないと感じます。

著作の評価ではなく、著作のもたらす社会的な影響についてのコメントになっているのはまさしく『諸君!』編集部の計算でしょう。

チャンの著作はひとりの中国系アメリカ人が見たブライベートな形の南京事件像です。語り口、構成を見ますと、歴史の研究書や歴史書というよりは歴史ドキュメントという体裁と言えます。いくらか類似しているのは笠原十久司氏の『南京難民区の百日』でしょう。

事実認定については多くの問題があります。例えば被害人口については埋葬人数と、殺害の目撃者による概数を足すなどの混乱があり、手順として間違っています。日本側資料については引用や資料の選択、検証が不適切と思われるところがあります。したがってだいたい中・米の資料が中心に記述されていますが、それはこの著作の決定的な欠陥にはなりません。

そのような欠点を有しながらも主要なissueをほぼカバーし、ひとつのまとまりを見せているのは筆者の筆力、洞察力の大きさを感じさせます。日本否定派には誰ひとりとして南京事件の全体像を書ききったものはいません。

もうひとつ、この著作が重要だと思われることは虐げられ、痛めつけられた中国人の感情から書いているということです。そこには虐げられた南京市民の感情が色濃く反映されているのです。中国人歴史家は何冊もの著作を著していましたが、中国という国家から事件を見ており、プライベートな視点からの歴史というものは提示されたことがなかったのです。そのため、彼女の日本に対する非難の苛烈さにたじろがされます。その追及の鋭さは例えば朝香宮が事件を主導した、という非難に見ることができます。また、みずからがした虐殺の証言をしたが、自身はあまり反省をしていない日本人元兵士に対しても厳しい批判が向けられています。この当たりの追及の厳しさというものに新鮮な驚きを感じます。
朝香宮の主導説はおそらく誤りであろうと思います。日本側資料をよく知る日本人研究者たちがいまだかってそのような説を考えたことはなかったからです。しかし、私はいま直接その説の当否を決定する資料をもっていません。ただ、外から見たときにそのような解釈、理解が可能であるということは事実です。これについてはきちんとした論証、反証があって、決着すべきもので、ただちにチャンの誤りであると反発すべきではありません。

虐殺をした元日本人兵士に対して日本人研究者はあまり強く非難したことがありません。それには理由があります。せっかく証言をした人を非難すれば、証言するひとがいなくなるからで、非難を手控えなくてはならないという事情がありました。もうひとつは、虐殺した元兵士も一種の軍国主義の被害者であるという立場からです。しかし、被害者にとってみれば、圧力に抗して証言しただけでは到底許せるものではありません。謝罪というけじめがない限り、許せないでしょう。


今まで、私にとって南京事件論争とは、日本国内の否定派と史実派で行われていた論争のことでした。日本側(もちろん正規の歴史研究者)と中国側の論争ではありませんでした。日本側と中国側の双方とも日本否定派を批判するために、多くの見解の相違を棚上げしてきました。これはやむを得ないことでもありました。しかし、これからは日本側と中国側の論争が南京事件論争となるべきです。

チャンの事実認識は実は中国人市民、南京市民の認識に近い部分があると感じられます。それは被害者側の認識と加害者側の認識の違いでしょう。いくら公平にものを見ようとしても日本人研究者は日本人兵士をかばおうとし、日本軍・政府の意図を善意に解釈しようという傾向があります。中国側では日本人兵士が虐殺を反省しないことを驚き、怒っています。日本軍・政府には歴然とした悪意があったと受け取りがちです。

これはちょうど車で人身事故を起こしたときのことを思えば理解できます。被害者側ではこちらが歩道を渡っているのを見ていながら突っ込んできた、わざとした、と言い募り、加害者側は見えなかった、わざとではないと言いたくなります。事故による負傷の程度についても見方が分かれます。

そのような二つの立場の見方から、互いに論を尽くして真実を求めなければなりません。私は今までの歴史研究では日本側の方がより実証的にしてきたと思っていますし、日本の研究ばかりを読んで来ましたから、日本の研究結果が正しいと思っています。しかし、チャンや中国の新しい研究者が投げかける新しい説に対しては、形式的にミスをあげつらうのではなくきちんと実証的に疑問に答えることが必要だと思います。
245 hits

[6189]丁重なお返事ありがとうござい...
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 かず色 E-MAIL  - 09/1/12(月) 23:38 -

引用なし
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   ▼タラリさん:

 誠に丁重なお返事を頂きまして恐縮です。私の様な中間派の立場から見れば、単なる実証性と合理性に欠ける「猟奇本」との読後感が拭えません。然しながら一方で、南京事件問題の各論客が、其々どの様な読後感を抱いていたのか(2001年時点)を整理する意味で書込みをさせて頂いた次第です。貴方の読後感を批判する目的の文章ではありませんのでご理解賜りたく。

 外国人の書籍では、例えばラーベ本などは印象深く、読後の感想・批評は幾らでも浮かんでくるのですが、私はチャンの著作には感銘を受けませんでした。<「かず色さん自身の読後感を語っていただきたいところです」>と貴方が書かれていることは当然の事なのですが、単なる枝葉末節の批判に終始してしまいそうですので、今回はご遠慮させて頂きたく。但し、朝香宮批判等は全面的に首肯出来ないにしても、日本では(笠原教授等を除いて)一般の学者・ジャーナリズムでは追及しかねる部分であり、ある種の鋭さは感じますね。
251 hits

[6195]Re(1):丁重なお返事ありがとう...
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 タラリ E-MAIL  - 09/1/13(火) 0:55 -

引用なし
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   ▼かず色さん:
>▼タラリさん:
>
> 誠に丁重なお返事を頂きまして恐縮です。私の様な中間派の立場から見れば、単なる実証性と合理性に欠ける「猟奇本」との読後感が拭えません。然しながら一方で、南京事件問題の各論客が、其々どの様な読後感を抱いていたのか(2001年時点)を整理する意味で書込みをさせて頂いた次第です。貴方の読後感を批判する目的の文章ではありませんのでご理解賜りたく。

翻訳をしたのは巫 召鴻 であることはご存じだと思います。日本在住の中国人あるいは中国系日本人でしょうか、ビジネスマンですが、非常によく勉強されている方です。『ザ・レイプ・オブ・ナンキン』を読むにはこの翻訳者による解説書『「ザ・レイプ・オブ・ナンキン」を読む』を読まなくてはなりません。この本を読むと念入りな注釈によって、表面的にアイリス・チャンの誤認だと思えた部分の多くが、そういう事実もあるか、解釈もあるかというようにかなりの点で押し返されます。

アイリス・チャンの著作と同様、外から見たらそのように見えるか、思えるのかという一種の驚きをもって読みました。今までは日本ローカルの視点でしか、考えていなかったが、なるほど中国人にして見れば、あるいはアメリカ人から見れば日本軍の行動はこのように見えるのだな、と悟ったとき、新たな研究課題が産まれると感じました。


> 外国人の書籍では、例えばラーベ本などは印象深く、読後の感想・批評は幾らでも浮かんでくるのですが、私はチャンの著作には感銘を受けませんでした。<「かず色さん自身の読後感を語っていただきたいところです」>と貴方が書かれていることは当然の事なのですが、単なる枝葉末節の批判に終始してしまいそうですので、今回はご遠慮させて頂きたく。但し、朝香宮批判等は全面的に首肯出来ないにしても、日本では(笠原教授等を除いて)一般の学者・ジャーナリズムでは追及しかねる部分であり、ある種の鋭さは感じますね。

枝葉末節の批判を恐れることはありません。議論というものは常に他者の違った目線というものを必要としているのですから。私にとってはかず色さんの意見陳述がなかったにもかかわらず、今まで脳内に溜めてはいたが、公開したことのない意見を述べる機会を得たわけです。

朝香宮首謀説などが起こる背景として、なぜ日本軍は日本人は、あのように残虐になれたのか、という中国人の真剣な問いかけというものがあります。私は否定派との論争において何回か、関連書を読んでは答え、自分でまとめてわかったと思っていましたが、身内を殺された中国人たちにそのわけを説明して果たして納得していただけるだろうか、と思ったわけです。質問にはそれだけの強さがあるのです。これは今後の私の課題だろうと思います。
267 hits

[6197]スパム投稿だよ。かず色くん
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 ピッポ E-MAIL  - 09/1/13(火) 1:18 -

引用なし
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   ▼かず色さん:
>▼タラリさん:
>>読んでみると意外にフツー。
>
>私はそうは思いませんでしたが、読後感は人それぞれでしょう。
>
>ご参考までに各論客の書評をご紹介いたします。

ご参考どころか、
貼り散らかし。

[#6156]Re(1):アイリス・チャンの『レイプ・オブ・ナンキン』 かず色 09/1/11(日) 22:13
[#6144]各論客の戦時国際法認識について かず色 09/1/11(日) 15:27

都都逸内容であることのエクスキューズもない。
スパム投稿だよ。かず色くん。
270 hits

[6198]Re(1):スパム投稿だよ。かず色...
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 ピッポ E-MAIL  - 09/1/13(火) 1:22 -

引用なし
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   謹んで訂正します、
>都都逸内容であることのエクスキューズもない。
>スパム投稿だよ。かず色くん。

同一内容であることのエクスキューズもない。
スパム投稿だよ。かず色くん。
274 hits

[6209]Re(2):丁重なお返事ありがとう...
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 かず色 E-MAIL  - 09/1/13(火) 20:59 -

引用なし
パスワード
   ▼タラリさん:

>朝香宮首謀説などが起こる背景として、なぜ日本軍は日本人は、あのように残虐になれたのか、という中国人の真剣な問いかけというものがあります。私は否定派との論争において何回か、関連書を読んでは答え、自分でまとめてわかったと思っていましたが、身内を殺された中国人たちにそのわけを説明して果たして納得していただけるだろうか、と思ったわけです。質問にはそれだけの強さがあるのです。これは今後の私の課題だろうと思います。

中国戦線で不法殺害を真近で目撃した将兵(全て在阪聯隊関係者)の証言は何度か個人的に聞いた経験があります。人間は何故こうも残虐行為が可能なのか、今でも良く考えます。私が戦史研究を続けている原動力の一つでもあります。
247 hits

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