留意事項 リ ン ク
メンバー登録 T O P
思考錯誤の全投稿をメール配信して欲しい方、クリックして空メールを送信 管理からのお知らせ 思考錯誤ヘルプ
  新規投稿 ┃ツリー表示 ┃スレッド表示 ┃トピック表示 ┃番号順表示 ┃検索 ┃設定 ┃お蔵入り ┃旧思考錯誤 ┃南京事件資料集  
58 / 645 ツリー ←次へ | 前へ→

[5964]空幕長解任 かず色 08/11/1(土) 13:40
[5966]Re(1):空幕長解任 ピッポ 08/11/1(土) 14:29
[5967]Re(1):空幕長解任 かず色 08/11/1(土) 14:33
[5968]Re(1):空幕長解任 ゆう 08/11/1(土) 15:16
[5969]Re(2):空幕長解任 かず色 08/11/1(土) 15:56
[5975]Re(3):空幕長解任 かず色 08/11/2(日) 7:30
[5970]Re(1):空幕長解任 かず色 08/11/1(土) 16:37
[5971]Re(1):空幕長解任 かず色 08/11/1(土) 16:52
[5972]Re(1):空幕長解任 かず色 08/11/1(土) 17:08
[5974]集団的自衛権 核心 08/11/2(日) 1:00
[5978]Re(1):空幕長解任 ゆう 08/11/2(日) 16:16
[5979]Re(2):空幕長解任 かず色 08/11/2(日) 18:47
[5980]Re(2):空幕長解任 かず色 08/11/2(日) 21:51
[5983]申し訳ありません 私の勘違いです(^^; ゆう 08/11/3(月) 16:34
[5984]Re(1):申し訳ありません 私の勘違いです(^^; かず色 08/11/3(月) 17:56
[5981]Re(1):空幕長解任 ゆう 08/11/3(月) 6:14
[5982]Re(2):空幕長解任 かず色 08/11/3(月) 9:22
[5985]Re(3):空幕長解任 タラリ 08/11/3(月) 21:30
[5986]Re(4):空幕長解任 かず色 08/11/3(月) 21:54
[5990]Re(5):空幕長解任 とほほ 08/11/4(火) 11:29
[6013]空幕長論文への反論5. かず色 08/11/9(日) 18:18
[5992]Re(1):空幕長解任 とほほ 08/11/6(木) 14:58
[5995]コミンテルン陰謀史観 かず色 08/11/6(木) 21:42
[6014]防衛大学校長の見解 かず色 08/11/15(土) 9:34
[6015]北岡伸一東大教授の見解 かず色 08/11/16(日) 11:16
[6016]秦郁彦・保阪正康両氏の見解 かず色 08/11/30(日) 0:07
[6019]五百旗頭防衛大学校基調講演要旨 かず色 08/12/6(土) 10:11
[6047]コミンテルン陰謀史観批判 かず色 08/12/25(木) 21:51
[6073]最近の新聞記事から かず色 08/12/28(日) 20:38
[6074]森本敏教授の田母神論文批判 かず色 08/12/28(日) 20:42
[6075]マッカラム覚書 かず色 08/12/28(日) 20:59
[6076]真珠湾攻撃直後の米国の混乱 かず色 08/12/29(月) 23:17
[6077]近衛上奏文 かず色 08/12/31(水) 10:17
[6091]櫻田淳准教授の田母神論文批判 かず色 09/1/4(日) 23:30
[6105]ジョン・ダワー教授の田母神論文批判 かず色 09/1/6(火) 22:05
[6109]益川教授とUFO談議 かず色 09/1/7(水) 0:00
[6110]Re(1):益川教授とUFO談議 とほほ 09/1/7(水) 12:10
[6111]Re(1):益川教授とUFO談議 トロープ 09/1/7(水) 17:58
[6112]Re(2):益川教授とUFO談議 タラリ 09/1/7(水) 21:53
[6116]Re(1):益川教授とUFO談議 大河 09/1/8(木) 19:40
[6117]Re(2):益川教授とUFO談議 かず色 09/1/8(木) 21:13
[6120]Re(3):益川教授とUFO談議 とほほ 09/1/8(木) 21:37
[6123]Re(4):益川教授とUFO談議 かず色 09/1/9(金) 0:45
[6133]Re(5):益川教授とUFO談議 大河 09/1/10(土) 12:07
[6140]益川教授とUFO談議【再掲】 かず色 09/1/11(日) 11:29
[6150]Re(1):益川教授とUFO談議【再掲】 とほほ 09/1/11(日) 17:39
[6153]Re(2):益川教授とUFO談議【再掲】 かず色 09/1/11(日) 19:41
[6154]Re(3):益川教授とUFO談議【再掲】 とほほ 09/1/11(日) 21:09
[6155]Re(1):益川教授とUFO談議【再掲】 大河 09/1/11(日) 22:00
[6157]Re(2):益川教授とUFO談議【再掲】 かず色 09/1/11(日) 22:19
[6159]Re(3):益川教授とUFO談議【再掲】 大河 09/1/11(日) 22:25
[6160]Re(4):益川教授とUFO談議【再掲】 かず色 09/1/11(日) 22:34
[6161]Re(5):益川教授とUFO談議【再掲】 とほほ 09/1/11(日) 22:46
[6174]Re(5):益川教授とUFO談議【再掲】 大河 09/1/12(月) 18:25
[6178]Re(6):益川教授とUFO談議【再掲】 かず色 09/1/12(月) 19:38
[6179]Re(7):益川教授とUFO談議【再掲】 ピッポ 09/1/12(月) 20:02
[6158]Re(2):益川教授とUFO談議【再掲】 かず色 09/1/11(日) 22:25
[6162]Re(2):益川教授とUFO談議【再掲】 かず色 09/1/11(日) 22:48
[6201]Re(1):益川教授とUFO談議【再掲】 大河 09/1/13(火) 19:31
[6207]Re(2):益川教授とUFO談議【再掲】 かず色 09/1/13(火) 20:49
[6230]Re(3):益川教授とUFO談議【再掲】 とほほ 09/1/14(水) 11:57
[6113]文民統制に関する私見 かず色 09/1/7(水) 23:30
[6118]石破茂衆院議員の「文民統制」論 かず色 09/1/8(木) 21:23
[6121]石破茂議員の田母神論文批判 かず色 09/1/8(木) 23:29
[6172]満州は中国の領土か かず色 09/1/12(月) 17:07
[6177]Re(1):満州は中国の領土か ピッポ 09/1/12(月) 19:37
[6188]ファイルキャビネットして私物化 ピッポ 09/1/12(月) 23:24
[6191]Re(1):ファイルキャビネットして私物化 かず色 09/1/12(月) 23:56
[6192]友人の友人? かず色 09/1/13(火) 0:20
[6210]Re(1):友人の友人? ピッポ 09/1/13(火) 21:02
[6213]Re(2):友人の友人? かず色 09/1/13(火) 21:13
[6218]Re(3):直似非友人に成ってあげたよの巻 ピッポ 09/1/13(火) 21:49
[6220]「かず色」プロフィール改造中?! ピッポ 09/1/14(水) 9:19
[6227]Re(1):12分後のコピペ ピッポ 09/1/14(水) 10:24
[6180]岡本行夫の田母神論文批判(1) かず色 09/1/12(月) 20:26
[6181]岡本行夫の田母神論文批判(2) かず色 09/1/12(月) 20:34
[6182]Re(1):空幕長解任 ピッポ 09/1/12(月) 21:23
[6183]頑張って下さい! かず色 09/1/12(月) 21:58
[6185]Re(1):頑張って下さい! ピッポ 09/1/12(月) 22:31
[6190]Re(2):頑張って下さい! かず色 09/1/12(月) 23:50
[6194]Re(3):頑張って下さい! ピッポ 09/1/13(火) 0:45
[6238]Re(2):【追記】事実 ピッポ 09/1/15(木) 9:29
[6240]Re(3):【追記】事実 かず色 09/1/15(木) 19:24
[6242]Re(4):【追記】事実 ピッポ 09/1/15(木) 19:48

[6075]マッカラム覚書
←back ↑menu ↑top forward→
 かず色 E-MAIL  - 08/12/28(日) 20:59 -

引用なし
パスワード
    真珠湾攻撃に関する議論で近年必ず出てくるのが所謂「マッカラム覚書」です。田母神論文を支持する中西輝政京都大学教授等も、頻繁に当該「覚書」について言及されておりますが。田母神氏の「真珠湾攻撃FDR陰謀論」の論拠も、この辺りにあるのかもしれません。今回は、この点を検証したいと思います。

------------------------------------------------------

【マッカラム覚書】
海軍情報部長あて覚書(マッカラムの戦争挑発行動八項目)

    海軍情報部長極東課長
    1940年10月7日

表題  太平洋地域の情勢見積及び米国の取るべき行動に関する意見具申

 1 アメリカ合衆国は今日、欧州では敵対的なドイツ及びイタリアと対決しており、また東洋では敵対的な日本とも同様な状態にある。これらの二つの敵対的グループの間に介在する大陸国家ロシアは現時点では中立だが、あらゆる可能性から考えて枢軸国に味方するだろう。これら枢軸国の勝利の見込みを直接高めることとなると期待されるかもしれない。
独伊は欧州大陸で勝利を収めていると見られており、そして欧州全域が枢軸国の軍事的統制下におかれるか、またはその隷属を強制されていると見られている。唯一、英帝国が独伊及びその衛星諸国による世界支配の増大を阻止するための戦いを、積極的に戦っているにすぎない。

 2 アメリカ合衆国は最初、欧州戦争には干渉しない態度をとっており、また独伊は力の及ぶ範囲内で、欧州戦争の結果に米国が無関心な態度をとり続けるよう、あらゆる手段を尽くしてきたとの見方を支持する相当な証拠がある。逆説的ではあるが独伊軍が勝利を収めるたびに、米国内の英国政府に対する同情と物的援助は増大して、戦争以外の、あらゆる援助の手を差しのべる政策を、英国政府に約束する立場に立っている。情勢が急激に変化しているので、米国政府はきわめて近い将来、英帝国の全面的な同盟国となるであろう。
アメリカ合衆国を無関心な傍観者の立場に維持せんとする独伊の外交政策が遂に失敗に帰した結果、独伊は(欧州以外の)他の地域で米国の安全保障に脅威を与える政策を採用せざるを得なくなった。それは、特に中南米地域における枢軸国に支配されたグループによる革命の脅威や、極東での日本による侵略と脅威を増大させるための激励である。それは、独伊がこうした手段により、米国の考え方や米国自体の身近の安全保障に大混乱を生じさせ、純然たる防御準備にきわめて神経質にさせ、米国のいかなる形式の対英援助をも事実上、禁止させようと希望しているからである。
この政策が採用された結果、独伊は米国を対象とした、日本との軍事同盟を締結した。この条約について報道された条件及び日独伊指導者たちの、とげとげしい言葉が信ずるに足り、かつ、それらを疑う理由もないように思えるので、米国が対英援助に踏み切ったり、また米国が東洋における日本の目標遂行に力ずくで介入する場合には、これら全体主義三カ国は米国との戦争に同意している。そのうえ、独伊は戦争に至らない、米国の対英援助が開戦の理由となりうるか否かを決定する権利、または彼らが英国を破った後ではそれが対米戦の理由とはならないと決定する権利を、はっきり留保している。換言すれば、英国が敵国により処分された後で、直ちに対米戦争に進むか否かを決定するだろうと言うのである。
地理的条件からドイツもイタリアも日本には、いかなる物的援助をも提供できる位置にはない。反対に日本は、英国の自治領及びオーストラリア、インド、蘭領東インドからの物資補給ルートを攻撃することにより、独伊両国に対して、大きな援助を提供することができる。かくして、欧州において枢軸国に反対する英国の立場を実質的に弱体化させることになる。
この援助と交換に日本は、米国が日本に対し積極的な行動に出るのを阻止するため、米国の注意を引きつけるべく、独伊は全力を尽くすだろうとの追加約束を得て、日本は奪取可能と考えるアジアのすべてを占領するためのフリーハンドを獲得している。
われわれはここで再び枢軸国と日本との―米国の力を発揮不能とし、かつ、脅迫と警告とにより、 米国民の考え方を混乱させて、行動するか、しないか、いずれの分野でも米国の迅速な決定的行動を阻止せんとする―外交的駆け引きの実例を見た。欧州の枢軸国または極東の日本が、最も望んでいないことは、いずれの戦域においても米国による挑戦的な行動であるということは、いかに強く強調しても、強調しすぎることはない。

3 欧州の現状を検討すると、英国を援助するため、われわれがまだ実施していなくて、現在直ちに実施可能なものはほとんどないとの結論に到達する。われわれは英国を援助するために派遣すべき訓練された軍隊を保有していない―すくなくともあと1年間は保有しないだろう。われわれは現在、対英援助物資の流れを増大して、あらゆる実施可能な方法で英国の防衛を支持するよう努力している。そして、この援助が増加されることは疑いない。
一方、英国が戦争を継続し、英海軍が大西洋の制海権を維持しているかぎり、ドイツまたはイタリアが米国に対抗できる可能性はほとんどない。われわれの立場にとって一つの危険は、英帝国が早期に降伏し、英国艦隊が手つかずのまま枢軸国の手に入ることである。このような事態が生起する可能性は、われわれが実際に英国と同盟しているなら、実質的には少なくなっているか、もしくは英国にかかっている圧力を、行動の別の分野で軽減するため積極的手段をとるならば、最小限に抑えることができる。要約すると、英国海軍が大西洋の制海権を保持し、米国と友好関係にあるかぎり、大西洋における、米国の安全保障に対する脅威は小さい。

 4 太平洋では、日本は独伊との同盟のおかげで、英帝国の安全保障にとって決定的な脅威であり、いったん英帝国が消滅すると、日本-独伊の戦力は米国と対抗することになる。シンガポールに対する日本の脅威または攻撃を伴った、また、バルカン半島及び北アフリカ経由のスエズ運河に対する独伊軍による強力な陸上攻撃は、英帝国にとってきわめて深刻な結果をもたらすことだろう。
日本を牽制もしくは中立化させることが出来たなら、枢軸国がたとえスエズ運河攻撃に成功したとしても、インド洋から英国の海軍力を排除することによってもたらされるのと同じ位の利益―つまり、日本にとって欧州補給ルートを開き、東洋の原料補給海上ルートを独伊まで伸ばす―を日本にもららすことにはならないだろう。従って、英米が欧州を海上封鎖し、かつ多分日本が部分的にせよ(東アジアで)活動している場合には、日本は牽制されなければならない。

 5 第3項で指摘したように、米国が欧州の情勢を救うため直ちに実施可能なことはほとんどない一方、米国は日本の侵略的行動を効果的に取り止めさせることが可能で、しかも米国の対英物的援助を減ずることなく実施できる。

 6 米国と対立している日本の現状を分析すると、次のことが言える。
有利な点
(1)日本列島は地理的に強力な優位性を持っている。
(2)きわめて中央集権化された強力な政府である。
(3)厳格に管理された戦時経済体制をとっている。
(4)国民は苦労と戦争に慣れている。
(5)強力な陸軍を有する。
(6)米海軍の約三分の二の兵力からなる熟練した海軍を有する。
(7)ある程度の天然資源の備蓄がある。
(8)四月までは天候により、日本近海での作戦行動が困難である。
不利な点
(1)アジア大陸での消耗戦に百五十万人が投入されている。
(2)国内経済と食糧配給が厳しく制限されている。
(3)戦争に必要な天然資源が大幅に不足している。特に石油、鉄及び綿花が不足している。
(4)欧州から資源を入手することが不可能になっている。
(5)必要物資を遠い海上交通路に依存している。
(6)合衆国と欧州の市場に頼ることなく、軍事機材の生産と補給を増加させることができない。
(7)主要都市と工業地域は空襲を受けやすい立地条件にある。

 7 太平洋において、アメリカ合衆国は防衛上きわめて有利な立場にあり、海軍及び海軍航空隊は現在、この地域で長距離進攻作戦を実施する能力がある。
われわれは、次の点でもきわめて有利である。
すなわち、
(A)フィリピン諸島は今もなおアメリカ合衆国が領有している。
(B)友好的で多分連合側に加わる国家の政府が、蘭領東インドを支配している。
(C)われわれと友好関係にある英帝国が、香港とシンガポールを領有している。
(D)中国の主力軍隊が今なお日本と戦い続けている。
(E)日本の南方補給ルートに対し、重大な脅威を与えることのできる、米海軍の小部隊がすでにその作戦海域にいる。
(F)米国と同盟を結んだら貴重となる、オランダ海軍の相当規模の兵力が東洋に駐在している。

8 前述したところから、次の結論を引き出すことができる。米海軍が日本に対して速かに進攻作戦を実施すれば、日本は独伊のイギリス攻撃を支援できなくなるだろうし、日本は最も不利な情況で戦わざるを得なくなるか、もしくは海上封部隊により、かなり早い時期に国家が崩壊する状態に直面することになるだろう。
英国及び和蘭と適切な協定を結んだ後で、機敏かつ早期に対日宣戦を布告すれば、独伊が米国を効果的に攻撃する前に日本を早期に崩壊させ、太平洋から敵を排除できるだろう。さらに、日本を排除することは、独伊と対決している英国の立場を確かに強化するに違いない。さらに、そのような行動はわれわれと友好的関係を望んでいる、すべての国家の信頼と支援を増大させることだろう。

 9 現在の世論の情況からは、さらにより多くの騒動が発生しないかぎり、米国政府が対日宣戦布告を出来るとは思えない。われわれの積極的な動きにより、日本が態度を変更することはほとんどない。従って、次の施策八項目を提案する。
(A)太平洋の英軍基地、特にシンガポールの使用について英国との協定締結。
(B)蘭領東インド(現在のインドネシア)内の基地施設の使用及び補給物資の取得に関するオランダとの協定締結。
(C)蒋介石政権への、可能なあらゆる援助の提供。
(D)遠距離航行能力を有する重巡洋艦一個戦隊を東洋、フィリピンまたはシンガポールへ派遣すること。
(E)潜水戦隊二隊の東洋派遣。
(F)現在、ハワイ諸島にいる米艦隊主力を維持すること。
(G)日本の不当な経済要求、特に石油に対する要求をオランダが拒否するよう主張すること。
(H)英帝国が押しつける同様な通商禁止と協力して行われる、日本との全面的な通商禁止。

 10 これらの手段により、日本に明白な戦争行為に訴えさせることが出来るだろう。そうなれば、益々結構なことだ。いずれにしても、戦争の脅威に対応するため、われわれは十分に準備を整えておかなければならない。

    A・H・マッカラム

----------------------------------------------

【マッカラム覚書の検証】

マッカラム(Arthur N.McCollum)少佐は覚書起案当時、海軍情報部極東班長に在り、1940年10月7日付の覚書「Estimate of the Situation in the Pacific and Recommendations for Action by the United States」は、直属上司であるアンダーソン海軍情報部長に提出されたものであります。
 現在、この覚書は米国立公文書館で閲覧が可能です(レコード・グループ38、ボックス番号6、フォルダー番号5750−15)。

 公文書に関して、比較的機密性の高い文書は米国立公文書館側から「秘解除」(declassification)を実施する場合が一般的ですが、当該覚書に関してはスティネットの著書を精読した限りにおいて、「個別」に申請し「秘解除」したものと推測されます。つまり史料検証の前提として、当該文書が「機密性の極めて高い」史料として戦後50年以上秘匿されていた訳ではないことを認識する必要があります。

 では、当該覚書が中西輝政教授等一部論者が主張する「対日開戦促進計画文書」であったかについて検証しましょう。

 覚書の論点は、A〜Hまでの8項目の段階的実施勧告に集約されております。まず、Aの太平洋、特にシンガポール等太平洋に於ける英軍基地の利用について英国と協定を結ぶ件ですが、これは実行されておりません。

 次にBの在蘭印の基地使用と補給物資の調達についてオランダ政府と協定を結ぶ件ですが、これも実行されておりません。

 Cの蒋介石政権に対する可能な限りの援助に関しては、当該覚書以前の1939年からFDR政権に於いて実施されております。

 Dの航続能力の高い重巡洋艦の1個隊を極東、フィリピン或いはシンガポールに派遣する件ですが、これも実行されておりません。

 Eの潜水艦2個隊の極東派遣については実施されておりますが、これは南部仏印進駐等の緊迫した状況下での派遣であり、当該覚書との関連性には、個人的見解として懐疑的です。

 Fのハワイ水域にいる米国艦隊主力を引き続き駐留させる件ですが、対日抑止力の観点からFDR命令で1940年5月から真珠湾に常駐されております。当該覚書5か月前の決定であり、当該覚書との関連性には、これも個人的見解として懐疑的です。

 Gの対日経済交渉でのオランダへの非妥協要求についてですが、日蘭経済交渉は1940年夏に始まりましたが、当初からオランダ側の強硬姿勢で頓挫しておりました。交渉決裂は翌41年4月であり、これも当該覚書とは関連性が無いのではないでしょうか。

 Hの英国と共同して対日全面禁輸を実施する件ですが、これも日本の南部仏印進駐への報復的措置として在米資産凍結と石油全面禁輸を実施したものであり、マッカラム覚書とは恐らく無関係であるものと判断いたします。

 覚書起案当時の米国海軍部内の状況は、米国艦隊の準備不足、対独第一主義等の理由から、対日慎重論が主流であった点も見逃すことは出来ません。例えばスターク米海軍作戦部長等は、海軍戦備が不十分であるとの認識の基、対日全面禁輸にも反対しております。先述の通り、当該覚書は情報部長宛ですが、当時の米国海軍の序列では作戦部次長が情報部長より高位であること等から勘案し、マッカラムの対日強硬論が米国海軍の主流意見であった如くの一部見解には、相当の注意をもって接する必要があるでしょう。日本同様、開戦前の米海軍情報部の部内での地位は、相対的に低かったのであります(但し、開戦後は違います)。

 マッカラム覚書がFDR等最高首脳に影響を与えたとの具体的史料も無い以上、当該覚書に依拠して「米国の対日政策」を語る最近の一部保守派の論調には、私は基本的に反対の立場です。
337 hits

[6076]真珠湾攻撃直後の米国の混乱
←back ↑menu ↑top forward→
 かず色 E-MAIL  - 08/12/29(月) 23:17 -

引用なし
パスワード
   産経新聞「ルーズベルト秘録」取材班著『ルーズベルト秘録(下)』(扶桑社文庫刊)P167〜170より一部引用

米国上陸の幻影 日本軍をシカゴで食い止めろ


 真珠湾攻撃のあった12月7日(米東部時間)午後、混乱するホワイトハウスで大統領のルーズベルトと側近のホプキンズが日本軍の米西海岸上陸にどう対処すべきかを相談しているのを、大統領執事、アロンゾ・フィールドが立ち聞きしている。フィールドが一瞬、ギクリとしたのは、米太平洋艦隊が壊滅状態になった今、無防備の西海岸に日本軍が上陸するのは時間の問題というにわかに信じられないようなシナリオを二人が真顔で話し合っていたためだ。

 ルーズベルトはそのシナリオについて「だが、アメリカはロシア同様、広大な領土を持つ大陸国家だ。シカゴまで日本軍が来た時点で補給線が延びきるだろう。この時に反撃のチャンスがくる」と、結論づけている。(ドリス・グッドウィン著『ノー・オーディナリー・タイム』)。

 真珠湾攻撃が史上まれにみる奇襲の成功例となった背景には、米国が日本の攻撃力をあまりにも過小評価していた点が指摘できる。ノックス海軍長官が真珠湾攻撃を最初に報告した際、ルーズベルトが最初に発した言葉は「まさか」だった。陸軍長官、スティムソンは真珠湾攻撃の日、自宅で朝食をとっており、大統領からの急の知らせに対し「日本は英領マレーを攻撃しようとしている」と見当はずれの答えをしている。

 つまり、米国指導部の誰も米国が直接、攻撃にさらされるとは考えてもみなかったのである。だが、太平洋艦隊壊滅の報を受けて振り子は大きく逆に揺れ、今度は日本軍の米国上陸という幻影に悩まされることになる。

 ルーズベルトとホプキンズが日本軍をシカゴで食い止めようと相談した日の午後10時、スティムソンは陸軍次官の緊急電話に起こされた。陸軍情報部の知らせでは、日本の大規模な艦隊が米西海岸サンフランシスコを目指しており、間もなく上陸の心配があるというものだった。スティムソンは「知らせてくれたのはありがたいが、今や(日本軍を)阻止しようがないではないか」と、苦々しく返事している。

 結局、この情報は全く根拠のないもので、海上からサンフランシスコに向かっていると見られた飛行機群は実は、帰還する米爆撃機だったことが後で判明する(『スティムソン日記』)。

 太平洋を挟んで日本と対峙している米西海岸における恐怖と空騒ぎは深刻だった。後に中国・ビルマ・インド方面軍司令官になるジョセフ・スティルウェルはこの頃、カリフォルニア州中部のサンルイスオビスポから南部のサンディエゴまでを防衛する第3軍司令官をしていた。当時の日記をもとにした「スティルウェル文書」は、その時の米国の慌てふためきぶりを克明に記している。

「12月7日 ジャップ(日本)がハワイを攻撃。電話連絡あり。ジャップの艦隊がモントレー(サンフランシスコ南の第3軍本部)から10マイル(16キロ)に迫る。偵察機を出す」
「12月8日 日曜日(7日?)深夜にサンフランシスコが爆撃される。サンフランシスコはこのため夜間灯火管制に入った」
「12月9日 午前中は司令部に。34隻の(日本の)艦隊がサンフランシスコとロサンゼルスの間を航行中との報告あり。誤報とわかるが、悪い予感に襲われる。日本軍がすでに上陸したという多くの情報が寄せられたためだ」
「12月11日 サンディエゴの基地訪問。緊急報あり。日本主力艦隊がサンフランシスコ沖164マイル(約262キロ)に到着。全軍警戒態勢を発したが、どう対処すべきか見当もつかずに部屋をぐるぐる歩き回るばかり」<以上、引用終>

--------------------------------------------------------

 さすがにFDR等の政府首脳陣は、真珠湾攻撃の翌日以降には冷静な判断力を回復したものと想像(個人的見解)しますが、一方でスティルウェルの例でも分かるように、断片的な情報しか入ってこない現場の混乱はかなりのものであったことが推察されます。こういった、真珠湾攻撃直後の混乱振りを見ても、「真珠湾攻撃FDR陰謀説」は眉唾物と云わざるを得ません。

 田母神論文は、こういった客観的事実を故意に無視しているのか、或いは単に「無知」なのかもしれません。
322 hits

[6077]近衛上奏文
←back ↑menu ↑top forward→
 かず色 E-MAIL  - 08/12/31(水) 10:17 -

引用なし
パスワード
   「近衛上奏文」について

戦況が悪化する昭和20年2月、近衛文麿は天皇に拝謁し、所謂「近衛上奏文」を奏上いたします。この時期の戦局は、米軍によるフィリピン奪還作戦の趨勢が概ね決し、マニラ占領等、日本の絶対国防圏構想が瓦解していく時期と重なります。この重大な軍事的局面を鑑み、天皇はこの時期、各重臣たちを個別に皇居に招き、時局に関する各自の所見等を徴されております。

この「近衛上奏文」は、近衛の時局への認識が色濃く出ているのが特徴です。以下、簡単に纏めてみます。

1.国体護持の立場から、最も憂慮すべきことは、敗戦による「共産革命」である。
2.我が国内外の情勢は「共産主義革命」への急速に進みつつある。
3.憂慮すべきは軍部内「一味」の革新運動である。
(1)小壮軍人の多数は国体と共産主義は両立するものと信じている(軍部内革新論の前提)。
(2)職業軍人の大部分が中流以下の階層出身者であり、「共産主義」受入の素地がある。
(3)満州事変、支那事変、大東亜戦争は、「是等軍部内の意識的計画」と思われる。
(4)満州事変当時、彼等は事変の目的を「国内革新」にあると公言していた。
(5)「この一味の中心的人物」は、事変が長引くのが良く、解決すれば国内の革新が出来なくなると公言。
 4.彼等を取巻く「一部官僚及民間有志(右翼※・左翼)は、「共産革命」へ誘導する意図を抱いている。
   ※近衛曰く「右翼は国体の衣を着けたる共産主義なり」
5.「一億玉砕」の右翼主張の背後で、革命実現を目的として、「共産分子」が之を扇動している。
6.敗戦必至とすれば、国体護持の観点から速やかに戦争終結を図らなければならない。
7.軍部内「一味」粛清は「共産革命」阻止の先決条件であり、「非常の御勇断」を願う。

 この上奏内容の系譜を辿ると、早くも昭和18年11月の木戸幸一宛書簡にその萌芽が見られます。内容は概ね上記上奏文と重なる部分が多々ありますので省略いたしますが、注目すべき点を簡単に列挙します。
●生産拡充5ヵ年計画等の軍部内「革新案」は、次第に急進的なものに修正された。
●「軍部内の一団」の中心人物は池田純久であると思われる。
●梅津(美治郎)の系統は、池田を始めとして「最警戒を要する革新分子」であり、梅津が首相または陸相になれば「最急激なる革新実現に拍車をかける可能性甚大なり」。

 近衛上奏文は元首相の天皇への「奏上」であり、吉田茂等と文案を検討した点からも勘案し、当時の一部政治指導者の現状認識を理解する上で貴重な資料であると考えます。この上奏が、天皇の終戦決断に微妙な影響を与えたのかは定かではありません。但し、当時の天皇にとって「国体護持」の観点から敗戦後の共産主義革命を警戒していたことは容易に推察可能です。従って天皇は兎も角、仮に天皇側近等が当該近衛説に共感を抱いたとしても不思議ではないでしょう。

 コミンテルン陰謀論者は、この「近衛上奏文」を以て、軍部内一部が赤色革命を企図していたこと無批判に主張する傾向があります。ただ、木戸幸一宛近衛書簡にも見られるように、池田純久が急進的国家改造主義者であったかというと疑問があります。永田鉄山直系の統制派イデオローグとして、高度国防国家建設の一翼を担ったのは確かですが、「共産革命」を目的とした証拠は皆無であります。また、梅津美治郎は有能な軍官僚ではありましたが、その思想に「革新性」は感じられません。

池田の人脈には、確かに平野義太郎等、後年の講座派マルクス主義の重鎮もおります。そういった観点からも「陰謀論」を膨らませる下地はあるでしょう。但し、池田の戦後の足跡にも「陰謀論」を補完するようなものは皆無であること等を勘案すると、この「近衛上奏文」は、敗戦後の共産革命による国体護持への懸念が生んだ近衛等の「妄想」と理解するべきであると考えます。

------------------------------------------------

【近衛公 昭和20年2月14日付奏上内容要旨】

今や残念ながら敗戦は必至である。ただ英米の世論は我が国体の変革までは未だ考えていないので、敗戦だけならば国体上さして心配を要しないと思われる。国体護持の立場から最も憂慮すべき事は、敗戦に伴って「共産革命」の起こることである。しかも、我が国内外の情勢は「共産革命」へと今や急速に進みつつある、と考える。ソ連は世界革命を推進しており、将来わが国に対して共産党の公認、共産主義者の入閣、治安維持法の撤廃、日独伊防共協定の破棄等々を要求する惧れが充分にある。他方我が国内をみるに、生活の窮乏、労働者の「発言度」の増大、対英米敵愾心の高揚の反面としての親ソ的空気の台頭、軍部内「一味」の革新運動、これに便乗するいわゆる新官僚の運動、これを背後から操る「左翼分子の暗躍」等、「共産革命」の条件は日々に熟しつつある観がある。特に憂慮すべきものは、軍部内「一味」の革新運動である。少壮軍人の多数は国体と共産主義とは両立すると信じているようであり、軍部内の革新論もその前提に立っていると思われる。職業軍人の大部分は中流以下の家庭の出身であり、そこで多数は「共産的主張」を受け入れやすい境遇にあり、「共産分子」は国体と共産主義とは両立するとの論で彼らを動かそうとしている。そもそも、満州事変、日中事変を起こし、これを拡大して大東亜戦争へと導いたのは、「是等軍部内の意識的計画」によるものであったことは、今日では明瞭と思われる。満州事変当時彼らが事変の目的は国内革新にあると公言し、日中事変当時も「此の一味の中心人物」は事変の長引くのがよく、事変が解決すれば国内の革新はできなくなると公言した。「是等軍部内一味の革新論」の狙いは必ずしも「共産革命」ではないにしても、彼らを取り巻く「一部官僚及び民間有志(之を右翼といふも可、左翼といふも可なり。所謂右翼は国体の衣を着けたる共産主義なり)」は、「共産革命」へ誘導しようという意図を抱いており、これに無知、単純な軍人が踊らされたものとみて大過ない、と思われる。以上は過去10年間軍部、官僚、右翼、左翼と接触をもった自分が最近静かに反省して到達した結論であり、この結論に立脚して過去10年間の動きを顧みる時、思い当たる節々の甚だ多いのを感じる。自分はこの間に2度までも組閣したが、国内の相克、摩擦を避ける為にこれら革新論者の主張を出来るだけ容れ、挙国一致の実を挙げようと焦慮した為、彼らの主張の背後に潜む意図を充分看取出来なかった事は誠に申訳なく、深く責任を感じている。
昨今戦局危急なるとともに「一億玉砕」を叫ぶ声が高まってきた。この様な主張をなしている者は所謂右翼であるが、しかし、背後からこれを扇動しているのは、これによって国内を混乱させ、革命を実現しようとする「共産分子」である、と考える。一方においては烈しく米英撃滅が唱えられている反面、親ソ的空気が次第に濃厚になって来ているようであり、軍部の一部には日ソ提携論、また延安の中共政権との提携論もあるとの事である。このように、国の内外にわたって「共産革命」の条件は日一日と成長しつつあり、今後戦局が益々不利になれば、この形勢は急速に進展すると思われる。それ故に、敗戦必至とすれば、国体護持の上からは一日も速やかに戦争終結を図らねばならないと確信する。この戦争終結に対する最大の障害は、満州事変以来時局を推進してきた軍部内のかの「一味」であり、これらを一掃さえすれば、これに便乗してきた官僚、民間の右翼、左翼も影を潜める事になろう。軍部内の以上の「一味」を一掃して軍部の粛清を行うことは、「共産革命」から日本を救うための先決条件である故に、「非常の御勇断」のほどが願わしい、と考える。

*岡義武教授著「近衛文麿(岩波新書)」より転載引用。
327 hits

[6091]櫻田淳准教授の田母神論文批判
←back ↑menu ↑top forward→
 かず色 E-MAIL  - 09/1/4(日) 23:30 -

引用なし
パスワード
   【正論】空幕長論文の正しさ・つたなさ 東洋学園大学准教授・櫻田淳
※産経新聞 2008年11月7日付記事(コラム)より引用


現場職務と「歴史認識」

 田母神(たもがみ)俊雄航空幕僚長が「日本は侵略国家であったのか」と題された論稿(以下、「田母神論稿」と略)を懸賞応募論文として発表し、更迭された一件は、「正しい議論」と「賢明な議論」が自(おの)ずから別種のものであることを筆者に再確認させた。

 たとえば、「田母神論稿」が訴えたように、集団的自衛権行使の許容、武器使用基準の緩和、攻撃的兵器(策源地攻撃能力)の保持が、日本の安全保障政策上、必要であるという主張は、日本の安全保障研究者には受け容(い)れられるものであろう。その点に関する限りは、「田母神論稿」は、「正しさ」を含んだものであろう。

 しかし、「田母神論稿」は、2つの意味において「賢明さ」を備えてはいなかった。

 第1には、こうした論稿を航空幕僚長が発表する「必然性」は、甚だ乏しいものであった。「田母神論稿」は、もし前述の安全保障体制に絡む不備を「現場の声」を代弁して訴える趣旨のものに留まっていたならば、「勇気ある問題提起」と解されたかもしれない。しかし、「田母神論稿」では、何故(なぜ)、歴史認識の開陳が行われたのであろうか。こうした歴史認識の開陳は、政治(活動)家や歴史家、あるいは思想家ならば手掛けるかもしれないけれども、航空軍事組織の総帥としての職務とは、全く関係のないものである。


政策の合意形成に支障

 「日本は侵略行為をしたのではない」云々(うんぬん)という主張には、筆者は、「そもそも、貴官が、それを語って何の意味があるのか」と反問せざるを得ない。振り返れば、終戦時の陸軍大臣であった阿南惟幾には、二・二六事件の折、陸軍幼年学校校長として全校生徒を集め、「農民の救済を唱え政治の改革を叫ばんとする者は、先ず軍服を脱ぎ然る後に行え」と厳しく訓示したという挿話が伝えられている。『軍人勅諭』にも「世論に惑はす政治に拘らす只(ただ)々一途(いちず)に己か本分の忠節を守り…」という訓戒がある。「田母神論稿」は、武官としての「本分」からも疑義のあるものではなかったか。

第2には、「田母神論稿」が招いた騒動は、「軍事を語る人々=軍国主義者・右翼」といった従来からのステレオタイプを補強するものになるかもしれない。こうしたステレオタイプは、安全保障政策に絡む広範な合意を形成する上での最たる支障となってきた。筆者は、この論稿を内心、歓迎したのは、旧来の平和主義者層や「進歩・左翼」知識層ではなかったかと想像する。彼らが「それ見たことか…。軍人は所詮(しょせん)、こういうものだ…」と反応していたとしても何ら不思議ではない。

 実際、「田母神論稿」を批判する「進歩・左翼」知識層の所見には、「小学校から歴史を勉強し直せ」というものがあったけれども、この所見それ自体は、自説と認識を異にする意見への偏狭さの趣を漂わせたものであった。しかし、こうした所見を呼び込んだのは、「田母神論稿」の責任なのである。

実績の積み重ねに逆行

 振り返れば、陸海空三自衛隊は、特に1990年代以降、内にあっては、このような旧来の平和主義者層や「進歩・左翼」知識層、外にあってはアジア近隣諸国の疑念の眼差(まなざ)しに晒(さら)されながら、慎重に「国際貢献」の実績を積み重ねてきた。たとえばイラク派遣自衛隊部隊の復興支援活動が象徴するように、過去十数年の「国際貢献」を軸とした海外での活動に際して留意されたのは、「日本の自衛隊は、往時の日本の軍隊とは違う」ということを内外に説明することであった。

 こうした実績の積み重ねは、日本に対する信頼と共感を担保してきたし、その上でこそ、現在でも自衛隊の活動の幅を広げる試みが一歩一歩、進められている。昨年来の政局の焦点であるインド洋での補給活動もまた、そうした試みの一環なのである。「田母神論稿」が、そうした過去十数年の活動の成果に裏付けられた日本への信頼と共感を揺るがせるならば、その代償は、誠に大きなものであろう。

凡(およ)そ、「本分」を弁(わきま)えない論稿や発言は、それに共鳴する人々からは「正しい議論」と評されたとしても、決して「賢明な議論」とはなりえない。特に政治家や政府高官の発言は、それぞれの時局に際しての「必然性」の裏付けを伴ったものかどうかで評価されるべきである故に、「正しい議論」であることよりも「賢明な議論」であることが要請される。「田母神論稿」は、最高位の武官としての職務に伴う「賢明さ」よりも自らの「正しさ」を世に訴えるものであった。筆者は、そのことを何よりも残念に思う。(さくらだ じゅん)
269 hits

[6105]ジョン・ダワー教授の田母神論...
←back ↑menu ↑top forward→
 かず色 E-MAIL  - 09/1/6(火) 22:05 -

引用なし
パスワード
   【私の視点】田母神論文「国を常に支持」が愛国か
ジョン・ダワー 米マサチューセッツ工科大学教授
※朝日新聞2008年12月22日付朝刊記事より引用

 太平洋戦争の開戦問題は、田母神俊雄・前航空幕僚長の論文「日本は侵略国家であったのか」の核心の一つで、日本が「ルーズベルトの仕掛けた罠」にはまって真珠湾攻撃を決行した、と論じている。
 米国にとって「パールハーバー」は記憶から消し去れない出来事だ。01年の9.11米同時テロと、これに続く米国主導のイラク戦争という選択は、その記憶を思いがけず衝撃的な形でよみがえらせた。
 米各紙は9.11を真珠湾攻撃になぞらえ、見出しに「インファミー(不名誉)」を掲げた。真珠湾攻撃に対し、当時のルーズベルト大統領が使った「不名誉のうちに生きる日」を下敷きにした表現だ。ブッシュ大統領もこれに反応し、9.11を「21世紀のパールハーバー」と日記に記した。通俗的なこの連想は、ブッシュ政権による02年9月の「先制攻撃」政策発表、半年後のイラク侵攻というブーメランとなった。真珠湾攻撃も9.11も米国に挑む戦争として強く非難した米国が、今度は自らが戦争の道を選択したのである。
 米の著名な歴史家アーサー・シュレジンジャーは、「予防的自衛」のブッシュ・ドクトリンは「日本帝国の真珠湾攻撃と驚くほど似ている」とし、「今度は我々米国人が不名誉に生きることになる」と鋭く見抜いた(03年3月)。

 だが、大半の米国人は愛国主義に目を曇らされ、米国の安全への重大な挑戦とする政府側にくみした。戦争は早期に終結し、イラク戦後の体制変革も円滑に進むというブッシュ政権の保証を信じ込んでしまったのである。
 ブッシュのイラク戦争は、相手の特質や能力を真剣に考察することなく、戦争をいかに終わらせるかの展望もない「戦略的な愚行」(米海軍史家サミュエル・モリソンの50年代初頭の指摘)という点で、日本による真珠湾攻撃との類似性を想起させる。半世紀以上前に日本が犯した「戦略的な愚行」は今では皮肉にも、もはやそうユニークなことではないようだ。
 冒頭の、太平洋戦争の開戦を「ルーズベルトの罠」とする田母神論文の主張は、綿密な検証に耐え得る事実にも論理にも支えられえいない。
 この主張は陰謀史観そのものだが、米国では半世紀余も前に信用できないとして退けられた二つの説を反映している点は興味深い。一つは、ルーズベルトの外交政策を非難する孤立主義者が引き合いにした「バックドア・トウー・ウォー(戦争への裏口)」説。彼らは、アジアへ侵略しナチスドイツと同盟を結ぶ日本を米国がなだめすかすことで戦争を回避できたし、そうすべきだと論じた。もう一つは、40年代後半から50年代に吹き荒れたマッカーシズムという政治的魔女狩りの中で唱えられた、「共産勢力」が操っていたとする説だ。

 では、日米間の戦争は避けられたのか。これについては日本語と英語の何万ページもの関係文書や学問的研究がある。なぜ、米日間の外交交渉が戦争を食い止められなかったのかについてはいつも論議の対象になるが、陰謀史観はこの問題を説明できない。
 米国が、日本の中国侵攻・占領、そしてナチスドイツとの同盟を支持すべきだったとでもいうのだろうか。田母神論文には、この件に関する膨大な史料をまともに検証した形跡がない。日本の中国支配を単純に肯定するだけで、当時のアジアの危機をいかに解決できたかについてを問いただした形跡もうかがえない。
 どこの国でも、熱に浮かされたナショナリストがそうであるように、彼は他者の利害や感情に全く無関心であるかに見える。中国人や朝鮮人のナショナリズムは、彼の描く絵には入ってこない。
 アジア太平洋戦争について、帝国主義や植民地主義、世界大恐慌、アジア(特に中国)でわき起こった反帝国主義ナショナリズムといった広い文脈で議論することは妥当だし、重要でもある。戦死を遂げた何百万もの日本人を悼む感情も同様に理解できる。
 しかし、30年代および40年代前半には、日本も植民地帝国主義勢力として軍国主義に陥り、侵攻し、占領し、ひどい残虐行為を行った。それを否定するのは歴史を根底から歪曲するものだ。戦後、日本が世界で獲得した尊敬と信頼を恐ろしく傷つける。勝ち目のない戦争で、自国の兵士、さらには本土の市民に理不尽な犠牲を強いた日本の指導者は、近視眼的で無情だった。
 国を愛するということが、人々の犠牲に思いをいたすのではなく、なぜ、いつでも国家の行為を支持する側につくことを求められるのか。

38年生まれ。専門は日本近代史。主著「敗北を抱きしめて―第二次大戦後の日本人」でピュリツアー賞受賞。
278 hits

[6109]益川教授とUFO談議
←back ↑menu ↑top forward→
 かず色 E-MAIL  - 09/1/7(水) 0:00 -

引用なし
パスワード
   益川教授とUFO談議

昨夜、家族でテレビを観ていた時のこと。ノーベル賞受賞の益川京都産業大学教授への質問コーナーで、中学生の女の子への質問に対し、教授は次のような興味深い回答をしておりました。

女子中学生
「私は以前UFOを見たのですが、誰も信じてくれません。先生はUFOを信じますか?」

益川教授
「自然現象等、様々な要因が考えられると、私なら先ず考える」
「事象についてあらゆる角度から、何度も『否定』を試みること。これが科学です」

--------------------------------------------------------------------

教授の特に最後の言葉は(表現はともかく、ニュアンスはこんな感じでした)、歴史を検証する姿勢としても重要であると考えます。

田母神氏のみならず、昨今の歴史議論には、未だ左右を問わず「科学≒科学的思考」から遊離した議論が散見されます。こうした実証性・合理性無き論理が跳梁跋扈する背景には、「科学的思考」の軽視がある云えるでしょう。
275 hits

[6110]Re(1):益川教授とUFO談議
←back ↑menu ↑top forward→
 とほほ E-MAIL  - 09/1/7(水) 12:10 -

引用なし
パスワード
   ▼かず色さん:
>益川教授
>「自然現象等、様々な要因が考えられると、私なら先ず考える」
>「事象についてあらゆる角度から、何度も『否定』を試みること。これが科学です」
>
>--------------------------------------------------------------------
>
>教授の特に最後の言葉は(表現はともかく、ニュアンスはこんな感じでした)、歴史を検証する姿勢としても重要であると考えます。

確かにその通りなのですが、かず色さんが行った引用部分だけの解説としては不適切です。

益川教授の態度は、非科学であるとか疑似科学であるとかの論説に対して行うべき態度、ということです。
では、非科学・疑似科学と科学はどこで線を引くのか?ということになるわけですが、これはその個人の科学への造詣の深さが影響してくるわけです。

益川教授にとっては、UFOとは非科学以外のないものでもありません、又一般的にも非科学でしょう、科学がその現象を認めるに十分なパラダイムも持っていないために、必要外の知能労働コストを排斥する作用が働くのです。

UFO否定と科学の持つ批判精神は全く異なります、かず色さんの考え方が非常におかしくなる時があるのはこのためです。

科学者は、その科学者の持つキャリアの中にあるパラダイムにうまく合致しない例ついては否定的に思考します。まず自分の持つパラダイムの中で解決しようとします。だからといってこの現象が己のパラダイムの中で解決できない場合は、当然パラダイムを転換していかねばなりません。この転換がなければ相対論も量子論も生まれることはなかったわけです。

この益川教授の言葉を利用して、かず色さんの映像資料に対する偏見は全く正当化されません。
269 hits

[6111]Re(1):益川教授とUFO談議
←back ↑menu ↑top forward→
 トロープ  - 09/1/7(水) 17:58 -

引用なし
パスワード
   ▼かず色さん:
>女子中学生
>「私は以前UFOを見たのですが、誰も信じてくれません。先生はUFOを信じますか?」
>
>益川教授
>「自然現象等、様々な要因が考えられると、私なら先ず考える」
>「事象についてあらゆる角度から、何度も『否定』を試みること。これが科学です」
>
>教授の特に最後の言葉は(表現はともかく、ニュアンスはこんな感じでした)、歴史を検証する姿勢としても重要であると考えます。

 UFO(未確認飛行物体)自体は間違いなく実在しますので、それを否定するというのは非科学的態度です。文脈的にはUFOを「異星人の乗る飛行物体」という意味で使っているようですが、科学的態度を重視するなら、いい加減な用語の使い方もしないよう気をつけなくてはいけません。

 といった揚げ足取りは別として、益川教授が言いたいであろうことは理解できます。番組は見ていないのですが、何事も検証が大事というごく当然のことを述べられただけでしょうし。

 ただ「事象についてあらゆる角度から、何度も『否定』を試みること。これが科学です」という言葉を重要とするかず色さんのご意見には同意できません。これだけだと疑似科学ビリーバーや歴史修正主義者たち、つまり非科学的に「定説の否定」を試みる側も喜んで同意しそうですし、ちょっと言葉足らずでしょう。
253 hits

[6112]Re(2):益川教授とUFO談議
←back ↑menu ↑top forward→
 タラリ E-MAIL  - 09/1/7(水) 21:53 -

引用なし
パスワード
   トロープさんのレスまででだいたい尽きていると思います。

益川教授の
「自然現象等、様々な要因が考えられると、私なら先ず考える」
「事象についてあらゆる角度から、何度も『否定』を試みること。これが科学です」
という回答はUFO個別の問題への回答であって、科学的態度の一般論を言っているものではありません。この点についてかず色さんは誤解なさっているようです。

"unidentufied flying object"としてのUFOはまれに観測されますが、同一の現象と見られるものではなく、おそらく雑多な現象の寄せ集めでしょう。まれにしか観測されず、その観測の精度・再現性・客観性自体が疑われる場合はそもそも研究対象とすることができません。「否定」を試みるのは現象の実在と同一性を確認するための作業です。

自然科学者が、再現性・客観性のある現象に対して「何度も『否定』を試みる」という態度をとることはありえません。

南京事件・従軍慰安婦・ナチスのガス室などは歴史学の分野ですが、正統な歴史学の手続きを踏んで多数の歴史学者・ジャーナリストが実在を確認し、実態をいまも解き明かしつつある歴史的事件であり、誰が「何度『否定』を試み」ようと否定できない史実です。
247 hits

[6113]文民統制に関する私見
←back ↑menu ↑top forward→
 かず色 E-MAIL  - 09/1/7(水) 23:30 -

引用なし
パスワード
   文民統制に関する私見

2007年10月に発覚した海上幕僚監部による米補給艦への給油量の隠蔽発覚問題、同年11月の守屋前防衛省事務次官汚職逮捕、そして昨年2月の海自イージス艦「あたご」の衝突事故等、最近の防衛省・自衛隊は不祥事に激しく揺らいでおります。
私は、今般の田母神俊雄航空幕僚長による論文問題には背景を考えた時、これら一連の不祥事件を生み出す「組織的問題」が、自衛隊内部に根深く存在するように思えてなりません。

上記懸念とも関連して、私は昨年発表された政府報告書のある一節が非常に気がかりではあります。
昨年12月に防衛省改革会議が首相官邸内に設置され、防衛省・自衛隊の一連の不祥事の検証、並びに今後の防止策が協議されました。同会議は昨年7月に(つまり田母神論文問題前)に最終報告書を発表。同報告にはあたご事故を「ルール無視の組織的蔓延」、米補給艦給油量隠蔽問題に至っては「規律の緩みというレベルを超えて、文民統制への不遜な不服従を含意している」と最大限の批判を行っております。

しかしながら、同報告書は一方で「自衛隊が民主的政治の意向を無視して行動する可能性はほとんどないことは明白」とも言及。結果、内局の運用企画局(部隊運用の法的作成部門)を統合幕僚監部(つまり制服組)に統合する組織改革を提言しておりますが、当該提言の根底には、「たとえ不祥事が続いても、基本的に自衛隊は『自制的』である」との認識が政府関係者にあったものと推察します。

「自衛隊が民主的政治の意向を無視して行動する可能性はほとんどないことは明白」

田母神論文問題前であれば、国民の多くはこの基本的見解を概ね支持したのではないでしょうか。然しながら、戦後自衛隊創成期からの弛まぬ「自己抑制」が築き上げてきた国防組織へのある種の「安心感」が、件の論文問題によって根底から揺らいでおります。

自衛隊内部に組織的・構造的問題が内在し、論文問題に見られるようなある種の「文民統制への反発」的傾向が芽生えているのか、私には未だ良く解りませんが、若しかしたら田母神論文のような問題は、今後いつでも起こりうるものなのかもしれません。
田母神氏は一貫して、自衛官による特定の歴史観の披瀝は「職務とは関係がない」と主張しておりますが、仮にこの認識が幹部自衛官の一般認識となりつつあるのであれば、「民主主義国家に於ける文民統制」への重大な挑戦と言わざるを得ません。昭和の軍人が国家統治や外交政策、偏狭な歴史観を主張し行動した結果が国策を著しく歪めた事実を我々は再認識し、今後の田母神論文問題の推移を注視するべきであると考えます。

国民一人一人が自国の防衛政策・国防組織を注視し、政策決定に健全な民意を反映させるよう努力すること。これが本来の「文民統制」なのではないでしょうか。

文民統制について、仕事帰りの疲れた頭でとりとめもなく「感想文」を書いてしまいましたが、渡部昇一教授等の一部保守派が、最近歴史認識問題から当該問題に議論の方向をシフトさせていること(WILL2月号参照)を憂慮し、今後も皆様と議論を深めていけたらと願っております。
238 hits

[6116]Re(1):益川教授とUFO談議
←back ↑menu ↑top forward→
 大河  - 09/1/8(木) 19:40 -

引用なし
パスワード
   かず色さんの、博識、引出しの多さ、開示能力には敬服しているものです。

 そのテレビ番組は途中から私も見ましたが

女子中学生は
「私は以前UFOを見たのですが、それで宇宙人は私はいると思うんですが、先生はどうですか?」
と、宇宙人の存在を質問したと思います。それに対し
益川教授
「自分もUFOを見たことがある。ソ連がスプートニクという人工衛星を打ち上げた頃…。しかしUFOは自然現象で説明できる事が多い、良く調べて、良く考える事が大事」

記憶が曖昧なのですが、少年時代の益川氏は自分のUFO体験をスプートニクではないのかと疑った様な事を言っていませんでしたか?文脈によっては「否定」という言葉は出たかも知れませんが、「あれではないか?」と検証して、それが「否定」されたら「これではないか」と検証する。それを何回でもやる。強調したのはこういう事だったと記憶しています。

こういう事は
「事象についてあらゆる角度から、何度も『否定』を試みること。これが科学です」
とは違うと思うのですが。又「これが科学です」と断定した記憶は私にはありません。聞き漏らしたかも知れませんが。

結論としては、トロープさんの「推論」が見事にあたっていると思います。
後は、ビデオでも検証すれば良い事です。
231 hits

[6117]Re(2):益川教授とUFO談議
←back ↑menu ↑top forward→
 かず色 E-MAIL  - 09/1/8(木) 21:13 -

引用なし
パスワード
   ▼大河さん:

補足説明ありがとうございます。
番組を見ていない第三者が、私の引用コメントを「客観的」に判断する上で、貴方の上記ご指摘は大変有益であると考えます。
228 hits

[6118]石破茂衆院議員の「文民統制」...
←back ↑menu ↑top forward→
 かず色 E-MAIL  - 09/1/8(木) 21:23 -

引用なし
パスワード
   自民党防衛族の大物、石破茂衆院議員が、論文問題直後に自身のブログで「文民統制」に関し、以下の見解を披瀝しております。私が管理するMIXIコミュ「田母神俊雄元航空幕僚長反対!」に於いて、以前メンバーの一人から紹介されたものですが、文民統制について深く考察されており、一読するに値する文章であると感じましたので、ご紹介いたします。

--------------------------------------------------

2008年11月10日 (月)

文民統制

石破 茂 です。

 田母神前航空幕僚長の解任について述べた私の見解について、随分と多くの賛否のご意見が寄せられています。ありがとうございます&その多さにちょっとびっくり。
 ちょっと長くなりますが、私見を何点か付け加えておきたいと思います。

 シビリアン・コントロールの観点から、自衛官(一般的には軍人)には、政治的・思想的中立が強く求められます。
 政治は「党派性」を属性とし、思想は「排他性」を特性のひとつとします。仮に自衛官が、政党や思想グループの一方に加担すれば、他の党や思想を支持する勢力は軍事的な弾圧を受けかねませんし、実力組織が複数の勢力に分かれることはそのまま内乱の危険性を意味します。実力組織(軍)に政治が介入してはなりませんし、政治に実力組織が介入してもならないのです。
 
 しかしこれは、彼らが政治的・思想的に無知・無関心であってよいということを意味するものでは決してありません。どのような政党を支持しようと、どのような思想を有しようとそれは国民一人一人の自由であり、憲法上も当然保障されているものです。
 いや、それ以上に、彼らが政治的・思想的知識を豊富に持つことはむしろ有用でもありましょう。
 要は、「現職自衛官は政治的・思想的な活動を行なってはならない」ということに尽きるのだと考えています。

 私は防衛庁長官、あるいは防衛大臣在任中に、自衛官の方々に対して、あらゆる機会を通じて、
 「諸官は『与えられた装備、権限で全力を尽くす』と言うが、それだけでは充分ではない。選挙で選ばれる政治家は、主権者たる国民に直接責任を負う唯一の立場であることから文民統制の主体なのであり、戦車や護衛艦や戦闘機を操って己の危険を顧みず行動したことは無く、所詮は素人である。
 『この装備にはこのような問題がある』『今許されている権限ではこのような場合にこんな対応しか出来ない』ということは実際に行動する諸官にしかわからないのであり、それについて政治に対し発言することは、諸官の権利であるとともに、文民統制を実効あらしめるための義務でもある」
と述べてきました。
 田母神氏前空幕長は、航空自衛隊の雑誌「鵬友」への寄稿「航空自衛隊を元気にする10の方策」の中で私のこの発言に触れておられますが、私は、装備、権限につき、専門家である自衛官の意見を文民統制の主体たる大臣に述べることを求めたのであり、歴史観や憲法観についての発言を公の場で為すことを促したのではありません。

 昭和53年、統合幕僚会議議長であった栗栖弘臣氏が所謂「超法規発言」を行ない、金丸防衛庁長官から解任されましたが、今回の田母神氏の発言はこれとは相当に異なっているように思われます。
(栗栖発言についてはいつかまた紹介しますが、彼は「有事法制を欠いた今の日本では、他国の侵略を受けた場合、国の独立と平和を守ることを任務とする自衛隊は超法規的に動かざるを得ないことになる。だからこそ有事法制の制定が必要だ」と述べたものと理解しています。歴史認識の開陳でもなく、憲法改正論でもありませんでした。
有事法制が制定された直後、防衛庁長官室を訪ねられ、感慨深げだったのを覚えていますが、その後間もなくお亡くなりになりました)。

 今回の問題は、田母神氏の行動とその後の政府の対応が文民統制の観点からどうであったか、の一点に絞って論ぜられるべきものです。
 雑誌「論座」にも以前書きましたが、「愛国心」に限らず「愛」等という面映い言葉は優れて内面的なものであり、人に強制したり、声高に語ることを私は是としません。
 そして対象が国であれ、人であれ、良いところも悪いところも、正しかったことも間違っていたことも直視し、なおそれを受容することこそが「愛」なのだと思っています。
 皇室を敬い尊ぶこと、「国民の祝日」に国旗を掲げること、紀元節(建国記念日)にきちんと神社にお参りし、これを祝うこと。そのようなことは誰に言われるまでもなく自分自身でするべきことですし、少なくとも私はそうしてきました。
 
 歴史はその本質が科学である以上、あくまで客観的に捉えるべきですし、存在する多くの見方を自分自身で吟味し、判断すべきです。だから私は世に言う「自虐史観」も「自慢史観」も嫌いなのです。
236 hits

[6120]Re(3):益川教授とUFO談議
←back ↑menu ↑top forward→
 とほほ E-MAIL  - 09/1/8(木) 21:37 -

引用なし
パスワード
   ▼かず色さん:
>補足説明ありがとうございます。
>番組を見ていない第三者が、私の引用コメントを「客観的」に判断する上で、貴方の上記ご指摘は大変有益であると考えます。

何を言っているんだか(^^;
補足説明ではなく、益川さんはかず色さんが言ったようなことは行っていない、と説明しているのですよ。つまりかず色さんの引用はデタラメだ、と言っているのです。
240 hits

[6121]石破茂議員の田母神論文批判
←back ↑menu ↑top forward→
 かず色 E-MAIL  - 09/1/8(木) 23:29 -

引用なし
パスワード
   先程は2008年11月10日付の石破茂衆議院議員のブログ「文民統制」をご紹介いたしましたが、その5日前に書かれた田母神論文批判についてもご紹介いたします。
因みに、石破氏はその歴史観に於いて、渡部昇一先生と激しい論争を繰り広げておりますが、私は石破氏の政治家としての歴史認識・バランス感覚を評価するものです。

--------------------------------------------

2008年11月 5日 (水)

田母神・前空幕長の論文から思うこと
 
石破 茂 です。 

 田母神(前)航空幕僚長の論文についてあちこちからコメントを求められますが、正直、「文民統制の無理解によるものであり、解任は当然。しかし、このような論文を書いたことは極めて残念」の一言に尽きます。
 同氏とは随分以前からのお付き合いで、明るい人柄と歯に衣着せぬ発言には好感を持っており、航空幕僚長として大臣の私をよくサポートしてくれていただけに、一層その感を深くします。

 日中戦争から先の大戦、そして東京裁判へと続く歴史についての私なりの考えは、数年前から雑誌「論座」などにおいて公にしており、これは田母神氏の説とは真っ向から異なるもので、所謂「民族派」の方々からは強いご批判を頂いております(その典型は今回の論文の審査委員長でもあった渡部昇一上智大学名誉教授が雑誌「WILL」6月号に掲載された「石破防衛大臣の国賊行為を叱る」と題する論文です。それに対する私の反論は対談形式で「正論」9月号に、渡部先生の再反論は「正論」11月号に掲載されています。ご関心のある方はそちらをご覧下さい)。
 
 田母神氏がそれを読んでいたかどうか、知る由もありませんが、「民族派」の特徴は彼らの立場とは異なるものをほとんど読まず、読んだとしても己の意に沿わないものを「勉強不足」「愛国心の欠如」「自虐史観」と単純に断罪し、彼らだけの自己陶酔の世界に浸るところにあるように思われます。
 在野の思想家が何を言おうとご自由ですが、この「民族派」の主張は歯切れがよくて威勢がいいものだから、閉塞感のある時代においてはブームになる危険性を持ち、それに迎合する政治家が現れるのが恐いところです。
 加えて、主張はそれなりに明快なのですが、それを実現させるための具体的・現実的な論考が全く無いのも特徴です。
 「東京裁判は誤りだ!国際法でもそう認められている!」確かに事後法で裁くことは誤りですが、では今から「やりなおし」ができるのか。賠償も一からやり直すのか。
 「日本は侵略国家ではない!」それは違うでしょう。西欧列強も侵略国家ではありましたが、だからといって日本は違う、との論拠にはなりません。「遅れて来た侵略国家」というべきでしょう。
 「日本は嵌められた!」一部そのような面が無いとは断言できませんが、開戦前に何度もシミュレーションを行ない、「絶対に勝てない」との結論が政府部内では出ていたにもかかわらず、「ここまできたらやるしかない。戦うも亡国、戦わざるも亡国、戦わずして滅びるは日本人の魂まで滅ぼす真の亡国」などと言って開戦し、日本を滅亡の淵まで追いやった責任は一体どうなるのか。敗戦時に「一億総懺悔」などという愚かしい言葉が何故出るのか。何の責任も無い一般国民が何で懺悔しなければならないのか、私には全然理解が出来ません。

 ここらが徹底的に検証されないまま、歴史教育を行ってきたツケは大きく、靖国問題の混乱も、根本はここにあるように思われます。
 大日本帝国と兵士たちとの間の約束は「戦死者は誰でも靖国神社にお祀りされる」「天皇陛下がお参りしてくださる」の二つだったはずで、これを実現する環境を整えるのが政治家の務めなのだと考えています。総理が参拝する、とか国会議員が参拝する、などというのはことの本質ではありません。

 「集団的自衛権を行使すべし!」現内閣でこの方針を具体化するスケジュールはありませんが、ではどうこれを実現するか。法体系も全面的に変わりますし、日米同盟も本質的に変化しますが、そのとき日本はどうなるのか。威勢のいいことばかり言っていても、物事は前には進みません。

 この一件で「だから自衛官は駄目なのだ、制服と文官の混合組織を作り、自衛官を政策に関与させるなどという石破前大臣の防衛省改革案は誤りだ」との意見が高まることが予想されますが、それはむしろ逆なのだと思います。
 押さえつけ、隔離すればするほど思想は内面化し、マグマのように溜まっていくでしょう。
 「何にも知らない文官が」との思いが益々鬱積し、これに迎合する政治家が現れるでしょう。それこそ「いつか来た道」に他なりません。
 制服組はもっと世間の風にあたり、国民やマスコミと正面から向き合うべきなのだ、それが実現してこそ、自衛隊は真に国民から信頼され、尊敬される存在になるものと信じているのです。
251 hits

[6123]Re(4):益川教授とUFO談議
←back ↑menu ↑top forward→
 かず色 E-MAIL  - 09/1/9(金) 0:45 -

引用なし
パスワード
   ▼とほほさん:
>▼かず色さん:
>>補足説明ありがとうございます。
>>番組を見ていない第三者が、私の引用コメントを「客観的」に判断する上で、貴方の上記ご指摘は大変有益であると考えます。
>
>何を言っているんだか(^^;
>補足説明ではなく、益川さんはかず色さんが言ったようなことは行っていない、と説明しているのですよ。つまりかず色さんの引用はデタラメだ、と言っているのです。

大河さんが私の書込みを出鱈目と主張されているかは兎も角、ご指摘の件は本当にありがたいと感じております。

随分以前の事ですが、株主総会に於いて書記を担当した事があります。
総会での株主発言を全て頭に叩き込み、且つメモを取っておりましたので、総会終了後直ぐに提出する「プレス発表原稿」は自分でも「完璧」であると考えておりました。

次に、法定書類作成の為、総会中の録音テープを何十回も繰返し聞き、ほぼ完璧な基礎資料を作成しましたが、これが先の「プレス発表原稿」内容と微妙に違う(笑)

そして後日、弁護士とも協議の上で完成した議事録製本の内容はと言うと・・・これまた「プレス発表原稿」「基礎資料」とも微妙に違うものになった次第です。

つまり、他者の発言を要約引用した場合、ニュアンスや解釈・理解等によって表現が微妙に変化する傾向が(少なくとも自分については)あることを自覚しております。従いまして、当初の益川教授の発言引用文を読んだ皆様をミスリードする若干の危険性は自覚している次第です。

そういった観点から、大河さんが私の当該発言引用箇所について指摘されたことは、第三者から見て「客観的判断・理解」を深めるものであり、私にとっても有益なものであると考えております。

まあ、近日中に京大教授と飲み会がありますので、益川発言(科学的方法論)についてご存知かどうか確認してみます(笑)。
240 hits

[6133]Re(5):益川教授とUFO談議
←back ↑menu ↑top forward→
 大河  - 09/1/10(土) 12:07 -

引用なし
パスワード
   ▼かず色さん:
うーん、かず色ファン(考えは違っても、着眼点等は面白いと思います)の私が、折々残念に思うのはこういう事なんではないかと感じます。文章はいみじくも引用間違いに予防線を張ったかず色さんらしい。面白いけど、余計な事だと噛み付かれませんか?
 
私自身はかず色さん以外にあのテレビを見たものとして、発言しています。かず色さんに対して補足ではなく違いませんか?といってます。 
若干の聞き漏らしによって結論がとんでもない事になるのも良くあることです。ソースに対して微妙に違う趣旨の記述を又ソースにして、同じ事を繰り返した場合、元のソースの趣旨とは全く違う趣旨になる場合もあります(伝言ゲームなど)。

それで、私自身も、大いに危険性を自覚して、もういちど件のテレビ放送をみました。女子中学生の質問は
「UFOを見たことがあって、殆どの人が信じてくれなかったが、見たものは見たから、それがどこから来たのか気になって…、宇宙人の存在は信じますか」
やはり宇宙人の存在について聞いていました。
益川教授
 「UFOを見たとき、僕もソ連がスプートニクを打ち上げた頃、それが、見えるはずだと見たら、違う方向に動くものを見たことがある」
他の人
 「ご覧になった?」
益川教授
「うん、僕はそれが、UFOだとはすぐ思いません。だって、それを断定する証拠は何処にもない。他の自然現象でもそう見えるものは一杯あるはず。科学というものは、肯定のための否定の連続だと言う言い方を僕はしています。」
「これを全部つぶして初めてこれがこうだといえるのが科学だと」最後は身振りでしたね。

「科学というものは、肯定のための否定の連続」
ですから、「事象について、あらゆる角度から否定を試みる」という要約はかず色さんの誤解があると思います。私も、益川教授の科学にたいする定義を忘れてしまいましたが、「よく調べて、良く考える=検証」が科学的だという先入観があった様です。子供に対しては平易な言い方をしたはずだというのもそうです。しかし、小林教授、益川教授とも「説明できない事象(何故物質と反物質の質量が違うのか)」に対し、理論的な「非対称の破れ」という仮説を立てて、6個のクォークの存在の予言し、その後実験で確認されたという、簡単ないきさつから見ても「事象に対し、あらゆる角度から否定を試みる」では違うと思われます。「肯定のための否定の連続」は仮説から予言までの科学的姿勢を説いたものとして分かる様な気がします。
この件は終わりですね。かず色さん、今後も頑張ってください。
232 hits

[6140]益川教授とUFO談議【再掲】
←back ↑menu ↑top forward→
 かず色 E-MAIL  - 09/1/11(日) 11:29 -

引用なし
パスワード
   【6109 益川教授とUFO談議】の益川教授発言要旨を修正し、私の余談を加えた上で、以下の通り再掲いたします。

益川教授とUFO談議

昨夜、家族でテレビを観ていた時のこと。ノーベル賞受賞の益川京都産業大学教授への質問コーナーで、中学生の女の子への質問に対し、教授は次のような興味深い回答をしておりました。

女子中学生
「UFOを見たことがあって、殆どの人が信じてくれなかったが、見たものは見たから、それがどこから来たのか気になって…、宇宙人の存在は信じますか」

益川教授
「UFOを見たとき、僕もソ連がスプートニクを打ち上げた頃、それが、見えるはずだと見たら、違う方向に動くものを見たことがある」
他の人に
「ご覧になった?」
「うん、僕はそれが、UFOだとはすぐ思いません。だって、それを断定する証拠は何処にもない。他の自然現象でもそう見えるものは一杯あるはず。科学というものは、肯定のための否定の連続だと言う言い方を僕はしています。」
「これを全部つぶして初めてこれがこうだといえるのが科学だと」

--------------------------------------------------------------------

教授の言葉「科学というものは、肯定のための否定の連続」「これを全部つぶして初めてこれがこうだといえるのが科学だと」は、歴史を検証する姿勢としても重要であると考えます。

田母神氏のみならず、昨今の歴史議論には、未だ左右を問わず「科学≒科学的思考」から遊離した議論が散見されます。こうした実証性・合理性無き論理が跳梁跋扈する背景には、「科学的思考」の軽視がある云えるでしょう。

---------------------------------------------------------------------

数学論文の検証作業(否定的検証)の過程では、指摘された論理的問題点を解決できなかった為に、その後、精神的に再起不能に陥る研究者もいるようですね(広中平祐教授談)。理論物理学に於ける検証作業は、これに近いものがあるのかも知れません。

では、日本の現状はどうでしょうか。余談ですが、評論家の立花隆氏が著書で「非対称の破れ」等について<非科学的且出鱈目な>解説・紹介を行い、一般的に流布されている現状を鑑みると、「科学的思考」というものが、世間一般で如何に軽んじられているかが良く分かるような気がします。
200 hits

[6150]Re(1):益川教授とUFO談議【...
←back ↑menu ↑top forward→
 とほほ E-MAIL  - 09/1/11(日) 17:39 -

引用なし
パスワード
   ▼かず色さん:
>では、日本の現状はどうでしょうか。余談ですが、評論家の立花隆氏が著書で「非対称の破れ」等について<非科学的且出鱈目な>解説・紹介を行い、一般的に流布されている現状を鑑みると、「科学的思考」というものが、世間一般で如何に軽んじられているかが良く分かるような気がします。

「非対称の破れ」ではなく「対称性の破れ」です。
<非科学的且出鱈目な>解説・紹介にならないように注意してください。

物質が真空から生まれることは実験的に実証され観測されています。しかし物質が生成される時には、同時に反物質も生成されます。物質と反物質が出会うと両方ともエネルギーに転化して消滅します。これを対生成、対消滅とよびます。

物質が生成されるには、同時に反物質も生成されることがわかっているわけですが、宇宙の初期の時点においても大量の物質と反物質が生成されました。
対生成されたわけです。理論的には生成された物質と反物質の量は同じですので、対消滅によって物質はすべて消滅してしまうはずで宇宙には物質は存在しないことになります。

これを説明するのが「対称性の破れ」と呼ばれる仮説です。その仮説の研究での功績が認められ益川さんは今回ノーベル賞を受賞したのです。

この「対称性の破れ」と言う理論は、物理学にとっては鬼門なのです。物理学はそれまで「対称性」と言う非常に美しい理論体系の中に存在してきました。どのような物理現象においても対称性は存在してました。

この対称性というパラダイムを対象性の破れという形で転換することによって宇宙を説明したわけです。

つまり宇宙の初期物質と反物質のほとんどが消滅しましたが、ごく少量の物質が生き残りそれが現在宇宙にある全物質なわけです。対称性の上にたって現在物質が存在することを説明するためには、現在存在する物質と同じ量の反物質も存在していなくてはなりません。空間的に隔てられており確率的に物質と反物質が出会うことが無くなった、と言う仮説と、その対称性が敗れてしまったので物質のみが生き残っていると言う仮説が当然存在するわけです。

どちらが正しいのかは、まだわかりません。しかし対称性の破れを主張する仮設には使命があります。どのような仮定で対象性が破られてしまったのかを説明しなくてはならないのです。その研究が益川さんの研究です。
208 hits

[6153]Re(2):益川教授とUFO談議【...
←back ↑menu ↑top forward→
 かず色 E-MAIL  - 09/1/11(日) 19:41 -

引用なし
パスワード
   ▼とほほさん:

小林誠教授著『消えた反物質』(ブルーバックス)などはこの研究に関する、一般向けの良著ですね。

確か以前、立花批判の佐藤進元京大教授もこれを推薦しておりました。
197 hits

[6154]Re(3):益川教授とUFO談議【...
←back ↑menu ↑top forward→
 とほほ E-MAIL  - 09/1/11(日) 21:09 -

引用なし
パスワード
   ▼かず色さん:
>小林誠教授著『消えた反物質』(ブルーバックス)などはこの研究に関する、一般向けの良著ですね。

対象性の敗れに関しては現代宇宙論を解説する一般書のほとんどで触れられてます。

どうも、良くご理解いただけてないようです。

対称性の破れという研究は物理学にとっては鬼門であると言うことを理解してもらいたいために書いてあるのです。
つまり現代物理学では解明できない現象の一つであると言うことです。つまり対称性という現代科学が育んできたパラダイムの中では説明できいない研究です。

その研究者としてノーベル賞を受賞した益川氏が「科学は否定の連続」として未知の現象を排斥するはずがない、あなたの益川氏のコメントに対する理解が誤りであること知ってもらいたいから書いているのです。益川氏の功績を理解できない方に氏の言葉を利用してあなたの偏見を正当化できないことを述べてます。
195 hits

[6155]Re(1):益川教授とUFO談議【...
←back ↑menu ↑top forward→
 大河  - 09/1/11(日) 22:00 -

引用なし
パスワード
   ▼かず色さん:
>【6109 益川教授とUFO談議】の益川教授発言要旨を修正し、私の余談を加えた上で、以下の通り再掲いたします。<

発言自体を「修正」ではなく、「撤回」にするべきだと思います。私の【6116】発言も、その後ビデオを見たので「撤回」します。

文中
「他の人に」ではなく、「他の人」です。益川教授の言葉尻を捕らえて「(UFOを)ご覧になった?」と他の人が質問をしたのです。助詞の間違いも大きいですよ。あと私も「非対称の破れ」と書いていますね。どうして間違ったのかわかりませんが、かず色さんごめんなさい。

 さらに「余談」は不要ではないですか?私には「肯定のための否定の連続」は益川教授の個人的な表現だとするのが教授に対する礼儀だと思います。

 歴史を検証する姿勢として「肯定のための否定の連続」とは具体的にどういう事かは私にはピンと来ません。(「僕は歴史学者じゃないよ」という益川教授の声が聞こえる様な気がしますね)

益川、小林両教授の研究姿勢は、物質生成時には物質と反物質が対称的に同時に生成し、エネルギーのみを残してすぐに消滅するというそれまでの研究結果を「肯定」し、では宇宙は何故物質で成り立っているのか(これも肯定されます)という、「説明できない事象」(事象自体は肯定されます)に対し、(あらゆる角度から否定を試みるのではなく)、ではそれを矛盾なく説明できる(肯定できる)仮説をたてては、それが理論として成立するのかを検証し、「理論」として成立しないなら、それを修正したり別の仮説をたてたり、それを何回もやって、理論として矛盾のない事を確認した結果、6個のクォークの存在を予言しました。その後実験により6個のクォークの存在が証明された結果、仮説の証明が出来た。

あのテレビ番組を最初から見ると、私はそういう風に理解しましたが、両教授の研究姿勢を語る言葉としては「科学とは肯定のための否定の連続」は理解できると思いますし、普通の物理科学者の言葉だと思います。とほほさんはテレビを見ていなくても番組でいってる事をちゃんと理解してます。それは理解できる素養を持っているからです。その点、かず色さんの「科学的」論で果たして田母神論文すら論駁できるのか疑問に思います。「真珠湾攻撃(存在自体肯定されます)を肯定するための否定の連続」などと表層的に捉えた論が返って跋扈するんじゃないですか?

科学に対して科学者個人が「個人的な思い」を言った事をあらゆる科学に一般化して適用するのは言った科学者自身も不本意な事になるのでは?
195 hits

[6157]Re(2):益川教授とUFO談議【...
←back ↑menu ↑top forward→
 かず色 E-MAIL  - 09/1/11(日) 22:19 -

引用なし
パスワード
   ▼大河さん:
あと私も「非対称の破れ」と書いていますね。どうして間違ったのかわかりませんが、かず色さんごめんなさい。

貴方に配慮して、敢えて同じ「言葉」を使ったのに・・・・(笑)

ブルーバックスを読まれましたか?
190 hits

[6158]Re(2):益川教授とUFO談議【...
←back ↑menu ↑top forward→
 かず色 E-MAIL  - 09/1/11(日) 22:25 -

引用なし
パスワード
   ▼大河さん:
その点、かず色さんの「科学的」論で果たして田母神論文すら論駁できるのか疑問に思います。「真珠湾攻撃(存在自体肯定されます)を肯定するための否定の連続」などと表層的に捉えた論が返って跋扈するんじゃないですか?

今までの私の田母神論文批判を踏まえ、具体的に論述して頂けますか。
197 hits

[6159]Re(3):益川教授とUFO談議【...
←back ↑menu ↑top forward→
 大河  - 09/1/11(日) 22:25 -

引用なし
パスワード
   ▼かず色さん:
>貴方に配慮して、敢えて同じ「言葉」を使ったのに・・・・(笑)<

それも不要でしょう

>ブルーバックスを読まれましたか?

読んでいません

発言を撤回して、この件は止めませんか?とほほさんの説明は面白いけど。
197 hits

[6160]Re(4):益川教授とUFO談議【...
←back ↑menu ↑top forward→
 かず色 E-MAIL  - 09/1/11(日) 22:34 -

引用なし
パスワード
   ▼大河さん:

>>ブルーバックスを読まれましたか?
>
>読んでいません

大学教養課程レベルのブルーバックスも読まずに、益川教授の科学的方法論について執拗に議論を挑まれる姿勢が、私には全く理解できませんね。
195 hits

[6161]Re(5):益川教授とUFO談議【...
←back ↑menu ↑top forward→
 とほほ E-MAIL  - 09/1/11(日) 22:46 -

引用なし
パスワード
   ▼かず色さん:
>大学教養課程レベルのブルーバックスも読まずに、益川教授の科学的方法論について執拗に議論を挑まれる姿勢が、私には全く理解できませんね。

私はかず色さんが読んでいるとは思えません。「読む」と言うのは内容を理解することです、記憶することではありません。こういうことはかず色さんの歴史資料の検証内容にも良く現れています。

私や大河さんの言っている事が理解できないのは、読んでいないからです。大河さんは読んでいなくても理解できいるから正しい判断が下せるのです。
201 hits

[6162]Re(2):益川教授とUFO談議【...
←back ↑menu ↑top forward→
 かず色 E-MAIL  - 09/1/11(日) 22:48 -

引用なし
パスワード
   ▼大河さん:
>その点、かず色さんの「科学的」論で果たして田母神論文すら論駁できるのか疑問に思います。「真珠湾攻撃(存在自体肯定されます)を肯定するための否定の連続」などと表層的に捉えた論が返って跋扈するんじゃないですか?

改めて申し上げます。今までの私の田母神論文批判を踏まえ、具体的に論述して頂けますか。
197 hits

[6172]満州は中国の領土か
←back ↑menu ↑top forward→
 かず色 E-MAIL  - 09/1/12(月) 17:07 -

引用なし
パスワード
   田母神論文擁護派からの反論文として、以下の文章を纏めてみました。

--------------------------------------

【満州は中国の領土か】

 中国に於けるナショナリズムの勃興期を辛亥革命前後、広範な民衆による愛国運動の萌芽を五四運動に見るならば、ナショナリズムの具体的な民衆運動として組織化は、1935年の抗日救国運動がその代表的事例として挙げられるかと考えます。この時期は、日本軍による華北分離工作等の露骨な対中侵略時期と符合しておりますが、中国一般民衆の抗日機運、インテリ層(学生等)に於けるナショナリズム機運の高揚は、同年12月9日デモ(12・9デモ)に結実し、中国各地に救国組織を誕生させております(翌36年6月には全国各界救国連合会が上海で結成)。

 この組織的抗日救国運動の目的の一つである、満州に於ける日本の実効支配への批判・抗議の根拠としては、辛亥革命経て清朝から中華民国への政治的正統性の移行(満州領有の法的意根拠)、華北地域との政治的・経済的関連性、漢民族の流入定着による満州族のアイデンティティ希薄化、侵略者(日本)に対する敵愾心等が考えられるでしょう。
 因みに、当時の満州地方には蒙古族、朝鮮族、回族、漢族、満州族等が居住しており、長城以南地域を比較すれば、漢民族の自らの領土としての認識は相対的に低かったとは私も考えます。これは、抗日救国運動が華北分離工作(長城以南)で一気に燃え広がったことからも証明可能です。然しながら、満州族のアイデンティティ希薄化・漢民族化、歴史的な漢民族の流入、華北地方との政治経済的関連性等を考慮すれば、当時(30年代)の中国人(漢民族)が法的正統性とは別に、満州地方に対する自国領土としての帰属意識を持つことには合理的根拠があるものと思料いたします。
 また、満州事変まで同地方を実効支配していた張学良並びに将兵が、36年に西安事件を起こしたことにも注視すべきでしょう。西安事件の背景の一つに、当時の張学良の旧東北軍閥内への中国ナショナリズムの影響による「抗日救国」運動が、かなりの程度浸透していた点も、今般の問題を考える上で重要です。旧満州の前実効支配者が何故、中国ナショナリズムを受け入れたのか。それは、「満州は中国領土」との共通の価値観を有していたためであると考えます。

 満州事変の侵略性を否定する代表的論者はこの問題を語る時に決まって人口増加問題、リットン調査報告、パール判事意見書、ジョンストン報告等を持ち出します。それに対する個別論駁も考えましたが、上記自説で纏めてみました。補足すれば、私は91年の夏、友人と野宿しながら内蒙古自治区から旧満州地方にかけて旅(自転車による半分野宿旅行)したことがあります。30年代当時と比較することは当然できませんが、蒙古族が民族としてのアイデンティティと文化・言語等を依然保ち、未だ都市部等を除き漢民族と混住していない一方、満州人の漢民族同化は既に終了していた点も敢えて指摘したいと思います。
200 hits


58 / 645 ツリー ←次へ | 前へ→
  新規投稿 ┃ツリー表示 ┃スレッド表示 ┃トピック表示 ┃番号順表示 ┃検索 ┃設定 ┃お蔵入り ┃旧思考錯誤 ┃南京事件資料集  
ページ:  ┃  記事番号:   
317024
(SS)C-BOARD v3.8(とほほ改ver2.2) is Free
タブブラウザ Sleipnir 公式ページ(上級者向け) Get Firefox Get opera goo RSSリーダー
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送