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【概要】 最近ネット通信における習慣やマナーと言ったものに対して間違った風習が根付いてきている、これはインターネット人口が爆発的に増大したため、インターネット社会の中でいわゆるベテランと言われてきた人たちが、そうした習慣や仕組みを初心者に教えることが初心者の反発を買ってしまうことを恐れあまり言われなくなってきたことが原因である。
例として、最近とみに多くなってきたネット上の習慣として「メール返信の際の返信もとの全文引用」である。 本文の頭に、そのメールの用件を書いて、その後ろに長々と返信元にある内容をその返信元のそのまた返信元の内容まで書いてある。
この風習は実は企業であるとかの会社の新人研修などでも、そのように教えるためにこれが「メールのマナー」であると、思い込んでいる人も中にはいる。であるから、マナーなどと言うものは人それぞれであり、互いがそれを尊重すべき、と言う言い分が一人歩きしてネット社会は混乱に陥るわけである。
確かに会社などでは色んな用件でいろんな人と連絡を取り合うことになる、従ってそのメールが何の用件で送られてきているのかを確実に把握するためにはその話題が始まった最初のメールからの流れを全部記載しておいたほうがわかりやすい。であるから、メールには返信もとの内容を全文引用してください。とされており、これはこれで正当な言い分だろう、だから人によってマナーや慣習は違って当たり前なのだ、と言う意見にいちいちベテランは反論するのも面倒になってしまうのだ。
これはそもそもインターネットとかコンピューターと言う道具に対する考え方が間違っているから「メールにおける返信元の全文引用」が正当性を持って聞こえるのである。
我々はインターネットと言う仕組みを無料で使っているのだ、と言う自覚がまず必要である。そんな事はないぞプロバイダに金を払っている、と感じる人もいるかもしれないが、プロバイダに払っているのはインターネットへ接続する代行サービス料金である。インターネットの使用料金を払っているわけではない。
インターネットはボランティアで運営されているのであって、不要なトラフィックは個人個人が軽減に努めねばならない類のものである。
以上は基本的な考え方であるが、確かにメールの全文引用が必要な場合の正当性はある。しかしそうした場合もメールを全文引用しなくてすむようにメールの仕様と言うのは、開発されているのである。 これを説明するためには基本的なメールの仕様を知っておく必要があるが、それはここでは長くなるので省く。メールには本文だけではなくメールヘッダと言う郵便で言えば封筒にあたる仕組みがある、このメールヘッダには色んな情報が記載されている。From:
とか To: とか Subject:
とか言うのがある意味は英語の示す通りなのでこうしたヘッダに関してはわかりやすい、そうしたヘッダ情報の中に In-Reply-To:
と言う項目の情報がある、この情報がいちいち返信もとの内容を全文引用しなくても済む様に策定された項目なのである。
この
In-Reply-To:
と言う項目には、このメールがどのメールに対する返信であるのか?と言う情報が書き込まれているのである、であるから返信もとのメールを全文引用せずにこの情報を元に返信元を閲覧したら済むわけである。 もちろん、いちいちこれを見て返信元を探すなど面倒なわけであるが、それがパソコンと言う機械では簡単にわかりやすいようにメールソフトは作られているのである。メールソフトの一覧の表示方法の中に「スレッド表示」であるとか「ツリー表示」とか言うのがあるが、その表示機能こそまさに、このに書き込まれた情報で表示させる機能である。
「スレッド表示」や「ツリー表示」も、もろろん現在ではほぼ無意味なものとなっている。これにも理由がある、メールを送信する個人個人がルールを守っていないから、この表示が無意味になっているのである。
ネットバージンをネットデビューに誘う際に、ネットバージンは「いや、自分はよく勉強してないしわからないから」と躊躇する、ネット先輩は「そんな事はないよ、一般社会と同じで、ネットだからマナーや礼儀が違うと言うことはないのだよ」として安心させる。
これは正しい、しかし最近のネット先輩はこのままネットバージンをデビューさせてしまう。これが混乱の元である。「そんな事はないよ、一般社会と同じで、ネットだからマナーや礼儀が違うと言うことはないのだよ」の後に「こういうことだけ知っておいて理解しておけば良いのだよ」を付け加えないのである。この問題は非常に大きい、こうした基本的な事柄がわかっていなければネット通信が混乱するのも当然であるのだ。
なぜ、こうも当たり前のことがネットで通用しないのか、これはネットバージンが絶対多数を占めるようになり、小うるさいことを言うネットベテランを煙たがり圧倒的な数の力でネットベテランの言い分を封じ込める、つまりネットベテランの言い分にはそれなりの理由があり正当であるに関わらず、それを封じ込めてしまう。
この現象どこかで見たことはないだろうか、少数派であることを理由にその主張さえ聞かずそれを封じ込める、いわゆるファシズムである住民ファッショである。
さて次回は
In-Reply-To:
を利用したパソコンでのデータ処理の仕方と、それがどれだけ便利なことなのかを説明したいと思う。
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