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最近、パール判事の判決を基にした「日本無罪論」という説を持ち出す人が多いようである。
「日本無罪論」をとなえる人の多くが、パール博士の判決文では南京事件やその他の日本軍の残虐行為を認定していることに触れていない。
パール判事の判例を基にした「日本無罪論」は「日本軍が南京事件をはじめとする残虐な行為をおこなったことは事実である。ただし、戦勝国が事後法で裁くのは正しくないから無罪」という論法にしかなりません。
「日本無罪論」は、「足立区女性教師殺人犯無罪論」と道義的には同レベルでしかないでしょう。 # 「足立区女性教師殺人犯無罪論」とは、「警備員が警備先の女性教師を殺害したのは事実であるが、事件が発覚したのは時効成立後なので無罪」という論法です。
「日本無罪論」も「足立区女性教師殺人犯無罪論」も、「残虐な行為をおこなったことは事実であるが、裁判する側の都合(事前に残虐行為を取り締まる法律が無かった/時効であった)で無罪」と言う主張です。
殺人犯が「俺は人を殺したけど、時効まで逃げ切ったから無罪だぞ〜」と被害者家族の前でうそぶくのは恥知らずであると思う。 同様にパール判事の判決を元に「日本軍は残虐な行為をおこなったけど、事前に裁く法が制定されていないから無罪だぞ〜」と公然と発言するのも恥知らずであると思う。
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足立区女性教師殺人事件
:1978年(昭和53年)8月、東京都足立区の区立小学校の警備員(42)が、自分が警備していた小学校に勤める女性教師(29)を殺害し、死体をコンクリート詰めにして自宅地下に埋めた事件。その後、遺体を隠匿していた自宅が道路拡張のための土地区画整理の対象となり、家が取り壊されることになったので、隠し切れないと思った犯人が(時効が成立していることを知った上で)警察に自首した。なお、犯人は自首の直前まで、強硬に自宅立退きを拒んでいた。
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