超ひも理論2-c(原子モデル:原子核と電子)Ver1.2
[とほほ修正:2007/11/21]
>さて、ここからがいよいよ量子力学の世界である、物語はマックスプランクから始めるほうが良いだろうか、、。
と前稿では書いたのであるが、本当は順番からすると原子核の発見よりも「電子」の発見の方が先なので、電子のことについて先に書くべきであった(^^;
つまり時系列からするとラザフォードの実験よりも時代は遡ることに成る。
今更嘆いても始まらない、とにかく問題のおさらいをしておこう。
「なぜ、原子内で真空はつぶれないのだろうか?」
これが私の書いた問題である、文才がないと言うことはなんとも嘆かわしい。これではちっともその不思議さが伝わってこない(T_T)
つまりですね、判明した原子の構造と言うのは、ほとんど何もない「原子の中身は空っぽだった」と言うことなのです。
「原子核があり、電子があるではないか、空っぽでもなんでもない」
いや、おっしゃるとおりごもっともなのですが、そもそも電子と言う奴には大きさがないのです。しかも原子核の大きさときたら一兆分の一センチしかなく原子の大きさの一万分の一です。これを具体的にイメージ化してください。例えば原子核の大きさを直径1mのボールだとすると、原子の大きさは一番簡単な構造の水素原子でも、電子の軌道である100KMの大きさと言うことになります。しかしその半径100KMの大きさの中に存在するものは、大きさのない電子とたった1mの原子核が中心に一個あるだけなのです。(左図参照:質量の起源、広瀬立成)
つまり、原子の大きさを100kmとすると原子の中には1mの原子核しかないのです。それ以外のところは「真空」なわけです。原子はそのほとんどが真空で出来ている、ことのイメージ化が出来ましたでしょうか。
もちろんだからといって原子内の真空が潰れないことを、そんなに不思議には思わない人もいるだろう、例えば気体の分子などでもてんでバラバラに存在しているし、それは原子にも言える事である。真空があってもバラバラに存在していればそれが潰れることはない。
しかしそれを圧縮したときを考えて欲しい。ものすごい力の圧力器でどんなに(といっても限界はあるが)圧縮しても原子は原子核の大きさまで潰れることはない、原子の大きさを保つのである。これが不思議なわけだ。
ましてや固体を考えてみよう、あなたが今木製の机の前にいるとしたらその机の板を両手で潰そうとしてみて欲しい簡単に潰れるものではない、もし原子が真空でできている筈なら物質は皆フニャフニャのはずではないだろうか?
それでも右図のようなイメージはできます。そして右のイメージ図はほぼ正確に原子モデルを表現してます。テレビの科学番組でも良く出てくるモデル図です。つまり電子はものすごい高速で原子核の周りを回転運動しており、その遠心力で軌道の大きさを確保している、だから原子は潰れずに大きさを保つ。
ところがぎっちょん(T_T)
そうはいかないのです、これはニュートン物理の運動方程式の世界です。回転運動と言うのは「加速度運動」なのです。加速度運動と言うのはエネルギーが必要でそれを消費せねばなりません。思い出してください、止まっている物体を動かす為には「力(エネルギー)」が必要ですよね?車を動かすにはガソリンと言うエネルギーが必要で常にそれを補給していかなくてはなりません。エネルギーを消費してしまえば回転運動は止まってしまい原子核の中に電子は落ちて行きますので、原子は潰れてしまいます。
いや、まてまて、とほほ
の野郎がまた嘘をついてやがる、人工衛星は確かに最初はエネルギーが必要だが公転軌道に入れば、あとはエネルギーがなくても永遠にまわり続ける、大体地球が太陽の周りを公転しているが、これにはエネルギーなど使ってない。
そうなのです。実はこれはアホのとほほもそう思ったのです。このように考えた人はアホのとほほの仲間入りです。大歓迎(笑)。アホの仲間になったと嘆かないように昔は物理学者だってそう思っていたのです。
しかし、この考えは間違っていたのです。つまり自然はこうはなっていなかった、のです。自然とは常に人間の愚かさをあざ笑っているようです。
この原子の中の電子のふるまいの不思議を人間に教えたのは、あの「光」です。光って何なのでしょうね?光は波動でもありますし、粒子でもあります。このことの意味は人間がイメージできません。なぜ人間がイメージできないことを、人間は知っているのかと言うと、光が波動としても振舞いますし、粒子としても振舞うからです。そして電子と光の間には密接な関係があります、電子が回転運動を行うと光(光子)が飛び出すのです。したがって電子が原子核の周りを回り続けることは光子を放出し続けることになりエネルギーを消費するはずなのです。電子と光の関係は我々の生活の中にも定着しており現代社会の灯りはほとんど全て電気で作られています。
この答えが導かれたのが、電子の波動性、ド・ブロイの物質波と言う考え方です。電子を粒子と考えているとこの問題は解決しないのです。
あー、マックス・プランクについて書くつもりが前置きがこんなに長くなってしまった(^^;
次稿ではマックスプランクの時代まで遡ります。時は鉄血大臣ビスマルクの時代、ドイツ帝国全盛期です。戦争と科学、なんともいやな関係ではありまが無視できません。この時代の要請が量子論を生み出したといっても過言ではないでしょう。