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しばらくこちらに登場しておりませんでしたので、名刺がわりにちょっとだけ。
「何応欽軍事報告」といえば、「南京大虐殺についてなんにも書いていない資料」として有名ですが(笑)、実際にこの資料を目にした方はそう多くないかもしれません。今回は、「軍事報告」の内容を紹介します。
(この「軍事報告」をご存知ない方は、弊コンテンツ「中国は知らなかったか?」をどうぞ。http://www.geocities.jp/yu77799/chuugoku.html)
この資料は、台北の文星書店発行「中国現代資料叢書」の中に、「何上将抗戦期間軍事報告」として収められています。1949年発行のものの復刻版。国会図書館で確認できますし、運が良ければ「日本の古本屋」あたりでも入手可能かもしれません。
問題となる箇所は、この本のうち、「第二 対臨時全国代表大会軍事報告」です。
まずは、目次から。
一、緒言 二、報告提要 三、国防設施及抗戦経過 四、陸軍海軍戦前及戦時行政 五、陸海空軍戦前及戦時教育 六、結論
見るからに、純然たる「軍事」報告です。「南京」に関係しそうなのは、辛うじて、「三 国防設施及抗戦経過」ですね。こちらの細かい目次を紹介します。(パソコンで出ない字は、■で表示しました。細目は適宜略してあります)
子、開戦前国防之準備 (一)長江要塞之整備 (二)国防工事之構築 (三)後方勤務の■備 丑、戦争之起因 寅、陸軍之作戦 (詳細は後述します) 卯、海軍之作戦 (一)江防配備 (二)抗戦経過 甲、江陰方面 乙、■■■■方面 辰、空軍之作戦 (一)空軍国防之■備 (二)抗戦前敵我空軍兵力比較 (三)作戦経過 巳、今後作戦之検討 (一)敵我最高戦略之検討 (二)敵軍兵力之検討 (三)抗戦必勝之信念
このうち、「南京」に関係するのは、「寅、陸軍之作戦」ということになります。こちらの細かい目次を詳述しておきましょう。
(一)自開戦起南京失陥止作戦経過 甲、中央動員及各省出兵 乙、北戦場方面 1.平津之失陥 2.保定方面諸戦門 3.石家荘之失陥 4.安陽大名失陥及対峙 5.南口戦門及張家口失陥 6.平型関戦門 7.忻口娘関会戦及帰綏之失陥 8.太原之失陥 9.姚官屯戦門及泊頭鎮襲撃 10.徳州戦門及大城失陥 丙、東戦場方面 1.上海之攻撃 2.陣地戦 3.退却及南京之失陥
(二)南京失陥後三月初旬止抗戦情形 (以下略)
やっと「南京」の文字に辿りつきました。要するにこの部分、淡々と「どこどこで戦闘があり、どこどこが陥落した」という記述を連ねただけの箇所です。
さて、本文にいきます。「南京之失陥」の記述は、こんな感じ。何ともあっさりしたものです。
4.南京之失陥 十一月廿六日放棄錫澄線後、即令教導連隊、第三十六師、第八十八師守備南京、施令第七十四軍、第六十六軍、第八十三軍、第十軍陸続加入。
惟各部隊久経戦門、疲備不堪、自蘇州河撤退至南京、沿途転戦、未得整頓之余暇、第十軍亦新兵太多、戦門力不強、自十二月五日在湯山淳化鎮附近激戦後、八日湯山被陥、撤至複廊陣地、敵跟縦圧迫迫、難経各部隊浴血苦戦、終至傷亡過大、十二日雨花台不守、遂下令放棄南京、敵於十三日占領我南京城。
これで、お終い。続く節は「南京失陥後至三月初旬止作戦経過」で、「津浦北段戦況」の話になってしまっています。「南京が陥落してから後、南京で何が起こったか(あるいは起こらなかったか)」なんてことは、一文字も書いていないのです。
以上、この報告は、純粋に「軍事」に絞ってのものです。「南京」で「虐殺」があろうがなかろうが、そんなものに触れるような性格の文書ではありません。
田中正明氏の文章を、もう一度、載せておきましょう。 http://www.geocities.jp/yu77799/nankin/tanakashoukaiseki.html
目を真っ赤にし、涙ぐんで「松井閣下には誠に申し訳ないことをしました」手が震え、涙で目を潤ませて、こう言われるのです。 「南京には大虐殺などありはしない。ここにいる何応欽将軍も軍事報告の中でちゃんとそのことを記録しているはずです。私も当時大虐殺などという報告を耳にしたことはない。・・・・松井閣下は冤罪で処刑されたのです・・・・」といいながら涙しつつ私の手を2度3度握り締めるのです。
どこに「南京には大虐殺などありはしない」という記述があるのか。ぜひとも田中氏にお伺いしたいところではあります。
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