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[3394]本多勝一氏の「そのまま代弁しただけ」発言 ゆう 06/10/15(日) 20:40
[3424]Re(1):本多勝一氏の「そのまま代弁しただけ」発言 タラリ 06/10/17(火) 21:17
[3466]後日談 ゆう 06/10/22(日) 8:32
[3563]Re(2):本多勝一氏の「そのまま代弁しただけ」発言 タラリ 06/10/31(火) 1:02
[3555]新コンテンツのご案内 ゆう 06/10/29(日) 8:31
[3556]Re(1):新コンテンツ+文字数 渡辺 06/10/29(日) 16:16
[3561]Re(1):新コンテンツのご案内 とほほ 06/10/30(月) 15:32
[3557]Re(1):本多勝一氏の「そのまま代弁しただけ」発言 ピッポ 06/10/29(日) 19:50
[3565]コンテンツ、正式アップ ゆう 06/11/1(水) 20:37
[3566]Re(1):コンテンツ、正式アップ 渡辺 06/11/3(金) 13:45

[3394]本多勝一氏の「そのまま代弁し...
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 ゆう WEB  - 06/10/15(日) 20:40 -

引用なし
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   「本多勝一氏は、「私は中国側の言うのをそのまま代弁しただけ」と言っている」。ネットで、よく見かける書きこみです。しかもたいていの場合、「南京大虐殺」とセットになっています。

この「元ネタ」を発見しましたので、報告します。というか、皆さんとっくにご存知だったかもしれませんが。

田辺敏雄氏『追跡 平頂山事件』よりの引用です。(P236)

久野健太郎氏は反証として自書(ゆう注 撫順炭砿を扱った「朔風挑戦三十年」のことであると思われます)を送り、抗議した一人である。本多記者の久野氏にあてた返信がある。一九八六年三月九日の日付になっている。個人あてとはいえ、公の場で反証を呼びかけ、これに応じたものに対する返信であるから、公表して差し支えなかろう。久野氏の了解の上で引用する。

「追伸。いま万人坑のところを読みましたところ、ほんの一ページ足らずをもって、あれを全面否定しておられます。しかしながら私はこれだけの内容をもって、あれが全部うそだというにはとても説得力を感じないのであります。また私は中国側の言うのをそのまま代弁しただけですから、抗議をするのであれば、中国側に直接やっていただけませんでしょうか。中国側との間で何らかの合意点が見つかったときには、それをまた本で採用したいと思っております」

万人坑は現地人を炭鉱が酷使したあげくの「人捨て場」であったと、本多氏は書く。これに対して久野氏は、撫順炭鉱でこのようなことはなく、事実無根と主張する。

引用した追伸の万人坑うんぬんは、これに対する返答であり、本文は平頂山事件について、久野氏の著書を参考文献として『中国の旅』に載せるようにするという内容である。

この文は「万人坑」を対象としたものであり、少なくとも直接には「南京大虐殺」に関する記述ではありません。まあ「拡大解釈」すればそうとれないこともないのかもしれませんが、少なくとも「本多氏は南京大虐殺について「私は中国側の言うのをそのまま代弁した」と発言した」という文章を見たら、それははっきりと「ウソ」だと言うことができるでしょう。

そして、久野氏がどのような手紙を出したのか、これではわかりません。本多氏の「返信」だけでは、必ずしもニュアンスを正確に伝えていない怖れがあります。

なおこれは、「私信の一方的な公開」でした。田辺氏は「受信者」の久野氏には了解をとったようですが、肝心の「発信者」本多氏には了解はとらず、「公表して差し支えなかろう」との一方的な判断の下に公開を行っています。
37 hits

[3424]Re(1):本多勝一氏の「そのまま...
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 タラリ E-MAIL  - 06/10/17(火) 21:17 -

引用なし
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   ▼ゆうさん:
南京FAQで本多勝一氏の問題も扱っていますので、頭を悩ます問題です。
経過がわかりまして大変参考になります。

経過は

1.久野健太郎氏が順炭砿を扱った「朔風挑戦三十年」を著して、万人坑などなかった、と本多氏に手紙で抗議するとともに自著を送った。

2.本多氏は「一ページ足らずの内容で”あれ”を否定することは説得力がない」、「私は中国側の言うのをそのまま”代弁”しただけですから、抗議をするのであれば、中国側に直接やっていただけませんでしょうか。中国側との間で何らかの合意点が見つかったときには、それをまた本で採用したいと思っております」と手紙を送った。

3.(本多氏の手紙の)本文は平頂山事件について、久野氏の著書を参考文献として『中国の旅』に載せるようにする、と書いた<田辺敏雄氏『追跡 平頂山事件』>


■私の意見
1.久野健太郎氏の著作であるが、どのような内容なのだろうか。万人坑がなかった、ということをどのように立証し、本多氏に反論したのであろうか。

2.本多氏の「代弁しただけ」はいささか言葉が不適切ではある。本多氏はジャーナリストとして中国に取材旅行し、ルポを書いたのではなかろうか。中国側の被害者や体験者、当事者の話を聞いてそれを紹介したはずである。
本多氏が事実の摘示の他に、中国側の代弁をしたというのなら、ルポとして問題もあるだろう。しかし、証言の聞き取りの結果、「万人坑は現地人を炭鉱が酷使したあげくの『人捨て場』であった」とまとめることくらいは代弁とは呼べないだろう。

3.本多氏の提案は田辺敏雄氏の了承を得て実行されたのであろうか。あるいは、それとも了承を得られず、実行されなかったのか、それとも了承されたにもかかわらず実行されなかったのであろうか。

■本多氏の発言はいろんなところに実際の発言の状況をすり替えられて転載されていった。


1.片岡正巳氏による歪曲

http://www.history.gr.jp/~nanking/kataoka.html
それは本多氏が、取材当初から“日本軍がいかに中国でひどいことをしたか”というモチーフを持っていたからにほかならない。
 最初から、そういう目的の取材をしにいっているのだ。
 だから、南京事件の実態はどうだったのかとか、旧日本軍は中国で非人道的なことをやったといわれるが、実際はどうだったのかとか、旧日本軍は中国で非人道的なことをやったといわれるが、実際はどうだったのかといった、報道者として当然掘り下げるべき作業をしていない。
 最初から、いかに中国で日本は非人道的なことをやったかということを書く目的で行き、そこに、それに即した材料をはめ込んだとしか思えないのだ。
 しかも、そのことを評論家の田辺敏雄氏に指摘されると、本多氏は、
 「私は中国の言うのをそのまま代弁しただけですから、抗議をするのであれば、中国側に直接やっていただけませんでしょうか」(片岡正巳・田辺敏雄・板倉由明共著『間違いだらけの新聞報道』より)と回答した。


#田辺敏雄氏が南京事件についての取材方法を不適当と指摘した事実があるのか?
#久保田氏が万人杭について指摘したことを、【指摘した人】と【指摘した対象】をすり変えた上で非難しているのではないのか?

2.田中正明氏の歪曲

http://www.geocities.com/TheTropics/Paradise/8783/asahi.html
『中国の旅』の中には撫順炭鉱での虐殺事件も出てくる。満州最大の炭坑であった撫順炭鉱には万人抗が30ヶ所もある。1ヶ所1万人づつ埋めたとして、日本人は中国労働者を30万人も虐殺したというのである。やはり『中国の旅』の影響でこのことは高校の教科書にも出てくる。
 以下は「正論」2月号の田辺敏雄氏『「平頂山事件」「万人抗」にみる教科書と報道の不誠実』から引用させていただいた。

(タラリ注:この後、田中氏の文章はいつものことではあるが、どこからどこまでが引用であり、どこからが自分の意見の記述であるかわかりにくい)

<中略:教科書についての記述>

  田辺敏雄氏は昭和51年頃から『中国の旅』など中国における旧日本軍・民の残虐事件に疑問をもち、撫順炭鉱や満州鉱業の元社員約200名を対象に取材した。いくたびも座談会や研究会も開き、あるいは産経記者と共に現地の踏査にも行った。その結果、撫順炭鉱に万人抗などというものは1つもない、見たことも聞いたこともない、と関係者たちは異口同音に言う。まして病人や働けなくなった中国人鉱夫を生きながら穴埋めにするような残酷な行為など、断じてあり得ないと誰もが言い切る。

 田辺氏はそれからの聞き書きや、座談会での記録や、現地調査の報告書を雑誌正論や産経新聞に投稿した。そして朝日新聞にも抗議した。朝日新聞は「改めて調査をします」とまで約束したという。だが、調査した痕跡は皆無である。 著者の本多記者に対して、「撫順炭鉱の万人抗記述などは、全くの虚妄だ。取り消して欲しい」と抗議すると、なんと氏はこう放言した。

 「私は中国人の言うのをそのまま代弁しただけですから、抗議をするのであれば、中国側に直接やって欲しい」と。

 何という無責任きわまる夜郎自大ぶりか。朝日新聞ともあろう全国紙が、「白髪三千丈式」の誇大妄言をならびたてる中国の宣伝屋のプロパガンダを、そのまま1ヶ月以上も連載して、ありもせぬ大虐殺を煽るとは何事か。田辺敏雄氏は『朝日に貶められた現代史』という著書を上梓してこのことをくわしくのべている。


#田辺敏雄氏が「撫順炭鉱や満州鉱業の元社員約200名を対象に取材した」、「座談会や研究会も開き、あるいは産経記者と共に現地の踏査にも行った」事実はあるのか。

#「撫順炭鉱に万人抗などというものは1つもない、見たことも聞いたこともない」「病人や働けなくなった中国人鉱夫を生きながら穴埋めにするような残酷な行為はない」という。現地に言って、本多氏のルポに登場する証言者に抗議はしなかったのであろうか。撫順炭鉱や満州鉱業の元社員の証言の【裏は取ったのだろうか】。

注【「裏取り」は否定派のおきまりの攻撃パターン】

#朝日新聞が「改めて調査をします」とまで約束した、という事実はあるのだろうか。

#「著者の本多記者に対して、「撫順炭鉱の万人抗記述などは、全くの虚妄だ。取り消して欲しい」と抗議すると・・・」、このような書き方だと田辺氏が抗議したようにしか読めないが、田辺氏が万人抗記述に抗議した事実はあるのだろうか。

#本多氏は「中国側との間で何らかの合意点が見つかったときには、それをまた本で採用したいと思っております」と書いていたのは田辺氏は確認済みだろうが、

私も田辺敏雄氏の著書にあたって調べてみるつもりです。「『朝日』に貶められた現代史―万人坑は中国の作り話だ」
44 hits

[3466]後日談
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 ゆう WEB  - 06/10/22(日) 8:32 -

引用なし
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   タラリさんが言及されていた『間違いだらけの新聞報道』を確認しましたら、その後日談が掲載されていました。田辺敏雄氏の筆になる部分です。(同書P219〜P222)
この久野氏あての書簡のなかから、右の部分を含む一部を拙著『追跡 平頂山事件』のなかでとりあげ批判した。

ところが、本多記者より抗議と反論を記した手紙(一九八八年十二月三十日付)が私にとどいたのである。抗議というのは、私信を無断でなぜ公開したのかということであり、反論というのは、抗議をするのであれば中国にやってくれというのが、どうして問題あるのか、という二点であった。

なるほど、純然たる私信であれば、一部掲載とはいえ許可をとらない方に非があるだろう。だが、はたして本多書簡は私信であろうか。久野健太郎氏は「日本側関係者の資料あるいは反証を歓迎する」と公の場での呼びかけに応じて、長文の手紙とともに自署(『朔風挑戦三十年』、謙光社)を送り、反証としたのである。本多書簡はそれにたいする返信である。当然のことながら、内容は朝日連載の記事にかかわる問題である。どうしてこれを私信と呼べよう。

それに、朝日新聞社名の入った原稿用紙に書き、朝日新聞社の封筒を使用した手紙のどこを推せば私信といえるのであろうか。掲載にあたっては、久野氏からの了解はいただいている。

この部分の「判定」は読む方にお任せしますが(私見では田辺氏の理屈、かなり勝手なものである気がします)、「朝日新聞社名」云々に関してだけ言えば、これは田辺氏の言い分が無茶です。

田辺氏は、「本多氏個人としての公信」と「朝日新聞社としての公信」を、混同しています。朝日新聞社の原稿用紙・封筒を使用したとしても、新聞社内部の決裁を経ない限りは「朝日新聞社としての公信」にはなりません。また、朝日新聞社の原稿用紙・封筒を使用したとしても、それは「本多氏個人としての公信」と見なす根拠にはなりません。

だいたい、本多氏の「私信公開抗議」に反論するのに、「久野氏からの了解はいただいている」と書いて、どうしようというのでしょうか。抗議しているのは、「書き手」である本多氏なのです。


「中国側に抗議してくれ」の方では、本多氏の返信がそのまま引用されています。(こちらは一応、本多氏から「公開してもかまわない」とのコメントを得ているとのことです)

本多記者は私あての手紙のなかで、
<中国側の言い分を、とくに明白な誤りにでも気付かぬかぎり、そのまま報道すること自体になぜ問題がありますか。その内容をすべてウラ調査するまで書けないとなれば、今の報道はすべて成立たなくなります。><一例をあげましょう。中曽根前首相が、アメリカの「知的水準」の低さを発言したことがあり、それを記者が書きました。このとき記者は、アメリカで本当に知的水準が低いかどうかを徹底的に調べてからでないと書けないのですか。そうではなくて、これに対してアメリカなりどこかなりから反論、反証があったら、それを書くことが記者の次の仕事でしょう(同一記者である必要はないが)。ですから、「抗議」そのものは、やはりこの記者にではなく発言者・中曽根に対してやるべきです>


これに対して田辺氏は、「首相の知的水準発言が物議をかもしたのは、一国の首相の発言として適切であったかどうか、つまり首相の見識が問われたからである。事実がどうのということは副次的問題に過ぎない」「だが『中国の旅』は歴史的事実に関する問題を報道したものであって、しかも大量虐殺という問題を報じる以上、事実かどうかが決定的な重要事となる」「本多記者の言い分が正しければ、新聞記者は単なるメッセンジャーボーイにしか過ぎないことになる」などの反論を行っています。

この問題について、本多氏がコメントしたものを私は知りません。どなたか、ご存知ないでHそうか。


なお、『追跡 平頂山事件』はネット古書店で入手容易です。「朔風挑戦三十年」は入手困難。機会を見て、国会図書館で確認するつもりです。『正論』の『「平頂山事件」「万人坑」にみる教科書と報道の不誠実』は手元にありますので、必要とあらばお送りします。
36 hits

[3555]新コンテンツのご案内
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 ゆう WEB  - 06/10/29(日) 8:31 -

引用なし
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   「平頂山事件」を調べているうちに、思わぬ「副産物」として本件の経緯が大体わかりましたので、こちらにまとめておきました。

http://www.geocities.jp/yu77799/nicchuusensou/honda.html

ただまあ、まだ私の知らない「情報」があるかもしれませんので、「公開」はもうしばらく様子を見ます。何か気がつかれた点がありましたら、ご教授いただければ幸いです。


なおここでは取り上げませんでしたが、朝日新聞社とのやりとりについては、満鉄東京撫順会編『撫順炭砿終戦の記』中の「朝日 本多勝一記者のルポ「中国の旅」について」にまとめられています。(2004年の第4版の掲載。初版にはありません)

入手困難な本かもしれませんので、必要な方は私に声をかけてください。

*題名を「新コンテンツの「本多勝一記者「代弁しただけ」発言を巡って」のご案内」としたら、「題名が長すぎます。50文字以内にしてください」とのエラーメッセージが出てきました。どう数えても50文字はないと思うのですが・・・。
38 hits

[3556]Re(1):新コンテンツ+文字数
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 渡辺  - 06/10/29(日) 16:16 -

引用なし
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   ▼ゆうさん:
>「平頂山事件」を調べているうちに、思わぬ「副産物」として本件の経緯が大体わかりましたので、こちらにまとめておきました。

本多氏は「万人口」なるものを大石橋で実際に見たことを「万人口」『中国の旅』に書いています。
このようなものがあったこと自体は、証言や状況証拠から認めているようです。
しかし、中国側から示されたものが、証言にある事件当時のものかについては慎重な記述がされています。
最近、本多氏にお会いしたとき、雑談のなかでたまたま「万人口」に触れられたのですが、見せられたものがすべて当時のものかは懐疑的であると思っておられるようです。(私的な会話で具体的なことはお話できませんが)

なお、ご存知かとは思いますが、平頂山事件については井上久士氏が『中帰連』30号(2004秋)に「川上精一大尉は本当に撫順にいなかったのか」を寄稿しています。

>*題名を「新コンテンツの「本多勝一記者「代弁しただけ」発言を巡って」のご案内」としたら、「題名が長すぎます。50文字以内にしてください」とのエラーメッセージが出てきました。どう数えても50文字はないと思うのですが・・・。

それは、半角文字(8bit)で50字ということだと思います。全角文字(16bit)では半分の25字になり、場合によっては、文字の最後のヌルコードを数えて実際には半角49文字しか受け付けないかも知れません。
43 hits

[3557]Re(1):本多勝一氏の「そのまま...
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 ピッポ E-MAIL  - 06/10/29(日) 19:50 -

引用なし
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   ▼ゆうさん:
>この文は「万人坑」を対象としたものであり、少なくとも直接には「南京大虐殺」に関する記述ではありません。まあ「拡大解釈」すればそうとれないこともないのかもしれませんが、少なくとも「本多氏は南京大虐殺について「私は中国側の言うのをそのまま代弁した」と発言した」という文章を見たら、それははっきりと「ウソ」だと言うことができるでしょう。

そういえば、秦郁彦氏が、本多氏が南京大虐殺について「私は中国側の言うのをそのまま代弁した」と発言しているかに見れる文章を記しています。

昭和史の謎を追う(上) 1993年3月5日第1刷 p125
論争史から見た南京虐殺事件(初出『正論』一九八九年二月号)

虐殺派の場合は、中国側の数字をそのまま紹介、引用している例が多いが、笠原十九司が「洞富雄の〈二十万人をくだらない中国軍民の犠牲が生じた〉とする推計が最も有力だと思われる」(『歴史学研究』一九八七年九月号)と書いているところを見ると、ウノミはまずいという判断も出てきているようだ。

この点について本多勝一は「新聞記者としては中国側の主張を正確に伝達するのが任務」と割り切っているがまぽろし派から見ると「それが真実か否かを疑うことを知らない。批判もしない……“左様ごもっと”とただ書き写すだけ」(田中正明)なのは許せない、ということになる。


「中国側の主張を正確に伝達する」はたしか、本多氏自身が書いたまえがきにもあったような気がする表現です。「中国側の主張を正確に伝達する」ということと、「私は中国側の言うのをそのまま代弁した」ということとでは、同じように見えて微妙に心象風景が違います。

まあ、細部では揚げ足を取られないように書く、皮相揶揄の達人秦郁彦さんの筆のわざかもしれません。

この文章は『正論』一九八九年二月号ですが、田辺敏雄氏『追跡 平頂山事件』は何年の初出なのでしょうか。

〜〜〜〜

ついでに脱線で恐縮ですが、
東スポ秦記者? による、場外乱闘実況を記しておきます。

南京論争の特徴の第一は、すでに書いたように多くが建前上の論議に終始していること、第二は、その結果ともいえるが、本質から離れいわばリング場外の乱闘に走りがちなことだ。数例をあげてみよう。

渡部昇一は田中正明『“南京虐殺”の虚構』に寄せた推薦文で「本書を読んで、今後も南京大虐殺を言い続ける人がいたら、それは単なる反日のアジをやっている左翼と烙印を押してよいだろう」と言い切った人だが、このなかで朝日新聞と本多勝一への批判に及んだのをきっかけとして、両人の問に強烈な応酬が始まった。

渡部が「悪質なヨタ記事を流し・・・・見えるものを見ようとせず、根拠なき悪口雑言を吐き、それがどうしても維持できなくなると沈黙して別の方面で悪口雑言を書き始めるといったタイプの記者」と書けば、本多は「鉄面皮なニセ学者」とやり返す。

田中対本多の「無責任なレポーター」(田中)「明白なインチキ人間」(本多)となれば、もはやののしり合いといってよい。板倉対本多や洞対田中のやり合いも見ものだが、きりがないから省略することとして、田中にかみつかれた元外交官の法眼晋作「田中君の行動について我慢ならぬのは、愛国者づらをして廻ることである」と反撃した話を聞くと、南京論争には何か人を狂わせる魔性がひそんでいるように思えてならないのである。

南京論争をめぐって、スキャンダルめいたドラマが次々に派生したのも、この魔性のゆえかも知れないが、ついでに筆者が見聞したいくつかの例を要約的に紹介しておこう。(同上p129)


以下、スキャンダルめいたドラマとして、秦は

  1. 連続敗訴の教科書訴訟
  2. 田中正明の松井日記改ざん事件
  3. 借行社戦史をめぐる騒動
  4. 朝日新聞と都城連隊会の苦い対決

を紹介しています。
36 hits

[3561]Re(1):新コンテンツのご案内
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 とほほ E-MAIL  - 06/10/30(月) 15:32 -

引用なし
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   ▼ゆうさん:
>*題名を「新コンテンツの「本多勝一記者「代弁しただけ」発言を巡って」のご案内」としたら、「題名が長すぎます。50文字以内にしてください」とのエラーメッセージが出てきました。どう数えても50文字はないと思うのですが・・・。

もう少し長くしましょうか?
実は思考錯誤の場合ツリーが非常に長くなる事が多く、タイトルが長すぎるとブラウザを横にスクロールさせないとツリー全体が見えにくくなる、と言う難点もあってデフォルトより短く設定しているのです(^^ゞ

でも、特にゆうさんは長いタイトルが好きなんですよね(^.^)
例えば、【ゆう更新情報】更新情報内容のタイトル、としてもよくわかると思いますよ。
36 hits

[3563]Re(2):本多勝一氏の「そのまま...
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 タラリ E-MAIL  - 06/10/31(火) 1:02 -

引用なし
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   田辺敏雄著『検証 旧日本軍の「悪行」 歪められた歴史像を見直す」
pp271から、「万人坑が在りえたか」の章で12項目の反論をしている。これは撫順炭鉱、南満鉱業以外の万人坑についての項目もあり、問題となっている、撫順炭鉱の万人坑に関する反論は次の7項目である。

1.万人坑容疑の捜査はなく、起訴されたものもいない。炭鉱職員に対する報復殺害も起こらなかった。
2.(日本敗戦以後に)進駐したソ連軍、共産八路軍、国府軍が万人坑について何も言っていない。
3.撫順炭鉱の統計によれば日本に経営が移った1907年から1941年までの間、現地人の死者累計は6006名、日本人死者は138名であった。
5.露天掘りなので、坑内堀りに伴う事故がない。
8.撫順戦犯管理所にいた日本人戦犯が万人坑に連れて行かれて反省材料とされたという記録がない。
9.炭鉱職員をはじめ職員の婦人、その地に済む民間人など、私の調査した約300人のうち万人坑を見た日本人はただの一人もいなかった。多くは知らないと答え、残りは存在するはずがないと答えた。炭鉱の職員などで構成する「東京撫順会」は全会員1000人に対し、アンケート調査を行った。結果は私の調査と変わらなかった。
12.本多記者は抗議をした撫順炭鉱の元職員に、「私は中国側の言うのをそのまま代弁しただけですから、抗議をするのであれば、中国側に直接やっていただけませんでしょうか。中国側との間で何らかの合意点が見つかったときには、それをまた本で採用したいと思っております」と回答した。


1.、2.、5.は問題にならない。

3.の資料は貴重だが、昭和16年以後の統計はないのだろうか。中国人労働者を使い捨てにする可能性は日米戦以降が多いのではないだろうか。

9.炭鉱職員の証言は重要である。しかし、単なるアンケートで見たか、見ていないかというようなものでは説得力はないだろう。炭鉱労働者の新規採用、労働条件などに対する具体的な証言が必要ではないだろうか。

田中正明氏が書いた記事を前投稿で紹介したが、
#田辺敏雄氏が「撫順炭鉱や満州鉱業の元社員約200名を対象に取材した」、「座談会や研究会も開き、あるいは産経記者と共に現地の踏査にも行った」事実はあるのか。

について検討してみよう。

田辺氏の別の著作、『「朝日」ら貶められた現代史』を読むと撫順炭鉱の万人坑に関するアンケートは露天掘り二カ所、坑内堀り三カ所の計五カ所の採炭所の勤務者から少なくとも五名以上の回答が得られるように対象を選んだという。アンケート回答者は三十人、それにすでに面識のあった七名から話を聞いた。
アンケートの内容は万人坑を見たか、聞いたか、いつ見たか、誰から聞いたか、それに戦後撫順に行ったか、という簡単なもの。

調査した300名、200名と言っても、夫人や民間人では問題にならないだろう。炭鉱の職員名簿を入手しながら、アンケートのような簡単な形式であるのに37人くらいで止めてしまうのも解せない。

また、田辺氏の著書をいくら読んでも自身が撫順市や炭鉱に乗り込んで調査したことは一行も書いてはなかった。これもサンケイの記者が行ったとか、知人が行ったことしか書いてなかった。

とりあえず、田中正明氏の反論は他人の文章を適当に改竄しつつ、別種の反論を捏造するいつもの手口ではあった。

せっかくの調査だが、撫順炭鉱で万人坑がなかったという決定的な証拠にはならないように思う。なかった、なかったという証言を集めては終わりというパターンではなかろうか。

しかし、「中国の旅」に記載のある、撫順炭鉱の万人坑が三十カ所、二十五万人から三十万人が犠牲となった、という孫特[馬華]組長(撫順市革命委員会外事組)の主張も証拠に乏しい。まず、物証である、一万人を入れる三十もの坑がいまはすでにないというが、埋めたのであれば、あとからでも掘り起こして階級教育の素材にしたのではないか。撤去したとすれば、膨大な人骨をどこにどうしたというのだろうか。

また、坑道の事故による死者の数は数百人規模のものが何回もあったようであるが、到底何万人もの死者には届かない。

結論としては本多氏の著作をきちんと読めば、中国側の担当者の発言を紹介したにすぎない。もし、田辺市が説得力のある資料や証言を集めたと考えるのであれば撫順炭鉱に出向いてきちんと反論し、本多氏に連絡すればすむことだろう。

ところで、万人坑は確かに一万人とか数千人を入れる坑(アナ)という歴史的な使われ方はあるが、一万人という数にはこだわらず、身よりのない死者や行き倒れなどを次々に放り込む墓場という意味でもあるそうである。
44 hits

[3565]コンテンツ、正式アップ
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 ゆう E-MAILWEB  - 06/11/1(水) 20:37 -

引用なし
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   要するに本多氏は、こう言いたかったのでしょうね。

自分は、中国側の主張をひとつの「意見」として紹介している。別に自分が、その主張に全面的に賛同しているわけではない。だから、中国側の主張への批判を私に向けるのは筋違いだ。

このあたりを加味し、若干の表現修正を行なった上で、正式コンテンツとしてアップしましたので、お知らせします。

http://www.geocities.jp/yu77799/nicchuusensou/honda.html


*ああ、半角で50字以内でしたか。了解しました。それが「ルール」であれば、今後はルール内でタイトルをつけることにします。
38 hits

[3566]Re(1):コンテンツ、正式アップ
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 渡辺  - 06/11/3(金) 13:45 -

引用なし
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   ▼ゆうさん:
>要するに本多氏は、こう言いたかったのでしょうね。
>
>自分は、中国側の主張をひとつの「意見」として紹介している。別に自分が、その主張に全面的に賛同しているわけではない。だから、中国側の主張への批判を私に向けるのは筋違いだ。

「中国の旅」が執筆された時代背景もありますね。
日中国交への動きのなかで本多氏の取材が可能となり、「戦争中の中国における日本軍の行動を、中国側の視点から明らかに」することで、日中戦争の被害者の生の声が伝わってきたという意義は大きいと思います。
取材の目的は、ご存知のように『中国の旅』の巻頭に詳しく書かれています。

>*ああ、半角で50字以内でしたか。

なにせ、コンピュータの世界はメリケンが発祥の地ですので。全角のファイル名ではアップロードできないとかいうことも...
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