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[3038]戦争犯罪とその諸法の歴史 とほほ 06/8/1(火) 17:51
[3059]Re(1):戦争犯罪とその諸法の歴史 とほほ 06/8/4(金) 17:37
[3069]コメント:戦争犯罪とその諸法の歴史 勝山晋介 06/8/5(土) 11:41
[3079]資料:戦争犯罪論、前田朗著、青木書店より抜粋 とほほ 06/8/6(日) 21:30
[3174]戦争犯罪とその諸法の歴史3 とほほ 06/8/24(木) 3:14

[3038]戦争犯罪とその諸法の歴史
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 とほほ E-MAIL  - 06/8/1(火) 17:51 -

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   1、概論その一

戦争と一般に言われるものそのものの性質がフランス革命以降、国民国家成立以降に大きく変貌しており異なっている、従いここでは国民国家以降について書いていきたい、もちろん国民国家以降のヨーロッパと他地域特にはアジア地域でもその様相は大きく異なる。

周知の通り、フランス革命は従来の封建制を廃し国民国家を成立させた、この国民国家と言う概念は前提として民族と言う一つの人間の塊(又はその地域における人間の塊)がまずそこに存在しその想像の共同体としての「国家」が新設された。この国家とは本来封建からの自由な領域を示す意味合いが強く自分を支配していたものを排斥し自由を得たが、その結果他の封建君主が変わって自分達を支配することを恐れた、その為にフランスと言う国民国家が成立したのである、そうしないとブルボン王朝はあったがフランスと言う国はなかったことに成る。

他の封建君主から自国領域を守るために「国境」も新設された。これはいうなればやくざの親分の領域内から親分をたたき出し、民主的に自由な運営を行っていこうとする近代民主主義の発露であることは教科書でも習う。そこで強力な防衛長官ナポレオンは考えた。
「フランスだけではなく、世界中の封建貴族(やくざ)を叩き潰せば、フランスが他の王権(やくざ)におびえることはなくなる」として世界侵略が始まる。

他方ヨーロッパやロシア等でもフランス革命の為した「国民国家」の思想は封建国家の中でも高い人気を得ドイツやイタリア統一の機運は高まっていた。それぞれに国境が策定されていった。

近代戦争史にアジアが登場するまでにはまだ時間がある、アジアでは以前封建が支配し庶民は封建(やくざ)支配の下厳しい生活を強いられ自由は剥奪されていた。日本は小国(小親分)が分裂支配しその上小親分は大親分(徳川)に対して莫大な責務を負わされており庶民の生活たるや惨憺たるものであった。日本と言う国民国家成立までにはまだ時間を待たねばならない。

この時代、近代戦争史初期のころの戦争はいわば軍隊同士の戦争である、都市や住民区が戦場になることはまれであった、都市制圧の際は軍が都市に入ることは厳禁されていた。あくまで郊外で停戦交渉が行われその勝敗は決することになっていた。

そうこうしながら、ヨーロッパの植民地主義は国家の威信をかけて世界を制圧していったアジアではついに清朝にもその毒牙がのどもと深くに食い込んでいた。

日本は震え上がった。「あの強国清朝があれでは徳川などひとたまりもない」ここに日本史上初の「国民国家」統一の機運が芽生え始めた、ペリー来航はそれに拍車をかけた。しかしこれはヨーロッパに見られるような民主運動ではなく日本にいるやくざどもが震え上がっただけの話である。日本のやくざどもはどうしたらよいのか考えたそして国民国家のまねをしなくては、、、。と思ったのが吉田松陰である。誤解の無い様に言っておくが私は松蔭のファンである(^^;

よく現代天皇制の創始者として左翼系からは悪の権化のように語られる松蔭ではあるが、私の評価はそれとは違う、いわば国家の御旗における柱を天皇としたのは時代の限界とも言える、と考えている。それがなければ日本は民主的国家が誕生したとしても小国連合それも本州南部地域と中国・四国・九州がその領土だったに違いない。それでもよかった、いやその方がよかったのかもしれないし経済もその方が大きく庶民はゆとりある生活を出来たかもしれないが、歴史のIFはご法度である。

とにもかくにも松蔭の思想はそれまでの日本民衆の世界観を大きく変えた、狭い領土に閉じ込められていた庶民は日本と言う大きな塊を意識し。言うなればそれまでの国境を意識が超え始めたのである。大きなひとつのパラダイム転換点であったことは確かであろう。
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[3059]Re(1):戦争犯罪とその諸法の歴...
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 とほほ E-MAIL  - 06/8/4(金) 17:37 -

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   2、概論その二
> とにもかくにも松蔭の思想はそれまでの日本民衆の世界観を大きく変えた、狭い領土に閉じ込められていた庶民は日本と言う大きな塊を意識し。言うなればそれまでの国境を意識が超え始めたのである。大きなひとつのパラダイム転換点であったことは確かであろう。

しかし、この時期の日本人の戦争観はとてもではないが西欧の戦争倫理とは比較にならない、民間人への戦争被害は多大なものであった。維新軍の砲撃による都市破壊はあまり語られることはないが、頓着はしていない。ただしあくまで目標は軍事施設であったことは間違いない。

維新以降日本は欧米の戦争思想、軍備を急速に整備していく、当初はフランスに習い軍備増強をはかりその後ドイツを模範に日露戦争前の10年間で急速に軍備を拡大する。

こうした植民地主義時代の戦争は数多くの被害を生み出し、日本で言う日清・日露の時代までには数々の戦争規約がかたちどられていた。「よく時代時代により戦争犯罪は異なる、当時の戦争はそれでよかったのだ」などとして日本の戦争犯罪を普通のことにしてしまおうとするタコがいるが(最近またこの掲示板に現れているようだ(^^; )少なくとも日本が国際戦争に手を始めた時期はフランス式にしろドイツ式にしろ厳格な戦争規範があり日本自身もそれに習っている。

こういうおつむの悪い人々は、明治維新をどのように捕らえているのか?フランスの刑法を習いそれを整備した江藤新平は梟首刑になっている、この刑は江藤が整備した法制にはない、維新初期の「新律綱領」といわれる旧法によって処断されたわけであるが、大久保利通を始めとしたそのバカ連中と同程度のおつむの悪さといえるだろう。
現実にその時代幕軍の徳川慶喜や松平容保が死刑を受けていないのは明らかに西欧法の思想がその時代にあったことを示している。榎本武揚ですら死刑にはなっていない。国事犯は死刑になることはない、と言う思想は明らかなヨーロッパの法思想なのであり、いくら日本人がもともと野蛮人であったといっても、維新期にはそうした西欧法の考え方は浸透しており、たいぶ日本人をバカにしている頭の悪い日本人であることに気がつくべきである。
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[3069]コメント:戦争犯罪とその諸法...
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 勝山晋介 E-MAIL  - 06/8/5(土) 11:41 -

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   「よく時代時代により戦争犯罪は異なる、当時の戦争はそれでよかったのだ」などとして日本の戦争犯罪を普通のことにしてしまおうとするタコがいるが(最近またこの掲示板に現れているようだ(^^; )

#最近掲示板に現れているのが誰を指すのかは解りませんが

私は「時代によって戦争犯罪は異なるので、当時の戦争はよかった」という考えを撤回し、次のように主張いたします。「どんな戦争だって民間人の虐殺や捕虜の虐待等の所謂現在の価値観における戦争犯罪は行われる。太平洋戦争中に日本軍が戦争犯罪を犯したことはとても良いことではないが、ある意味しかたが無いことだ。」

#日本軍が占領した都市はきちんと統治されていた。日本軍の規律は完璧だった。日#本軍は虐殺なんてしない。といった主張
#諸外国の軍が占領した都市はきちんと統治されていた。諸外国の軍の規律は完璧だった。諸外国の軍は虐殺なんてしない。といった主張
#両方とも同じレベルで戦争の現実から目を背けているでしょう。
#所詮戦争なんて殺し合いです。どんな軍隊だって戦争犯罪の一つや二つ犯すのです。

>こういうおつむの悪い人々は、明治維新をどのように捕らえているのか?フランスの刑法を習いそれを整備した江藤新平は梟首刑になっている、この刑は江藤が整備した法制にはない、維新初期の「新律綱領」といわれる旧法によって処断されたわけであるが、大久保利通を始めとしたそのバカ連中と同程度のおつむの悪さといえるだろう。

なにをもっておつむが悪いかは人それぞれです。あまり第三者を挑発するような書き方はすべきではないと思います。
#あくまでも個人的な意見です。右翼も左翼もお互いにお互いを馬鹿と罵り合っていつまでたっても最良な意見を生み出せて無いのではないでしょうか?感情をはさんで議論するのは完全に間違っているわけでは無いかもしれませんが、あまり推奨されるようなことではないと思います。

>現実にその時代幕軍の徳川慶喜や松平容保が死刑を受けていないのは明らかに西欧法の思想がその時代にあったことを示している。榎本武揚ですら死刑にはなっていない。国事犯は死刑になることはない、と言う思想は明らかなヨーロッパの法思想なのであり、いくら日本人がもともと野蛮人であったといっても、維新期にはそうした西欧法の考え方は浸透しており、たいぶ日本人をバカにしている頭の悪い日本人であることに気がつくべきである。

#本段落の末尾の文章の主語がいまいちつかめず、前の段落の冒頭が主語だと仮定します。(つまり『こういうおつむの悪い人々は、たいぶ日本人をバカにしている頭の悪い日本人であることに気がつくべきである。』と仮定します)

正直に申し上げまして、私の読解力ではこの文章でなにを言いたかったのか良くわかりませんでした。
前の段落で、『江藤新平は大久保利通らと同じくあまり良くは無かった』と述べているような気がします。次の本段落では、『徳川・松平・榎本を見て解るように、国事犯は死刑になることは無い。つまり、ヨーロッパの法思想が日本に浸透していた。』と述べているのでしょうか?(確信は持てません)そうなると、この2段落でのとほほさんの主張は、『こういうおつむの悪い人々は、明治維新をどのように捕らえているのか?江藤新平は大久保利通らと同じくあまり良くは無かった。徳川・松平・榎本を見て解るように、国事犯は死刑になることは無い。つまり、ヨーロッパの法思想が日本に浸透していた。なので、こういうおつむの悪い人々は、たいぶ日本人をバカにしている頭の悪い日本人であることに気がつくべきである。』となってしまい、さっぱり解らない文章になってしまいます。
申し訳ありませんが、もう一度わかりやすく書くことを推奨いたします。

#ちなみに、日本人は野蛮人であると書いていますが、野蛮人で無い国の人間なんて居るのでしょうか?
##前回は私の投稿は相手にされませんでしたが、今回の投稿はいかがでしょうか?お手数でなければ、対応していただけることを望んでいます。
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[3079]資料:戦争犯罪論、前田朗著、...
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 とほほ E-MAIL  - 06/8/6(日) 21:30 -

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   資料:戦争犯罪論、前田朗著、青木書店より抜粋
ここでは現在ICCが規程する戦争犯罪として資料提示する。「これは現在の規程であって昔はこういうこともして良かったのだ」と言うタコが現れるといけないので付け加えるが、現在のICC規程は人類の長い戦争の歴史の中で「戦争犯罪である」とされていたものを、裁かれたものも裁くことが出来なかったものも含めて体系化されたものであって、決して「昔は戦争犯罪ではなかった」ものではない、特に「人道に対する罪」と言う概念は国民国家以前からの戦争史のなかにある非常に古い概念である、戦争犯罪規程の一切はこの概念から発祥していることは、強く認識しておくべきであろう。
P59〜P66
第2章戦争犯罪論の現在
3戦争犯罪

(一)歴史的変遷

狭義の戦争犯罪は、国際人道法違反であり、ICC規程では実に詳細な犯罪類型が規定されている。

ニュルンベルグ・東京裁判条例では、単に「通例の戦争犯罪、すなわち、戦争法規または戦争慣例の違反」とだけ規定されていた。一八九九年の第1回ハーグ平和会議の諸条約(陸戦の法規慣例に関する条約、毒ガス禁止宣言、ダムダム弾禁止宣言)、一九〇七年の第二回ハーグ平和会議の諸条約(開戦に関する条約、陸戦の法規慣例に関する条約)、一九二九年のジュネーヴ捕虜条約等が念頭におかれていた。しかし、戦争法規は、その後大きな発展を遂げた。一九四九年のジュネーヴ四条約、および一九七七年の二つの選択議定書である。

ICC規程は、これらジュネーヴ四条約の重大な違反と二つの選択議定書の重大な違反を主要な戦争犯罪として盛り込んだ。ICC規程八条一項は「本裁判所は、特に計画もしくは政策の一部として行われた戦争犯罪またはこのような犯罪の大規模な実行の一部として行われた戦争犯罪に関して、裁判権を有する」とする。そして、八条二項は四つの類型の戦争犯罪を掲げている。

(二)一九四九年八月一二日のジュネーヴ諸条約の重大な違反、すなわち、当該ジュネーヴ条約の規程で保護される人または財産に対する次に掲げる行為のいずれか。

これには八つの行為類型がある。
  1. 故意による殺害。
  2. 生物学的実験を含む拷問または非人道的な取り扱い
  3. 身体または健康に対して故意によって重大な苦痛を引き起こしまたは重大な障害を与えること
  4. 軍事的必要性によっては正当化されず、かつ、不法に恣意的に実行された財産の広範な破壊および領得
  5. 捕虜またはその他保護された人を敵対国の軍隊において強制的に使役すること
  6. 捕虜またはその他保護された人から公正かつ正規の裁判を受ける権利を故意に奪うこと
  7. 違法な追放もしくは移送または違法な監禁
  8. 人質にとること
「保護された人」とは、ジュネーヴ諸条約が想定しているのは、傷者、病者、難船者、衛生要員、捕虜、文民および一般住民である。

(三)国際法の確立した枠組みにおける、国際武力紛争に適用される法規および慣例のその他の重大な違反、すなわち、次に掲げる行為のいずれか。

これには二六の行為類型がある。
  1. 一般住民または敵対行為に直接参加していない民間の個人に対して意図して攻撃を加えること
  2. 民用物すなわち軍事目標ではない目的物に対して意図して攻撃を加えること
  3. 国際連合憲章に則り人道的援助または平和維持活動に関与する人員、施設、物資、部隊または車輌であって、武力紛争に関する国際法において文民または車輌であって、武力紛争に関する国際法において文民または民用物に対して与えられる保護に値するものに対して意図して攻撃をくわえること
  4. 攻撃が、予期された具体的かつ直接的な軍事的利便に照らして明らかに過剰となる、民間人の生命の損失もしくは負傷または民用物への損害もしくは自然環境に対する長期的重大な損害を付随的に含むことを知りながら、意図して攻撃を加えること
  5. 手段のいかんを問わず、無防備で、かつ、軍事目標となっていない都市、村落、居住地または建物に対する攻撃または爆撃
  6. 武器を放棄したまたはもはや防衛手段をもたずに、任意に降伏した戦闘員の殺害または傷害
  7. 休戦旗、敵国または国際連合の旗または軍章もしくは制服またはジュネーヴ諸条約の特定の徽章を不正に使用することによって、人の死または重大な身体障害を生じさせること
  8. 占領軍によってその占領する地域に自国の民間人の一部を直接もしくは間接に移転させ、または被占領地域の住民の全部もしくは一部をその被占領地域の内もしくは外に強制移住もしくは移転させること
  9. 宗教、教育、芸術、科学もしくは慈善の目的に使われる建物、歴史的遺跡、病院ならびに病者および傷者を集合させている場所に対して意図して攻撃を加えること。ただし、これらのものが軍事目標でない場合に限る
  10. 関係人の医療、歯科治療もしくは療養によっては正当化されず、かつ、その人の利益のために行われたのではないものであって、かつ、これらの人の死もしくは重大な健康への危険を生じさせる、身体の切断または医学的もしくは科学的な実験に、敵側の権力の掌中にあるある人を従わせること
  11. 敵国または敵軍に属する人を偽計をもって殺害または傷害すること
  12. 宿泊所をいっさい与えないと告げること
  13. 戦争の必要からやむを得ない場合を除き、敵側の財産を破壊または接収すること
  14. 敵側国民の権利および訴訟活動について、裁判所においてその失効、停止または許容性の欠如を宣告すること
  15. 戦争の開始前に交戦者としての役務に従事していた場合であっても、敵国民を自国に対する戦争の作戦行動に強制して参加させること
  16. 急襲した場合であっても、都市または場所を略奪すること
  17. 毒または毒性のある兵器を使用すること
  18. 窒息性ガス、毒ガスまたはその他のガスおよび類似の液体、物資または装置を使用すること
  19. 中心部を全面的には覆っていない硬性の莢もしくは切開されて穴を空けられた硬性の莢をもつ弾丸など、人体内において容易に拡大またはつぶれる弾丸を使用すること
  20. 過剰な傷害もしくは不必要な苦痛を生じさせる性質を帯び、または武力紛争に関する国際法に違反してそもそも無差別的な性質を帯びた兵器、投擲物および物資ならびに戦闘手段を使用すること
  21. 人格の尊厳を侵害すること、特に、侮辱的で対面を汚す取り扱いを行うこと
  22. 第七条第二項f号に定める強姦、性奴隷化、強制売春、強制妊娠、強制断種またはその他ジュネーヴ諸条約の重大な違反となる性暴力をすること
  23. 一定の地点、地域または軍隊を軍事作戦行動の対象とされることを免れるため、民間人またはその他の被保護者を利用すること
  24. 国際法に則りジュネーヴ諸条約の特定の徽章を用いる建物、資材、医療品および運送ならびに人員に対して意図して攻撃を加えること
  25. ジュネーヴ諸条約に則り供給された救援の提供をもって妨害することを含む、文民からその生存に不可欠な物を奪うことによって戦闘の手段として文民の飢餓を意図して利用すること
  26. 十五歳未満の子どもを国内の軍隊に徴用もしくは募集しまたは敵対行為に積極的に参加させるために十五才未満の子どもを利用すること

(四)国際的な性格をもたない武力紛争の場合において、一九四九年八月一二日の四ジュネーヴ諸条約共通第三条の重大な違反であって、武器を放棄した軍隊の構成員および病気、負傷、抑留その他の事由により戦闘外に置かれた人を含む、敵対行為に直接に参加しない人に対して行われた次に掲げる行為のいずれか。

ここでは四つの行為類型が掲げられる。
  1. 生命および身体に対する暴行、特に、あらゆる種類の殺人、傷害、虐待および拷問
  2. 人格の尊厳に対する侵害、特に、侮辱的で対面を汚す取り扱い
  3. 人質
  4. 正規に構成された裁判所で一般に不可欠と認めるすべての裁判上の保証を与えた上であらかじめなされる裁判によらない判決の言渡しおよび刑の執行

(五)国際的な性格をもたない武力紛争に適用されるその他の法規および慣例の重大な違反であって、確立した国際法の枠組みの中にあるもの、すなわち、次に掲げる行為のいずれか。

ここでは一二の行為類型が掲げられる。
  1. 一般住民または敵対行為に直接参加していない個々の文民に対して意図して攻撃を加えること
  2. 国際法に則りジュネーヴ諸条約の特定の徽章を用いる建物、資材、医療品および運送ならびに人員に対して意図して攻撃を加えること
  3. 国連憲章に則り人道的援助または平和維持活動に関与する人員、施設、物資、部隊または車輌であって、武力紛争に関する国際法において文民または民用物に対する保護に値するものに対して意図して攻撃を加えること
  4. 宗教、教育、芸術、科学もしくは慈善の目的に使われる建物、歴史的遺跡、病院ならびに病者および傷者を集合させている場所に対して攻撃を加えること。ただし、これらのものが軍事目標でない場合に限る
  5. 急襲した場合であっても、都市または場所を略奪すること
  6. 第七条第二項f号に定める強姦、性奴隷化、強制売春、強制断種またはその他のジュネーヴ諸条約の重大な違反となる性暴力をすること
  7. 十五才未満の子どもを軍隊または集団に徴用もしくは募集し、または敵対行為に積極的に参加させるために十五才未満の子どもを利用すること
  8. 当該文民の安全またはやむを得ない軍事上の必要がないのに、紛争に関係した理由によって、一般住民の移住を命令すること
  9. 敵側戦闘員を偽計をもって殺害または傷害すること
  10. 宿泊所をいっさい与えないと告げること
  11. 関係人の医療、歯科治療もしくは療養によって正当化されず、かつ、その人の利益のために行われたのではないものであって、かつ、これらの人の死もしくは重大な健康への危険を生じさせる、切断または医学的もしくは科学的な実験に、敵側の権力の掌中にあるある人を従わせること
  12. 紛争の必要からやむを得ない場合を除き、敵側の財産を破壊または接収すること

アカイェス事件判決

一九九八年九月二日のICTR判決は、ジュネーヴ諸条約共通三条およびジュネーヴ諸条約第二選択議定書の重大な違反に関する訴追について、アカイェスに無罪を言渡した。ジュネーヴ諸条約第二選択議定書に関する初の国際法廷の判断である。ICRT裁判部は以下のように検討した。

ICRT裁判部は、各事実に関する検察官主張の法律判断を検討した。検討対象は、裁判管轄権のある三つの犯罪について適用できる法である。特に重要なことに、ジュネーヴ諸条約第二選択議定書の重大な違反についての法律判断は、まさに今回が初めてのことである。さらに、管轄権のある犯罪、なかでも強姦について、国際法上共通に受け容れられた法律判断が存在しないので、特に判断しなければならなかった。

アカイェスは、素因六、八、一〇および一二について一九四九年のジュネーヴ諸条約共通三条の違反で訴追され、素因一五についてはジュネーヴ条約共通三条と一九七七年のジュネーヴ諸条約第二選択議定書の違反で訴追されている。裁判部は、起訴状記載の事実の当時ルワンダ政府とRPFのあいだには国際的ではない性質の武力紛争があり、この紛争は共通三条と第二選択議定書の規程に含まれる、と判断する。しかし、アカイェスが武装勢力の一員であったことや、アカイェスに公務員・代表者・公的権威を与えられた者・事実上の政府代表として戦争遂行を支持・実行する権限があると期待されていたことを、検察官が合理的な疑いを超えて証明していない。

つまり、結論として、起訴状記載の行為をしたとしても、アカイェスが武装勢力の一員であるとか政府の立場で行動するものでなければ、本罪は成立しない(ただし人道に対する罪で有罪)。

戦争犯罪について考える場合、一九九八年は重要な転換点であった。その転換点の意義を失うことなく、されに推進していく必要がある。第一に七月のローマ会議におけるICC規程の採択であり、これによって初めて常設の戦争犯罪法廷ができることになった。第二に、八月の国連人権小委員会において採択されたマクドゥーガル「戦時組織的強姦・性奴隷」特別報告書であり、これによって「女性に対する戦争犯罪」の基本問題が解明された。第三に、九月のICTR判決で、国際法廷で史上初のジェノサイドの罪の適用がなされた。国際社会は戦争犯罪克服への途を歩み始めた。その歩みはまだ小さなものであり、目標は遥か遠いとしても、国際法の理念を明確に宣言し、到達目標を明示した。二一世紀の早い時期に、ICCを設立し、理念の実現に向けての具体的な一歩を踏み出すこともスケジュールに入っている。理念と法思想と国際機関が揃うことになる。次は具体的措置の時代である。

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[3174]戦争犯罪とその諸法の歴史3
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 とほほ  - 06/8/24(木) 3:14 -

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   私がわけのわからない文章で連ねるよりも大変判りやすいホームページがありましたのでそちらを紹介します(^^ゞ

浜林正夫19980816戦争責任と国家賠償
indexだけ抜粋しておきます。

目次
一、戦争責任とはなにか
  なぜ戦争貴任を問題にするのか
  三種類の戦争犯罪
  戦争犯罪人の処罰
二、国家としての戦争責任
  戦争責任のとり方
  日本の戦後賠償
三、戦争犠牲者にたいする補償
  外国人にたいする補償
  日本人にたいする補償
  ドイツとの比較
四、日本における戦争責任追及の弱さ
  日本国民は戦争の被害者か、加害者か
  東京裁判の意義と問題点
五、歴史の真実をゆがめるもの
  大東亜戦争肯定論
  アジア民族解放戦争というゴマカシ
  南京大膚殺はまぽろしか
  従軍「慰安婦」の真実
六、過去の戦争責任を明確にすることが未来の戦争をふせぐ
  なぜ戦争責任の追及が弱いのか
  終わりに
参考文献
略歴
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