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▼とほほさん: >▼指環さん: >> 「百人斬り」訴訟の控訴審ですが、控訴人の忌避申立てはあっと言う間に却下されました。 >> そして、判決期日が指定されました! >>5月24日(水曜日)午後1時10分〜 > >えーと、指環さんが書くべきことかもしれませんが、とりあえず、「完全勝訴」の第一報が入りましたのでお知らせします。
とほほさんに先を越されてしまいました(笑)。 昨日中に思考錯誤板に報告を書くつもりだったのですが、昨夜の12時近くまで、本多勝一さんや史実を守る会の人達と勝利の祝い酒を飲んでいたもので(^^;
さて、「百人斬り」訴訟の控訴審判決。もちろん、控訴棄却。つまり、本多さんの側の勝利です。
判決言渡しの傍聴に行き、今回は傍聴券抽選に当たり、法廷の中にも入れましたので、先ずはその様子の報告です。
傍聴券抽選に並んでいる時から、相変わらず、人数は右翼側の方が圧倒的に多かったです。傍聴希望者の8割は右翼側だと思われます。(まあ、こちらは大きな組織が動員しているわけではなく、全くの個人が完全に自発的意思で集まっているだけですから、動員で負けるのは仕方ないかも・・・・。それにしても、今後の夏淑琴さんの名誉毀損訴訟では、こちらももっと気合いを入れて、傍聴動員に取り組まなければなりません。) そして、午後1時10分、予定どおり開廷すると、入廷した裁判長は席につくや否や、直ちに判決主文を朗読。
「主文。本件控訴をいずれも棄却する。控訴費用は控訴人らの負担とする。判決理由は判決書記載のとおりですので省略します。」
あっさりしたもので、10秒ぐらいで言渡しを終え、裁判官らはさっさと退廷。 こちらの支援者は盛大に拍手しました。これに対し、右翼側は「喜ぶなよ!」とこちらに怒声を上げていました。(なお、私は気づかなかったのですが、右翼側の支援組織が分裂しており、右翼同士のトラブルが法廷の外の廊下であったらしいです。)
さてさて、本多さん勝訴自体は予想どおりの当然のものなので、皆さんの関心は判決理由、とりわけ「百人斬り競争」の歴史事実を裁判所がどこまで認定したのか、という点でありましょう。既に判決全文のコピーを入手していますので、それについて報告します。
ただ、その前に、焦らすようですが、死者の名誉毀損(遺族の人格権侵害)の成否の判断基準について、原判決を変更した部分がありますので、これについて。 原判決は「相当年月の経過を経てこれを歴史的事実として取り上げる場合には(中略)一見して明白に虚偽であるにもかかわらず,あえてこれを摘示した場合であって,なおかつ,被侵害利益の内容,問題となっている表現の内容や性格,それを巡る論争の推移など諸般の事情を総合的に考慮した上,当該表現行為によって遺族の敬愛追慕の情を受忍し難い程度に害したものと認められる場合に初めて,当該表現行為を違法と評価すべきである。」としていましたが、本判決では
事件として比較的広く知られ,かつ,何が真実かをめぐって論争を呼ぶような歴史的事実に関する表現行為について,当該行為(故人の生前の行為に関する事実摘示又は論評)が故人に対する遺族の敬愛追慕の情を違法に侵害する不法行為に該当するものというためには,その前提として,少なくとも,故人の社会的評価を低下させることになる摘示事実又は論評若しくはその基礎事実の重要な部分が全くの虚偽であることを要するものと解するのが相当であり,その上で,当該行為の属性及びこれがされた状況(時,場所,方法等)などを総合的に考慮し,当該行為が故人の遺族の敬愛追慕の情を受忍し難い程度に害するものといい得る場合に,当該行為について不法行為の成立を認めるのが相当である。 となりました。 つまり、「一見して明白に虚偽であるにもかかわらず,あえてこれを摘示した場合」に違法となりうる、から、違法となりうるには「その前提として・・・全くの虚偽であることを要する」となったわけです。
そして、最も注目された歴史事実認定の部分は次のとおりです。
南京攻略戦当時の戦闘の実態や両少尉の軍隊における任務,1本の日本刀の剛性ないし近代戦争における戦闘武器としての有用性等に照らしても,本件日日記事にある「百人斬り競争」の実体及びその殺傷数について,同記事の内容を信じることはできないのであって,同記事の「百人斬り」の戦闘戦果は甚だ疑わしいものと考えるのが合理的である。 しかしながら,その競争の内実が本件日日記事の内容とは異なるものであったとしても,次の諸点に照らせば,両少尉が,南京攻略戦において軍務に服する過程で,当時としては,「百人斬り競争」として新聞報道されることに違和感を持たない競争をした事実自体を否定することはできず,本件日日記事の「百人斬り競争」を新聞記者の創作記事であり,全くの虚偽であると認めることはできないというべきである。
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