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[619]グース批判その1
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 トロープ  - 05/7/20(水) 2:49 -

引用なし
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    はじめに。
 背景が灰色になっている部分がグース氏の文章です(面倒ですので誤字や脱字はいちいち指摘しません)。
 背景が水色の部分は文献からの引用です。出典も明示するようにしています。なお、グース氏が引用文を載せている場合はそのままコピペせず、現物を確認して正しい引用文に修正しています。


 今回、私が検証してみたのは南京大虐殺の虚構内のその他論点(資料解説)です。
 南京大虐殺否定派の東中野教授に対する人格攻撃の一つを検証してみましょう。虐殺派の中心的存在である笠原十九司教授の見解を引用してみます。
 というわけで、このページの趣旨は『南京大虐殺否定論13のウソ』の笠原氏の論説に対する批判です。
 少し長くなりますが、グース氏が批判している部分を以下に書き写してみます。
 一つは、東京裁判に提出された国際安全区委員のマッカラムの日記を「支那人の中から、強姦は支那軍がやったのだと証言する者が現れる」と中国軍強姦説の「例証」に引用している(二七七頁)。ここで、東中野氏は以下のように欺瞞的な引用の仕方をする。
 一九三八年一月八日――今、日本兵は安全地帯における我々の努力を信用せぬように試みております。彼らは貧賤な支那人を脅迫して、我々が云った事を否認させようとします。支那人のある者は容易に掠奪・強姦および焼打などは支那軍がやったので、日本軍がやったのではないと立証すらいたします。
 我々は今、狂人や馬鹿者を相手にしているのだと時々考えます。また我々外国人は全部生きてこの厳しい試練を経たのだと不思議と思います。(洞富雄編『南京大残虐事件資料集(1)極東国際軍事裁判関係資料編』青木書店、一九八五年、一二五頁)
 東中野氏は右のマッカラム日記の傍線部分だけを引用して中国軍強姦説の「例証」にしているのである。マッカラム日記は、安全区国際委員会のメンバーが日本軍の残虐行為を阻止すべく日本大使館やアメリカ大使館に対して不法行為を告発、抗議しているのに対して、日本軍の特務機関関係者が、貧しい人々を金品で買収し、かつ「言う通りにしなければ命を保証しない」といった類の脅迫をして、安全区委員会の抗議している日本軍の暴行は、実は中国軍が行なったものだと証言するように迫り、実際にそれに従った難民、中国人がいたことを書いている。「狂人や馬鹿者を相手にしている」というマッカラムの激しい言葉は、日本軍の強姦行為を中国軍の仕業に見せようと謀略を企てる狂人=日本軍と、それに金品と脅しで従い、命懸けで救済に奔走する外国人の恩を仇で返す馬鹿者=中国人がいることへの怒りの吐露なのである。その買収、脅迫された中国人のウソの証言を、中国軍強姦説の「例証」に「悪用」している学者が現在の日本にいることを天国のマッカラムが知ったら、なんと言うだろうか。

(『南京大虐殺否定論13のウソ』P210-212より)
 念のため解説しておくと、これは《第11章 妄想が産み出した「反日攪乱工作隊」説》の一部分です。文脈としては、東中野修道氏のトリックをとりあえず三つ挙げる、という例の二つ目にあたります。下衆の勘ぐりですが、グース氏は「ここに限れば揚げ足を取れる」と踏んだのかもしれません。どうせなら反日攪乱工作隊の実在でも証明すればいいのに、と思うのですが。

 さて、私としては笠原教授の論考には特に異論はありません。ちょっとどうかと思う部分もないではないですが、概ね妥当なものであるように思います。しかし、グース氏によると二つの問題点があるらしいです。
■第一の問題点
 まず東中野氏教授の引用は「中国人証言者についての資料の部分」を引用したものです。つまり、「中国軍が犯罪を行ったと証言した中国人が存在する」という資料を引用したということですから、該当資料の解釈や信憑性は別の問題として議論しなければならないということです。

(1)中国軍が犯罪を行ったと証言した中国人が存在した。
(2)マッカラムはその中国人が買収・脅迫されと考えた。

 ということですから、資料として(1)の部分を引用することは別に問題はないと考えられます。(無用な議論を避ける為に、東中野教授がこういう説明をしてから引用すればよかったということは確かですが)。資料を引用する場合は、出典を明記して、資料の部分を引用すればよいわけで、掲載者の意向に縛られる必要がないことは説明する必要はないでしょう。この場合資料を掲載したマッカラムの意図は無関係で、「中国人がそういう証言を行ったという事実」が重要ということです。
 この説明で納得できる人がいるのでしょうか。「A:脅されて」「B:○○と証言した」という資料について、Aを伏せてBだけ紹介することは非常にアンフェアであり、「欺瞞」と断じられて当然だと思うのですが……。しかし、グース氏にとってはその当然の指摘が「人格攻撃」になるようです。
 信憑性云々については後の方に回します。
■第二の問題点
 証言をした中国人が、本当に脅されたのか、もしくは買収されたのかについては確実な資料は無いようです(提示されていない)。マッカラムの日記には、日本軍の特務機関関係者が工作を行ったとか、「言うとおりにしなければ命を保証しない」と言った類の脅迫があったとかというような”具体的”な事は書かれていません。 特に、買収が行われたとは一言も書かれていません。(笠原教授の想像が巧みに挿入されているということ)
 グース氏はマッカラムの記述の信憑性を疑います。確かに、この日記だけでは彼がどういう根拠であれを書いたのか不明です。しかし、根拠が書かれていないことを理由に記述の信憑性が下がるという議論は成り立たないと思います。そもそも日記とは個人的につける記録なのですから、読者のための事細かな解説まで書く必然性などありません。あまり自信がないのですが、マッカラムの日記は、もともと他人に見せるつもりで書かれたものではないでしょう。

 上記のマッカラム日記の引用部分に「買収」の事実が書かれてないのは事実です。これは笠原教授のミスだろう、と私も思います。しかし「笠原教授の想像」というのはどうでしょうか。私としては「根拠はあるが、書くのをうっかり忘れていた」程度の話であるように思います(これも後に回します)。
 結論を言ってしまうと、中国軍の犯罪を証言した中国人が、買収されたとか、脅迫されたというのは、マッカラムの想像にすぎないという可能性があるということです。脅迫が行われたというような噂を、潜伏中の中国兵が流布したという可能性はあるでしょうが、証言者が勇気をもって真実を語ったという可能性を否定できるものではありません。これらの中国軍の犯罪を証言した中国人がウソをついていた。すなわち、証言した中国人が買収・脅迫されたという確認をする為には、買収・脅迫が行われている現場を抑えるか、証言者本人から話を聞くかしか方法がないことになります。国際委員会の外国人が裏取引の現場を抑えたという資料は見当たらないし、マッカラムの日記にも記されていませんから、「現場を抑えた説」は現状では除外して構わないでしょう。すると、本人に直接確認したという可能性しか残らないことになります。
 どうでもいいのですが、正解が含まれている保証の無い選択肢を提示し、そのうちのいくつかを排除して残った一つを正解に見せかけるというのは一種の詐術ですよね。たとえば本人ではなく周囲の人間が「○○が脅迫(買収)された」と申告した可能性もあると思うのですが。

 それと、「脅迫が行われたというような噂を、潜伏中の中国兵が流布したという可能性」ですが、これこそ一部アホ否定派の想像(というか妄想)でしょう。私はまだ知識が足りないので断言はできませんが、そのような事実を示唆する史料なんて存在しないはずです。

 マッカラムもある程度の確信があるからこそ日記に書いたのでしょうし、それを信用できないというのなら、「支那人のある者は(中略)日本軍がやったのではないと立証すらいたします」という話もマッカラムの想像、または伝聞に過ぎないのではないかと疑うべきでしょう。
 本人に確認した結果、「証言しなければ殺されていた」というような具体的な話があった場合、「ウソの証言した中国人もまた哀れな被害者」ということになります。また、脅迫と共にわずかな金品を受け取ったとしても責めることはできないでしょう。するとこれら哀れな中国人に対するマッカラムのこの表現は如何なものでしょうか?。

≪我々は今、狂人や馬鹿者を相手にしているのだと時々考えます byマッカラム≫

 脅迫されて、止むを得ない事情で事実ではないウソの証言をせざるえなかった中国人を「狂人」とか「馬鹿者」と罵るとは普通の神経では考えられません。つまり、マッカラムは証言者本人から脅迫行為が行われたという確証を得ていないし、現場を抑えた訳でもない。単なる想像で「中国人たちは脅迫されたに違いない」と考えたということでしょう。
 ぼーっと読んでいると、筋の通った文章かと思ってしまう人もいるかもしれません(実は私は最初、意味が分からず混乱しましたが)。
 グース氏が言いたいであろうことを斟酌しつつ、できるだけわかりやすく整理すれば、以下のようになると思われます。

 (1)聞き取り調査をすれば、証言者たちも日本軍の被害者だと分かったはずである。
 (2)哀れな被害者に対して「狂人」「馬鹿者」などと罵るとは考えられない(しかし罵っている)。
 (3)これはマッカラムが聞き取り調査などを行っていないことを意味する。
 (4)つまり、脅迫云々はマッカラムの想像に過ぎない。

 ここでのグース氏のトリックは、「中国軍がやった」と主張した証言者は(その全員が)哀れな被害者であると決めつけていることです。しかし普通に日記の文脈を読み取れば、マッカラムが非難しているのは日本軍に媚びへつらって嘘の証言をした者としか解釈できないでしょう。

 そもそも、確信があるからこそ非難した、という当然の解釈をなぜしないのか不思議でなりません。マッカラムは勝手な想像で他人を「馬鹿者」扱いするような人物であると、グース氏は主張するのでしょうか。
■冷静に考えるとこのような結論になります。
 国際委員会の外国人は、日本軍が全ての犯罪を行っていると考えていたが、中国人難民たちは必ずしもそうは思っていなかった。だから、容易に≪支那人のあるものは容易に掠奪・強姦及び焼打ちなどは支那軍がやった≫というような証言が出てきたということでしょう。文章表現から考えると、容易にこういう証言者が出てくるということは、中国軍の犯罪を感じていた証言者が一人二人ではなかったというように考えられます。
 まず、「国際委員会の外国人は、日本軍が全ての犯罪を行っていると考えていた」は明らかな間違いですね。彼らは敗走する中国軍の狼藉を認識しつつ、しかし日本軍の暴虐はそれより遥かにひどい、という立場であったはずです。

 また、数々の残虐行為に関して、「日本軍ではなく中国軍がやった」とする証言も明らかに嘘でしょう。「日本軍だけでなく中国軍もやった」ならともかく、日本軍が何もしなかったという証言が出るとは考えにくいです。もしそういう証言があったとしても、逆に何かの圧力(あるいは甘言)を匂わせるだけだと思います。

 それにしても、ここで「文章表現」を持ち出すとは驚きです。英語から日本語に訳した文章なのですから、細かいニュアンスまで理解できるとは限らないと思うのですが……。悪く見すぎかもしれませんが、たまたま自説に都合のよい訳だったから利用する、という姿勢なのではと疑いたくなります。


 グース氏は続けて、「笠原教授の問題点」とやらを二つ挙げます。しかしその両方とも、私にはとても納得できないものです。
 どうでもいいのですが、すでに二つ「問題点」を挙げておいて、さらに二つ問題点を挙げるという構成に疑問は覚えなかったのでしょうか。最初から四つの問題点にしておけばいいのに……。
笠原教授の問題点(1)
日本軍の特務機関関係者が、貧しい人々を金品で買収し、かつ「言う通りにしなければ命を保証しない」といった類の脅迫をして、安全区委員会の抗議している日本軍の暴行は、実は中国軍が行なったものだと証言するように迫り、実際にそれに従った難民、中国人がいたことを書いている。

(『南京大虐殺否定論13のウソ』P211より)
 この部分の記述を証明する資料は笠原教授の文中では見当たりませんし、南京事件資料集・アメリカ関係資料編記載のマッカラムの日記にも記されておりません。当然東京裁判関係資料にも、脅迫の具体例の記載はないし、その他現在日本で発売されている(外国人・国際委員会関係の)邦文資料でも、これらの具体例について言及したものはないようです。もちろん、批判する為の資料を引用しなければならないのは、批判する側の笠原教授ですから、資料提示がない段階で笠原教授の落ち度であることは論を待たないと思われます。

 根拠が示されていない以上、この一連の部分は笠原教授の「想像」であると判断する以外にないのですが、これらの自説がさも証明され確実な事実であるという風に「誤解を与える」ような記述をするのは如何なものでしょうか。

 笠原教授が東中野教授の引用手法を欺瞞と表現するのならば、資料の提示もせず、根拠のない具体例を、さも事実であるかのように挿入するのも欺瞞と言わねばならないでしょう。
 さて、いよいよ日本軍の「脅迫」および「買収」に関わる部分です。おそらくグース氏は、これをマッカラムや笠原氏の妄想だとでも言いたいのでしょう。まるで、それに関する史料が一切存在しないかのような口ぶりです(微妙に慎重な書き方をしているようにも見えますが)。

 個人的には、マッカラム日記にも日本軍による買収を匂わせる記述があると思います。1月9日の、新聞記者が難民に食べ物や金銭を渡しているというくだり……というか、これは上の方で引用した部分と同じ日の冒頭部です(これ、なぜか『13のウソ』やweb上で見かける資料では「1月8日」の記事として紹介されていますけど、正確には9日ですよね?)。
 まさかグース氏が読んでいないはずはないと思うのですが、なぜか無視しています。そりゃまあ、これを買収と感じるのは個人的な印象の域を出ませんが……。

 しかし、日本軍の脅迫・買収を取り上げた「邦文資料」は確実に存在するのです。
 たとえば以下のような資料が「ゆう」さんの南京事件 小さな資料集内の反日撹乱工作隊(5) 中国軍隊の仕業?に提示されています。
 大使邸ではいくつかの中国の蒔絵が日本兵に盗まれた。その後、日本のある領事館警官が現われて、中国人が犯人であると証言させるため、大使邸のクーリーに五○ドルを手渡した。かれは殺されるのを恐れて金を受け取ったが、その後ドイツ人の庇護を頼りに真実を語った。かれは、身の危険を案じて証言を他言しないよう懇願した。

(『ドイツ外交官の見た南京事件』P89より)
大使館警備のために残っていた警官たちは、日本兵が四日間にわたり立て続けに進入した塀の位置をわれわれに示した。警官たちはひどくおびえて、フランス大使館がこの事件にたいして何もしないよう求めた。なぜなら、日本兵はかれらを殺すと脅しており、日本兵は中国人を犯人に仕立てて報告するつもりだからである。私は警官たちの要望を上海のフランス大使館に伝え、いまもこのことを空軍武官に繰り返した。

(『ドイツ外交官の見た南京事件』P180より)
のちにドイツ大使館は日本軍当局に賠償を要求し、盗難届も作成した。日本軍当局は調査後に賠償し、かつ事件を起こした兵士を処罰することに応じた。しかし調査のとき、日本軍当局は番人を強迫して、わが中国軍民によって略奪されたと認めさせたのである。番人も威嚇されたため承認するよりほかに仕方がなかった。敵の恥知らずの極みというべきである。

(『南京事件資料集2 中国関係資料編』P119より)
 これらを読めば明らかなように、日本人による脅迫、買収といった行為は確実に存在したのです。気付かなかったのか気付いて無視しているのか不明ですが、グース氏の「具体例について言及したものはないようです」という言葉は間違いということになります。これで「信憑性」については問題無しとしてよいでしょう(それとも「反日外国人が残した記録は信用できない」とか言い出すでしょうか?)。

 確かにこれらを提示しなかった笠原氏はまずかった(揚げ足を取られるという意味で、です)と思いますが、「誤解を与える」だとか「欺瞞」だとかいう非難は完璧な的外れでしょう。
 もしかしたら笠原氏は、そういった事例を周知の事実だと勘違いしていたのではないかと思います。何しろ、上の資料にはすべて関わっておられるようですから。
 むしろ私が気になるのは、工作を行ったのを「特務機関関係者」とした根拠です。いや、個人的には南京特務機関だけではなく、どこでも普通にやってそうな気がしますので……。
笠原教授の問題点(2)

 笠原教授は、否定論13のウソで
≪マッカラムの厳しい言葉は、日本軍の強姦行為を中国軍の仕業に見せようと謀略を企てる狂人=日本軍と、それに金品と脅しで従い、命懸けで救済に奔走する外国人の恩を仇で返す馬鹿者=中国人がいることへの怒りの吐露≫という解釈をしていますが、笠原教授も編集に加わった南京事件資料の「訳」をみると、「狂人」も「馬鹿者」も「中国人」を指していると考えたほうが良いようです。東京裁判資料を普通に読んでも、狂人=日本軍という解釈はちょっと違和感がありましたが、これで確実といってよいでしょう。以下該当資料を引用します。
 日本軍は安全区における私たちの尽力を無に帰そうとしている。哀れな中国人たちを脅迫して、私たちが言ってきたことを否認するよう仕向けている。なかには、略奪や強姦、放火は日本軍の仕業でなく、中国軍がやったのだといわんばかりの中国人もいて、私たちは狂人や馬鹿を相手に今まで苦労してきたのだろうかと情けなく思う時がある。外国人たちはみな、この厳しい試練を乗り越えて、よくぞ生きてきた、と不思議に思う。

(『南京事件資料集1 アメリカ関係資料編』P266より)
 この引用文ですが、実はグース氏のページでは最後の一文が抜けています。しかしここでは参考のため載せておきます。
 笠原教授が、「狂人=日本軍」としなければならなかった理由は、マッカラムが中国人を「狂人」と罵倒しているとした場合、「証言者が脅迫された」という根拠が揺らぐという理由からと思われます。上でも説明しましたが、脅迫された哀れな中国人を「狂人」と罵倒することは常識的では考え難いので、「証言者が脅迫された説」は、マッカラムの根拠のない推測であると考えて良いでしょう。
 正直な話、私にはさっぱり意味が理解できません。日本語能力の問題なのでしょうか。どなたか意味が分かるという方がいらっしゃったら教えて下さい。

 それはともかく、今度は「狂人」と「馬鹿(馬鹿者)」が誰を差すかという問題です。上でも書きましたが、なぜグース氏は訳文Aと訳文Bを比べてどっちが正しいという判断を下せるのでしょうか。普通こういう場合、原文にあたるべきだと思うのですが……。
 ちなみに該当部分の原文はこうです。
I feel sometimes that we have been dealing with maniacs and idiots and I marvel that all of us foreigners have come through this ordeal alive.

(『EYEWITNESSES TO MASSACRE』ペーパーバック版P238より)
 英語は非常に苦手ですが、問題の箇所が「maniacs and idiots」であることぐらいは分かります。辞書などでmaniacという単語を調べれば、略式で「凶暴な人」、古い意味で「狂人」を差すようです。半世紀前の英文は古文かなと少し悩みますが、個人的には「凶暴な人」とする方が自然に思えます(この点で私は笠原氏の解釈も少し違うのではと思っています)。

 というのも、原文では「外国人全員が生き延びたことを不思議に思う」という内容も含めて一続きの文になっているからです。少なくとも中国人の難民は外国人の生命を脅かしたりはしないでしょうし、やはりmaniacsは日本軍を差すと解釈するべきでしょう。

 私が不思議に思うのは『南京事件資料集』の「私たちは狂人や馬鹿を相手に今まで苦労してきたのだろうかと情けなく思う時がある」という訳です。原文に情けないというニュアンスの単語はないと思うのですが……。これは誤訳のような気がします。

 そしてもっと不思議なのは、それを無批判に肯定し、狂人=中国人とする(意味不明な)自説の根拠に使うグース氏の態度です。もしかしたら英文資料を手に入れていないのかもしれませんが、だったら自信ありげに書くなよと思うのです。
 完全な邪推なのですが、グース氏はすべて知った上で「誰もわざわざ確認しないだろう」と思って堂々と嘘を書いているのではないかとさえ思います。『南京事件資料集』の最後の一文を載せなかったのも、狂人=日本軍と感じさせないためではないかと……。


 この後、グース氏は東中野氏の著作を引用し、マッカラム日記の引用のしかたは悪くないとか書いてますが、「まるで理解できない&納得できない」としかコメントできませんので、これで終了とします。
 あー、疲れた……。
56 hits

[623]Re(1):グース批判その1
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 タラリ E-MAIL  - 05/7/20(水) 22:47 -

引用なし
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   ▼トロープさん:
はじめまして。行き届いた反論の作成ご苦労さまです。

グース氏の文章はざっとトレースするだけでも大変であり、またその中にはいくつかトリッキーな論理展開がなされています。トロープさんの反論で論点は尽くされていると思いますが、人が替われば別の言い方をする場合もあります。私の意見・感想を記しますのでご笑覧下さい。

>
 一つは、東京裁判に提出された国際安全区委員のマッカラムの日記を「支那人の中から、強姦は支那軍がやったのだと証言する者が現れる」と中国軍強姦説の「例証」に引用している(二七七頁)。ここで、東中野氏は以下のように欺瞞的な引用の仕方をする。
>
 一九三八年一月八日――今、日本兵は安全地帯における我々の努力を信用せぬように試みております。彼らは貧賤な支那人を脅迫して、我々が云った事を否認させようとします。支那人のある者は容易に掠奪・強姦および焼打などは支那軍がやったので、日本軍がやったのではないと立証すらいたします。
> 我々は今、狂人や馬鹿者を相手にしているのだと時々考えます。また我々外国人は全部生きてこの厳しい試練を経たのだと不思議と思います。(洞富雄編『南京大残虐事件資料集(1)極東国際軍事裁判関係資料編』青木書店、一九八五年、一二五頁)
 東中野氏は右のマッカラム日記の傍線部分だけを引用して中国軍強姦説の「例証」にしているのである。マッカラム日記は、安全区国際委員会のメンバーが日本軍の残虐行為を阻止すべく日本大使館やアメリカ大使館に対して不法行為を告発、抗議しているのに対して、日本軍の特務機関関係者が、貧しい人々を金品で買収し、かつ「言う通りにしなければ命を保証しない」といった類の脅迫をして、安全区委員会の抗議している日本軍の暴行は、実は中国軍が行なったものだと証言するように迫り、実際にそれに従った難民、中国人がいたことを書いている。「狂人や馬鹿者を相手にしている」というマッカラムの激しい言葉は、日本軍の強姦行為を中国軍の仕業に見せようと謀略を企てる狂人=日本軍と、それに金品と脅しで従い、命懸けで救済に奔走する外国人の恩を仇で返す馬鹿者=中国人がいることへの怒りの吐露なのである。その買収、脅迫された中国人のウソの証言を、中国軍強姦説の「例証」に「悪用」している学者が現在の日本にいることを天国のマッカラムが知ったら、なんと言うだろうか。
>
>(『南京大虐殺否定論13のウソ』P210-212より)



> さて、私としては笠原教授の論考には特に異論はありません。ちょっとどうかと思う部分もないではないですが、概ね妥当なもので・・・

その通りだと思います。

>
■第一の問題点
> まず東中野氏教授の引用は「中国人証言者についての資料の部分」を引用したものです。つまり、「中国軍が犯罪を行ったと証言した中国人が存在する」という資料を引用したということですから、該当資料の解釈や信憑性は別の問題として議論しなければならないということです。
>
>(1)中国軍が犯罪を行ったと証言した中国人が存在した。
>(2)マッカラムはその中国人が買収・脅迫されと考えた。
>
> ということですから、資料として(1)の部分を引用することは別に問題はないと考えられます。(無用な議論を避ける為に、東中野教授がこういう説明をしてから引用すればよかったということは確かですが)。資料を引用する場合は、出典を明記して、資料の部分を引用すればよいわけで、掲載者の意向に縛られる必要がないことは説明する必要はないでしょう。この場合資料を掲載したマッカラムの意図は無関係で、「中国人がそういう証言を行ったという事実」が重要ということです。


グース氏の論法は議論の対象に対する定義づけから入るのが常ですが、そこからトリックが始まるのも常です。

>「中国軍が犯罪を行ったと証言した中国人が存在する」という資料を引用したということですから、

ここから、少しずつ誤った記述(トリックの開始)になります。
グース氏が「資料」と呼ぶ部分の原文は

(A1)彼らは貧賤な支那人を脅迫して、我々が云った事を否認させようとします。
(A2)支那人のある者は容易に掠奪・強姦および焼打などは支那軍がやったので、日本軍がやったのではないと立証すらいたします。

のはずです。元々短い文章ですからそのまま書けばよいくらいですが、あえて要約するならば「日本軍が中国人を脅迫して日本軍の犯行でないと言わせた、中国軍の犯行であると言う中国人もいた」という資料です。これを「中国軍が犯罪を行ったと証言した中国人が存在する」という資料と呼ぶのは不適当です。

しかし、資料名をこのようにしたため、資料の一部の提示が資料名と同じという奇妙なことになってしまいました。
(1)中国軍が犯罪を行ったと証言した中国人が存在する

続いて
(2)マッカラムはその中国人が買収・脅迫されと考えた。
とあります。

(2)は資料の一部というのは不適切です。なぜなら、余計な部分「マッカラムが・・・考えた」がくっついています。

資料というのは「話者A」が「BはCである(をした)」と語るという形をとっています。ただし、話者の名前は資料名の中に存在し、通常は特に表示されません。ところが(2)ではわざわざマッカラムの考えであることを強調していますので、資料そのものではなく、グース氏の論理展開の一部ということになり、それが文(1)と並べられています。ここにいたって、この二つの文はグース氏が提示する資料(の一部)ではなく、資料解釈の一部であることが明らかになります。

「中国軍が犯罪を行ったと証言した中国人が存在する」という「事実」を抽出したのも、さて買収・脅迫による、というマッカラムの判断は正しいのか、と話を進める下準備です。

つまり、資料の一部を提示するように見せかけつつ、次第にグース解釈に持って行っているのです。ここがトリックです。

さて、東中野引用に帰りますと、資料の指示する方向とは逆の方向で資料の一部を自説に有利なように引用したことになります。これは東中野原文で見れば誰の目にも明らかです。グース氏はそこのところをもう少し手間暇かけて歪めた資料解釈をしてから「引用」した方がいいよ、と言っているわけです。


■第二の問題点
> 証言をした中国人が、本当に脅されたのか、もしくは買収されたのかについては確実な資料は無いようです(提示されていない)。マッカラムの日記には、日本軍の特務機関関係者が工作を行ったとか、「言うとおりにしなければ命を保証しない」と言った類の脅迫があったとかというような”具体的”な事は書かれていません。 特に、買収が行われたとは一言も書かれていません。(笠原教授の想像が巧みに挿入されているということ)
 

>グース氏はマッカラムの記述の信憑性を疑います。確かに、この日記だけでは彼がどういう根拠であれを書いたのか不明です。しかし、根拠が書かれていないことを理由に記述の信憑性が下がるという議論は成り立たないと思います。

その通りです。
さらに言いますと、資料はまず、「話者が真実を話している」という前提のもとに最も合理的、蓋然性の高い解釈がされるべきものです。その努力をしてもどうしても矛盾が露呈する場合に、当該部分が誤った認識や誤記憶、錯誤によると判断されるのです。

マッカラムの日記には「中国人が偽りの証言をさせられた」ことが確信をもって書かれているだけで、これを疑う根拠は日記中には見あたりません。

話者の示す事実の裏はとってあるのか、ないならウソだろうと言うことは、defaultを偽に設定することですから、資料を基にした議論とはなりません。そのようなことを言うのでしたら、「中国軍が犯罪を行ったと証言した中国人が存在する」と言ったというグース氏の要約すらも、「証言した中国人がいた」という部分について根拠が示されていないので放棄しなければなりません。


>
 結論を言ってしまうと、中国軍の犯罪を証言した中国人が、買収されたとか、脅迫されたというのは、マッカラムの想像にすぎないという可能性があるということです。脅迫が行われたというような噂を、潜伏中の中国兵が流布したという可能性はあるでしょうが、証言者が勇気をもって真実を語ったという可能性を否定できるものではありません。これらの中国軍の犯罪を証言した中国人がウソをついていた。すなわち、証言した中国人が買収・脅迫されたという確認をする為には、買収・脅迫が行われている現場を抑えるか、証言者本人から話を聞くかしか方法がないことになります。国際委員会の外国人が裏取引の現場を抑えたという資料は見当たらないし、マッカラムの日記にも記されていませんから、「現場を抑えた説」は現状では除外して構わないでしょう。すると、本人に直接確認したという可能性しか残らないことになります。
 

マッカラムの想像と言えばそれまでですが、想像には「根も葉もないまったくの空想」と「状況からしてそうとしか考えられない推測」とがあります。

一九三八年一月八日の記事の語り口から、マッカラムが諸般の事情からして、少なくともそうとしか考えられないと確信を持って語り、日本軍の「仕業」について怒りを込めて記していることは明らかでしょう。これを覆すにはグース氏の側にこそそれなりの反証の積み重ねが必要でしょう。すなわち、マッカラムの記載が正であるというdefaultをおいてそれが事実と違う証明が求められているだけの話です。


>
 本人に確認した結果、「証言しなければ殺されていた」というような具体的な話があった場合、「ウソの証言した中国人もまた哀れな被害者」ということになります。また、脅迫と共にわずかな金品を受け取ったとしても責めることはできないでしょう。するとこれら哀れな中国人に対するマッカラムのこの表現は如何なものでしょうか?。
>
>≪我々は今、狂人や馬鹿者を相手にしているのだと時々考えます byマッカラム≫
>
> 脅迫されて、止むを得ない事情で事実ではないウソの証言をせざるえなかった中国人を「狂人」とか「馬鹿者」と罵るとは普通の神経では考えられません。つまり、マッカラムは証言者本人から脅迫行為が行われたという確証を得ていないし、現場を抑えた訳でもない。単なる想像で「中国人たちは脅迫されたに違いない」と考えたということでしょう。


「我々は今、狂人や馬鹿者を相手にしているのだと時々考えます」というマッカラムのコメントが「普通の神経では考えられない」というグース氏の主張には道理がありません。
まず、「証言しなければ殺されていた」は笠原氏の表現にはありましたが、マッカラムはそこまで言っていません。そのような極端な脅迫でなくても、日本軍に有利な証言に導くことは可能です。明確な指示はなくとも、日本軍の求める証言の方向というのは明らかであり、それを拒否すればいい方向には行かないという威圧があれば日本軍に有利な証言に至るもの出現するでしょう。事実、日本軍には威圧には十分な「実績」がありました。

また、安全区に残った中国人は一様に貧しく、また食料に事欠いていたのですから、わずかな金品で証言を変えることはありえたでしょう。それでも、「中国軍がやった」とまで言うのは中国人のために働いてきた安全区委員会の努力を無にするものですから、嘆きと怒りの混じった感情を込めて「馬鹿者」というのも当然でしょう。

ですから、マッカラムのコメントが「普通の神経では考えられない」には同意できませんし、それを根拠とした「確証を得ておらず、単なる想像で書いた」という推定にもまったく同意できません。

グース氏の理屈では「脅迫があれば、馬鹿者と書かない」、しかし「馬鹿者と書いてあるから脅迫ではない」となるようです。マッカラムは同時に「脅迫して否認させた」と書いています。資料の解釈としては資料のすべての文言が矛盾なく整合する解釈をすることが優先されます。「脅迫して否認させた」とあるからには「脅迫があったとしても、馬鹿者と書きうるくらいの程度の状況であった」などの解釈をすべきでしょう。あらかじめ、任意の部分の解釈を完全に固定化した上で、その解釈と食い違う記載があれば資料に虚偽事実が書いてある、と決めつけるのは正しい態度ではありません。

マッカラムはそれまで日本兵の暴虐の方が中国兵の暴虐より、件数、規模、残酷さにおいて遙かに深刻であるという認識を持っていたことは明白です。また、マッカラムは日本兵が中国人をいろんな場所で脅迫、威嚇して欲しいものを手にしていたことも知っています。マッカラムが個別の事例について脅迫行為の有無について調べたかどうか、不明ですが、中国人があえて自分の利益にならないような証言をしたとすれば、日本軍の脅迫や、利益誘導のためにそうし証言をしたのだと推定したとしても無理はないでしょう。


>
■冷静に考えるとこのような結論になります。
> 国際委員会の外国人は、日本軍が全ての犯罪を行っていると考えていたが、中国人難民たちは必ずしもそうは思っていなかった。だから、容易に≪支那人のあるものは容易に掠奪・強姦及び焼打ちなどは支那軍がやった≫というような証言が出てきたということでしょう。文章表現から考えると、容易にこういう証言者が出てくるということは、中国軍の犯罪を感じていた証言者が一人二人ではなかったというように考えられます。


>必ずしもそうは思っていなかった。だから、容易に≪支那人のあるものは容易に掠奪・強姦及び焼打ちなどは支那軍がやった≫というような証言が出てきた

上記の通り、マッカラムが「確証を得ておらず、単なる想像で書いた」という推定がまったく成り立たないのでグース氏のこれ以上の推定も意味がありません。

日本語訳文を確認しましょう。
#支那人のある者は容易に掠奪・強姦および焼打などは支那軍がやったので、日本軍がやったのではないと立証すらいたします。

「と立証すらいたします」です。脅迫されて否認したばかりでなく、一部のものは(軽薄にも自らの立場をいっそう悪くする)立証でさえする。

そういう人間が一人か二人か、あるいはもっといたかが問題ではありません。そういう「愚かな中国人」がいた、そういう中国人が言うことには信憑性はまったくないのだ、ということをマッカラムは言っています。

少なくとも「マッカラム自身が、彼にとって十分納得できる根拠から、理由のある推定をしている積もりである」ことは文章から読みとれます。したがって、グース氏がいくら彼の文章を斜めから読んでも逆さから読んでもマッカラム自身の推定を覆す根拠が彼の文章自体から抽出できることありません。この強い口調の定言を否定するためにはマッカラムの記述以外からの根拠が必要です。


笠原教授の問題点(1)

日本軍の特務機関関係者が、貧しい人々を金品で買収し、かつ「言う通りにしなければ命を保証しない」といった類の脅迫をして、安全区委員会の抗議している日本軍の暴行は、実は中国軍が行なったものだと証言するように迫り、実際にそれに従った難民、中国人がいたことを書いている。
(『南京大虐殺否定論13のウソ』P211より)



この部分に適切な根拠を付けていないのは確かに笠原教授の手落ちでしょう。しかし、事実関係としてはほぼこの通りか、これに準ずるような事情に基づくものでしょう。トロープさんの指摘とfollowは見事なものです。

それは「ゆう」さんのHPにある資料であり、工作を行ったのを「特務機関関係者」に限らないというトロープさんの指摘です。

笠原教授の問題点(2)

 笠原教授は、否定論13のウソで
≪マッカラムの厳しい言葉は、日本軍の強姦行為を中国軍の仕業に見せようと謀略を企てる狂人=日本軍と、それに金品と脅しで従い、命懸けで救済に奔走する外国人の恩を仇で返す馬鹿者=中国人がいることへの怒りの吐露≫という解釈をしていますが、笠原教授も編集に加わった南京事件資料の「訳」をみると、「狂人」も「馬鹿者」も「中国人」を指していると考えたほうが良いようです。東京裁判資料を普通に読んでも、狂人=日本軍という解釈はちょっと違和感がありましたが、これで確実といってよいでしょう。以下該当資料を引用します。

日本軍は安全区における私たちの尽力を無に帰そうとしている。哀れな中国人たちを脅迫して、私たちが言ってきたことを否認するよう仕向けている。なかには、略奪や強姦、放火は日本軍の仕業でなく、中国軍がやったのだといわんばかりの中国人もいて、私たちは狂人や馬鹿を相手に今まで苦労してきたのだろうかと情けなく思う時がある。外国人たちはみな、この厳しい試練を乗り越えて、よくぞ生きてきた、と不思議に思う。

(『南京事件資料集1 アメリカ関係資料編』P266より)


 笠原教授が、「狂人=日本軍」としなければならなかった理由は、マッカラムが中国人を「狂人」と罵倒しているとした場合、「証言者が脅迫された」という根拠が揺らぐという理由からと思われます。上でも説明しましたが、脅迫された哀れな中国人を「狂人」と罵倒することは常識的では考え難いので、「証言者が脅迫された説」は、マッカラムの根拠のない推測であると考えて良いでしょう。



>正直な話、私にはさっぱり意味が理解できません。日本語能力の問題なのでしょうか。どなたか意味が分かるという方がいらっしゃったら教えて下さい。

自らの利益にならないことをあたかも進んで証言するかのような中国人については少し強すぎる非難ですが、「狂人」と表現することもまったくないではないと思います。この事情は「馬鹿者=中国人」と同様です。「狂人=中国人」解釈が完全に排除されるのでなければ、著述者の証言を証言内容自体によって虚偽ときめつけることはできません。したがって「狂人=日本軍」説でなければ「証言者が脅迫された説」の信憑性がなくなるというのは不適切です。

また、それ以上に「狂人=日本軍」説のほうがより整合性が高いのはトロープさんご指摘の通りであり、この解釈によってグース解釈は完璧に破綻します。

     ◇         ◇          ◇

さて、今回のトロープさんの解析は精緻なものですが、問題はあまり南京事件を知らないひとに、如何にわかりやすく書くかです。グース氏のホームページの文章は非常にツルツルと読みやすくできています。今回の文章では、東中野、笠原、グース氏それにトロープさんの重層的な反論になっているので、その点が煩雑になります。できるだけ、東中野、笠原の記述を意識させないように、適宜にカットしつつ、まとめることが必要です。また、私の文章ではマッカラムが推定するのに理由があったという具体的事例についてマッカラムの日記から例証を提示する手間を惜しんでいますが、このへんをきちんとやると説得力が増します。

グース氏の論理は本質的に詭弁にすぎませんが、隙があれば非常に些末な部分から論敵をひっくり返すような構成力はあります。ちょうど関節技に長けたプロレスラーの技を見るようです。掲示板で対決すると手強い相手ですが、解析の時間を十分に使える場合には勝負は必ずや真理の側にあります。再反論ができないよう固めて下さい。

今後とも続編を期待しております。
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[631]Re(2):グース批判その1
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 とほほ E-MAIL  - 05/7/21(木) 15:01 -

引用なし
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   ▼タラリさん:
>>今、日本兵は安全地帯における我々の努力を信用せぬように試みております。彼らは貧賤な支那人を脅迫して、我々が云った事を否認させようとします。支那人のある者は容易に掠奪・強姦および焼打などは支那軍がやったので、日本軍がやったのではないと立証すらいたします。

このマッカラムの証言は日本軍が中国人に対して脅迫等で否認させようとしていた事を主張しておりその根拠として「日本軍がやったのではないと立証すらいたします。」と言う現象を説明しているわけです。こう言う話法と言うのは他の圧倒的な証言証拠によって南京事件が動かしようのない事実である事が確信されているときに使われるわけです。

ですから通常であればこのマッカラムの証言が為されたときの状況を克明に検証した上で証言の真意を掴んでいかねばならないところを、ごく一部だけ取りあげてなかった証拠としているわけです。

どのような事件であれ、例えばオーム真理教の事件であれ一部だけ取りあげればいくらでも「地下鉄事件はなかった」と強弁する事はできます。
地下鉄サリン事件はなかった とほほ     2004/10/18 12:46
<前略>

---
○それなのに道路のあっち側半分は、何事もなくいつも通りに職場に通勤している人の世界なのです。
○道を行く人々は「いったい何があったのかな?」っていうちょっと怪訝な顔をして見ているんですが、その人たちはこっちに入って来ようとはしない。そこはまったく別の世界なんです。足も止めず、我関せずという感じで。
○通産省の門番みたいな人がすぐ目の前に立っています。こっちには3人の方が倒れて、地面に横になって、来ない救急車をじっと待っているんです。すごい長い時間です。でも通産省の人は誰も助けを呼んでくれもしない。車を呼んでくれるでもない。
---

上記の証言を検証してわかるとおり、実際の目撃者の証言では駅周辺は大変静かであった事がわかる、特に通産省が何もしていない、これは考えられない事である、地下鉄は通産省の管轄下にあり、もし「言われているような」事件があったのであれば通産省が何もせずにいるはずがない。またこの証言者が目撃している被害者は3人だけである事にも注目せねばなるまい。


こう言う論法は否定論の常套手段です。
ホロコースト否定論などでも「ルドルフヘスの手記」をめぐって、否定論は「あの証言は暴力脅迫拷問によるものであり信憑性がなく、採用すべきでない」と主張します。当然反論として「温厚な取調べであった」と言う証言を提出します、否定論は「温厚な取調べであったと言う証言」はその【ヘスの手記にある記述】でありこれも当然信用できない、とします。一見理路整然としてますが、では【拷問による証言である証拠】は?と問えば【そのヘスの記述】の中にある証言を挙げるわけです。
まったく論理的整合性にかけます。

否定論者には、いくら資料を読んでも証言を読んでも【自分が結論したい方向に向かっている記述】しか見えないのです。

結局、否定論者がこの一文に異様にこだわるのは
【日本軍がやったのではないと立証すらいたします。】の中の「立証」と言う言葉にインパクトがあるからです、これが「証言」であればここまで強弁は出来ないと思います。
この「マッカラムの言う立証」とは何なのか?を検証する方が効果的ではないでしょうか?
またこの「立証」と言う訳語は正しいのでしょうか?
正しいとすればマッカラムの言う愚かな中国人たちが立証したものとは何なのか?(おそらく個別の事件の極仔細な部分の事だとは思いますが)を検証すべきとは思いますが、そこの部分の資料は焼失しているのでしょうね。

>グース氏の論理は本質的に詭弁にすぎませんが、隙があれば非常に些末な部分から論敵をひっくり返すような構成力はあります。ちょうど関節技に長けたプロレスラーの技を見るようです。掲示板で対決すると手強い相手ですが、解析の時間を十分に使える場合には勝負は必ずや真理の側にあります。再反論ができないよう固めて下さい。

私の投稿で余計、事件を初めて読む人たち、がわけわからなくなってしまわないか心配ですが(^^;

>今後とも続編を期待しております。

同感です。
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[654]Re(1):グース批判その1:東京...
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 渡辺  - 05/7/24(日) 17:45 -

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   トロープさん、はじめまして。

(1)東京裁判の速記録について

 東京裁判では通訳が即座に翻訳し、その内容に問題があればモニターが訂正を加えるというものでした。しかも、その任についた日系二世で二ヶ国語に精通していたものは例外的でした。[1]
 そこで、速記録にある翻訳には、時々不適切な訳があり、言葉の意味にこだわるような議論に使う場合は注意が必要です。
 今回の場合も、「誤訳」が議論をややこしくしているようにみえます。
 まず、「立証すらいたします」とありますが、"Eyewitness to Massacre" p.238 をみますと、ちょっと違います。
 "Some of the Chineese are even ready to prove that the looting, raping and burning was done by the Chinese and not the Japanese."(「(あわれな)中国人のあるものは、掠奪・強姦・放火は日本兵ではなく中国兵によって行われたと立証することすらするでしょう。」)となっています。
 "ready"は、ここでは「〜する覚悟ができている」「(いつでも)するつもりである」などの意味であると思われます。従って、この記述の範囲では、中国兵の仕業だとする証言を実際に行った難民はいないのです。

 『〜13のウソ』が出版された時点(1999年)では、章開元"Eywitness to Massacre"(2001年)は、まだ刊行されていなかったので、笠原氏が日本語速記録に依存したことは、やむを得ないでしょう。
 東京裁判の日本語速記録の翻訳部分を資料として使う場合は、その限界を認識する必要があります。ベイツの証言については"Eywitness to Massacre"に英文の速記録がが掲載されていますが、日本語に訳されたものと比較してみますと、日本語訳にはかなり問題があることが分かります。また、翻訳が悪かったので、証人と弁護人と会話がかみあわなかった部分があることが分かります。

 私の不勉強かもしれませんが、南京事件に関した英語速記録については"Eywitness to Massacre"に掲載された部分以外、刊行されたものはないようです。そこで、3年ほど前にマイクロフィルム化された裁判資料の中から速記録を調べようとしたのですが、膨大な量で、しかも、ありとあらゆる文書が混在していたので断念しました。このあたりというところを調べたら、記号で書かれた速記そのものだったということもありました(^^;
 ということで、修行を積んでから再挑戦したいと思います。

(2)maniacについて

 マイナーなことですが、速記録で、maniacを「狂人」としていることについては問題がないと思います。
 Yahooの辞書で《略式》というのはよく意味がわからないのですが、informal のつもりではないかと思います。
 参考のため、研究社 『新英和中辞典』の記述を転載いたします。
---
ma・ni・ac
    ―[形] 狂気の,狂乱の.
    ―[名][C]
    1 狂人.
    2 《口語》 熱中者,…狂.
---

註[1]『東京裁判ハンドブック』(青木書店) p.31
42 hits

[655]Re(2):グース批判その1:東京...
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 とほほ E-MAIL  - 05/7/24(日) 18:34 -

引用なし
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   ▼渡辺さん:
> まず、「立証すらいたします」とありますが、"Eyewitness to Massacre" p.238 をみますと、ちょっと違います。
> "Some of the Chineese are even ready to prove that the looting, raping and burning was done by the Chinese and not the Japanese."(「(あわれな)中国人のあるものは、掠奪・強姦・放火は日本兵ではなく中国兵によって行われたと立証することすらするでしょう。」)となっています。
> "ready"は、ここでは「〜する覚悟ができている」「(いつでも)するつもりである」などの意味であると思われます。従って、この記述の範囲では、中国兵の仕業だとする証言を実際に行った難民はいないのです。

うん、これでグース氏完全論破ですね(笑)
つまりグース氏の主張は
「トリミングだとか、引用の仕方が悪いとか、そのようなものではなく『日本軍の仕業ではない、と立証した中国人がいたこと』が重要なのだ」
なのですから、少なくともこのマッカラムの記述からはそのような中国人はいなかったことが実証されたのです。

さすがわ思考錯誤・渡辺さん、ありがとうございましたm(__)m

追記として、普通にマッカラム日記を読めば、この「中国人が立証」というのは東京裁判で行われたものではない、と言う事です。否定論はこの辺も微妙に印象操作しているのですが安全委員会等の外国人が日本占領軍に対して苦情を訴えている場面の事です、当然日本軍はそのようなものを相手にしていません。この時の日本軍及び日本領事館が全くそのような苦情を相手にしていない様子は色んな資料に残っておりまして、被害者本人(中国人)を脅かして日本軍の仕業ではない、と言わせたとしても少しもおかしくはない、と言う当時の南京安全区と日本軍部及び公使館の様子をマッカラム日記では表現している事も頭においておかねばならないと思います。
38 hits

[656]Re(2):グース批判その1:東京...
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 うさぎ E-MAIL  - 05/7/24(日) 20:26 -

引用なし
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   ▼渡辺さん:うさぎと申します。
本筋とは関係ない、maniacの件ですが、渡辺さんご自身の、
辞書の指摘にあるように、これは狂人でもある事に
こだわったり、熱中するタイプ
のものをいうようです。
(Websterを見てのこと、www.britannica.comで簡単なものなら
会員にならなくても見れます)その場合、自然に考えて
蛮行に熱中する日本軍か、実際に火事場泥棒をここぞと
ばかりに働いた中国人以外を指す事は無理だと思います。
私は資料に疎いので、実際にどちらであるかは断言できませんが
まあどう考えても前者の気がしますね。ただこんな感じのことを
他で言うと否定派連中はつついてくるから、一応上記のような
ものが私の「公式見解」です。
 あとなおさらどうでもいい事ですが、靖国問題で蒸し返される
東京裁判受諾の話の"accept"ですが、Websterによると語義の3として
3 a : to endure without protest or reaction <accept poor living conditions> b : to regard as proper, normal, or inevitable <the idea is widely accepted> c : to recognize as true : BELIEVE <refused to accept the explanation>
というニュアンスがあるようで、まあ要するに「この結論に不満はありませ
ん」という風に読むのが自然に思われます。一応簡単に法律用語としての
acceptをあたりましたが、民事訴訟関係以外なさそうでした。なお右翼側が
裁判受諾と判決受諾は異なる概念、というのは実際法律関係の辞書等に、特に
英米法関係で区別される由、とのことが指摘されています。ただ、近年は英米
でも区別はあいまいだとか。私は専門家で無いので、推測ですが「死刑」で
あることを受け入れる、つまり「俺は死刑相当の事をした」と認めるのと、
「俺は史上稀に見る幾多の殺人を行ったものとして処刑される事に同意する」と
言うのは違う、ということでしょう。
 最後に。そもそも私はこの春の竹島問題をきっかけに、今まで趣味と仕事の
範囲でしか使っていなかったネットをそれ以外の検索目的で用いて、ついでに
南京事件の検索に用いて、その挙げ句2チャンネルなんかも見るように
なって、どっぷりネットにはまった者ですが、2ちゃんでちょっと気になる
ものを見ました。とほほさんのように覚悟がおありのような左派ではなく、
日和見左派としてはなんかウヨ的気分にもなる情報が2ちゃんに載っていた
のです。
 一応右派の言う「現実主義」と称するものも意味は大いに有る、という立場
から言うと日本の外交はてんでだめ、に思えるので。(その思想がなんであれ、
行政府は立法府から構成された内閣によって制御されるべきで、その内閣が、
隙あれば戦犯を復権させようと考えていることは確かな現状を踏まえた上で判断
するとそうなる)
 それは米議会の、戦争終結60周年を記念する動議の一つで
http://thomas.loc.gov/cgi-bin/bdquery/z?d109:HC00191:@@@X
というものです。(現在の、提案の状態を示すサイト。上院のしかるべき委員会に送られて
審議待ちのよう)この提案ではっきりと
(3) reaffirms the judgment in Tokyo rendered by the International Military Tribunal for the Far East of 1946-1948 and the conviction of certain individuals as war criminals for their crimes against humanity;
このように言明されており、これは下院を399賛成、34棄権、0反対で通って
いるのでした。勿論この場合のthe judgementは裁判全体を指す以外には解釈
しようがないわけです。棄権34のうちどれだけが日本シンパなんでしょうね。
単に「世の中に正義の戦争は無い」と言う信念の持ち主も多そうだし。これが
米国議会の総論として可決された場合、日本の右派はどういう反応を示すのか?
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[657]Re(3):グース批判その1:東京...
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 とほほ E-MAIL  - 05/7/24(日) 21:06 -

引用なし
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   ▼うさぎさん:
> 一応右派の言う「現実主義」と称するものも意味は大いに有る、という立場

現実主義、と言う視点からすると右派の言い分と言うのはまるで非現実的です。右左をうさぎさんがどのように規定しているのかは知れませんが、右派と言うは現実を歪曲して自身の都合の良いように解釈する思想であり、左派というは科学的に現実を把握解決していこうとするものです。

右派が左派を「非現実である」と主張するのは「平和主義」「人権主義」攻撃に用いているのです。つまり右派は「平和」とか「人権」を絵空事・理想論に過ぎないとしてそれを否定しているのです。
科学と言うのは現実がどうなっているのか?と言う真理を追究する学問であり現実をどうするのか?は人間が自由に決めることができるのだ、という原理を曲解しているだけなのです。だから現実をどう動かすか?と言う議論においては右派は非科学的な検証に基く現実を創作します。

例えば非武装論にしろ、私は社会的には決して非現実的な議論とは思っていません。日本くらい国家権力の強い国家であればやる気になれば実現可能であろうし、平和の実現に対しても一番効果的です。しかし、私が現実を見ろ、と言っているのはそれを国民が納得していないと言う事です。国民的合意のないものはいくら科学的に正しくても実現はできないと言う事です。国家権力により実現する理想ではなく民衆の合意により実現せねばならない理想だと言う事です。

私がこの掲示板で管理人として南京事件への、ただの質問や、ここでこんなことを言ってるから反論してくれ、というような投稿を嫌うのは、この事件を各自各人が自分の問題としてきちんと認識してもらいたいからです。知識も何も必要がない真理が必ず勝つから心配せずに議論してくれ、というのは自分できちんと議論したら自分で理解できるからです。この南京事件という問題は主義や思想に関係ありません。真実は一つです、右翼だから否定論になるのでもあるわけではないです。事実を知りたいと思っている人は結論は誰でも同じになります。
否定論者はわかっていて嘘をついているのです、つまり確信犯です。

#ちなみに私が自分が左とか右とか呼ばれることは気にはしていませんが、覚悟を決めた左、と呼ばれたのは初めてです(^^;
この言葉には左であると覚悟したから左的な意見に固執すると聞こえます、撤回してください。私の意見が右である左であると論評する事は構いません。しかし私はそのようなものにはとらわれず自由な立場からこれまでもこれからも主張をします。
47 hits

[658]Re(4):グース批判その1:東京...
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 とほほ E-MAIL  - 05/7/24(日) 21:40 -

引用なし
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   ▼とほほ:
>#ちなみに私が自分が左とか右とか呼ばれることは気にはしていませんが、覚悟を決めた左、と呼ばれたのは初めてです(^^;

でも、私が確信し絶対にこれは譲らない、と言う思想はありますし、これを否定する思想は敵としか認識しません。それは自由主義と民主主義(含む人権論)です。こう言う思想を左と言うなら、そう言う意味での覚悟は確かにしてます(^^ゞ
47 hits

[660]Re(5):グース批判その1:東京...
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 うさぎ E-MAIL  - 05/7/24(日) 23:18 -

引用なし
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   ▼とほほさん:うさぎです。
>▼とほほ:
>>#ちなみに私が自分が左とか右とか呼ばれることは気にはしていませんが、覚悟を決めた左、と呼ばれたのは初めてです(^^;
>
>でも、私が確信し絶対にこれは譲らない、と言う思想はありますし、これを否定する思想は敵としか認識しません。それは自由主義と民主主義(含む人権論)です。こう言う思想を左と言うなら、そう言う意味での覚悟は確かにしてます(^^ゞ
 私がとほほさんについて述べたのはこの点で私には覚悟は無いからです。
いい加減な年になってもクラゲのように漂っていたかったりしたから。ただ
初めてネット上の様々な言説を見たときはびっくりしましたが今では落ち着
いています。別にまだ恐ろしいほどの状況にはなっていないと思うのです。
私は彼の石原氏が首相になってもまだ大丈夫、と思います。こんなことを
言うと未だガイアツ期待のへなちょこ、と言う感じではありますが。
 最後に南京事件についてのとほほさんの、否定派に関するレスに対して
ですが、2ちゃんなどでどこまでが真面目なのか分からないのですが、否定派
連中は何か学問的追求と、ディベートや裁判で勝つ事の意味をはき違えている
感じが濃くします。片言隻句を捉えて否定できれば、歴史上の事実すら消える、
という感じ。これをとほほさんは
「非科学的な検証に基く現実を創作します。」
と仰っているのでしょう。今の日本を楽観視する前段の文章とは矛盾しますが
これに関しては私は本当に無力で、一度変な真理観にはまってしまった人たち
をどう説得すれば良いか分からないのです。
 PS南京事件では海軍の情報はどの程度のものなのでしょう?私の祖父は
事件当時海軍の艦船に乗っていて日記をつけていたのです。10年以上前に
祖母の10年祭の時に遺品としてみたのですが何かを匂わせるような記述が
あったのでした。また海軍の記念アルバムみたいなのものありました。
もしどなたか興味がありましたなら叔父(母の弟)の家に訪ねた際にコピー
なり何なりを取りたいと思います。ただ問題は現存しているかどうか
なんですが・・・。(私の記憶では何かその10年祭の時に色々燃やして
しまったような、でも母に聞くと祖母の直接の所持品以外は遺しておいた
はずとの事)

ともあれ今日はこの辺で失礼いたします。
47 hits

[661]Re(2):グース批判その1:東京...
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 渡辺  - 05/7/25(月) 0:45 -

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   トロープさん、
 先の投稿の「(2)maniacについて」に関して うさぎさんより、返信がありましたので追加投稿いたします。

 maniacについて主たる問題は、だれのことを指しているかということでした。
 難民が脅迫され、その中に何人か「掠奪・強姦・放火」は中国兵の仕業だと言いかねない者がいるという脈略ですから、扱ってきた(have been dealing with)狂人とアホは 日本兵(the Japanese)のことになります。そこで、その後の文で、そんな狂人とアホのもとで起こされた試練の中を外国人がよくぞ生き残れたと驚いているわけです。
 狂人とアホは、『「掠奪・強姦・放火」は中国兵の仕業だといいかねない者』ではありえません。狂人とアホに難民も含まれているとする笠原氏の解釈は、脅迫で「掠奪・強姦・放火」が中国兵の仕業だと証言したもの(裏切り者)がいるとの「誤訳」に引きずられたものでしょう。

 ちなみに、maniacは本来mania(躁病/そうびょう)の患者のことです。殺人狂 homicidal mania、偏執狂 monomania、誇大妄想狂 megalomania、自殺狂 suicidal mania などという言葉がありますが、躁鬱病と関係ないと思いますけどね。
躁病について参考HP↓
http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/print/sec07/ch101/ch101c.html
47 hits

[668]Re(6):グース批判その1:東京...
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 とほほ E-MAIL  - 05/7/25(月) 23:29 -

引用なし
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   ▼うさぎさん:
>ですが、2ちゃんなどでどこまでが真面目なのか分からないのですが、否定派
>連中は何か学問的追求と、ディベートや裁判で勝つ事の意味をはき違えている
>感じが濃くします。

そうなんです、私が全く初めて否定論と議論した時に最初に言った事がこれです(^^;
http://t-t-japan.com/tohoho/talk/nankin.htm#nan1
ただ、これを書き込むときにはこれまた非常に躊躇しました(笑)
それは、日本人の善悪観と合法違法がかなり密着しているからです、合法なら善である、とか裁判での決着は真理である、と言う認識はかなり高いと思います。そこで開口一番裁判と学問は違う、としてしまうと日本人って学問より裁判を信じる傾向にあると思いませんか?

言いたいことは、法の事実認定の目的と学問の事実認定の目的は異なる、法の事実認定はある意味紛争当事者間の決着を付けるのが目的である、だから検察側の立証責任はかなり重い、しかし学問的事実認定にはそうした制約がない、よって学問的な事実認定のほうがより真実に近づける。
と言う事なのですが、これをうまく表現できるか他の人が読んでわかってくれるのか結構私は不安になる(^^;

そういう印象操作という意味では否定論と言うのは反論のしにくい(反論を余人にスラスラと読ませにくい)巧妙さはありますよね。あくまで論理を追いかけていってどうしても理屈っぽく見えてしまうことになる。実際は簡単な事なのですがね。
だから、資料をトクトクとROMの人には読んでもらうのが一番なのですが、この資料と言うのは読んで面白いものではないですし、、、。(^^;

>片言隻句を捉えて否定できれば、歴史上の事実すら消える、
>という感じ。これをとほほさんは
>「非科学的な検証に基く現実を創作します。」
>と仰っているのでしょう。

うん、まあ、そうなのですが一事が万事なのですよ、自論を通すためなら何でも言う(笑)
有事立法の議論をしていたときなんかある右系論客など「今のままの法制では例えば戦車が赤信号を突っ切ると違法になってしまう、だから法整備が必要なんだ」とか言い出したものです。
どこの世界に「有事に戦車が赤信号で身動きできなくなる」などという状況を想定して立法化する馬鹿がいるでしょうか?(^^;
本気でこんなことを言っているなら平和ボケを通り越してただのアホです。

> PS南京事件では海軍の情報はどの程度のものなのでしょう?

うーーん、よくはわかりませんが海軍関係はやはり笠原十九司氏の著作が多いと思います。揚子江虐殺に海軍も参加してますし、、、。
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[674]Re(2):グース批判その1
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 トロープ  - 05/7/27(水) 4:25 -

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   ▼タラリさん:
>はじめまして。行き届いた反論の作成ご苦労さまです。

 お返事が遅くなって申し訳ありません。
 こちらこそ、はじめまして。タラリさんのサイトは何度か拝見させていただいています(いくつかの掲示板での発言も)。

>グース氏の文章はざっとトレースするだけでも大変であり、またその中にはいくつかトリッキーな論理展開がなされています。トロープさんの反論で論点は尽くされていると思いますが、人が替われば別の言い方をする場合もあります。私の意見・感想を記しますのでご笑覧下さい。

 拝見させていただきました。グース理論をどのようなアプローチで否定していくか、という点で興味深かったです。
 グース氏の文章はなんというか論理が捻じ曲がっていますので、何を言いたいのか正しく理解することが最初の困難です。
 タラリさんの論考すべてに感想を述べると長くなりますので、できるだけ短めにまとめて返信させていただくことにします。

>グース氏の論法は議論の対象に対する定義づけから入るのが常ですが、そこからトリックが始まるのも常です。

 よくわかります。グース氏は特殊な定義、前提で話を進めていくため、置いてけぼり感を覚えることがしばしばです。

>グース氏の理屈では「脅迫があれば、馬鹿者と書かない」、しかし「馬鹿者と書いてあるから脅迫ではない」となるようです。マッカラムは同時に「脅迫して否認させた」と書いています。資料の解釈としては資料のすべての文言が矛盾なく整合する解釈をすることが優先されます。「脅迫して否認させた」とあるからには「脅迫があったとしても、馬鹿者と書きうるくらいの程度の状況であった」などの解釈をすべきでしょう。あらかじめ、任意の部分の解釈を完全に固定化した上で、その解釈と食い違う記載があれば資料に虚偽事実が書いてある、と決めつけるのは正しい態度ではありません。

 これもまったく同感です。ある日記の一部の記述を否定する根拠を、同じ日記の別の一部分に求めるなど、奇怪としか思えません。存在しない矛盾をわざわざ発生させることが、グース氏にとっての資料解釈なのでしょうか。

>>正直な話、私にはさっぱり意味が理解できません。日本語能力の問題なのでしょうか。どなたか意味が分かるという方がいらっしゃったら教えて下さい。
>自らの利益にならないことをあたかも進んで証言するかのような中国人については少し強すぎる非難ですが、「狂人」と表現することもまったくないではないと思います。

 いえ、それは理解できるのです。実際のところ、「狂人」が中国人を差すとしてもほとんど違和感はない文章だと思います。
 しかしグース氏は、「狂人=中国人であるとしたら脅迫された根拠が揺らぐ」と書いているのです。私は理解できないのはそこです。中国人を狂人と罵倒した(らしい)マッカラム自身が中国人が脅されたと書いているのに、罵倒を理由に脅迫の根拠が揺れるとする理屈が私にはチンプンカンプンです。

>さて、今回のトロープさんの解析は精緻なものですが、問題はあまり南京事件を知らないひとに、如何にわかりやすく書くかです。グース氏のホームページの文章は非常にツルツルと読みやすくできています。今回の文章では、東中野、笠原、グース氏それにトロープさんの重層的な反論になっているので、その点が煩雑になります。できるだけ、東中野、笠原の記述を意識させないように、適宜にカットしつつ、まとめることが必要です。

 細かいアドバイスをありがとうございます。
 おっしゃる通り、グース氏の文章は無意味に自信たっぷりですから、南京事件についてほとんど知らない人が氏のサイトを読んだら騙される恐れも大きいですね。本心としては私より詳しい方が徹底的な反論を加えてくださらないかと期待しているのですが、あまりに消極的だと思い、自分でやってみようと思ったのが今回の投稿だったわけです。
 しかし読み返してみると、確かにグース批判としてはまとまりがない気がします。実は私は論文の類を書くのが非常に苦手な人間ですので御容赦ください。

>グース氏の論理は本質的に詭弁にすぎませんが、隙があれば非常に些末な部分から論敵をひっくり返すような構成力はあります。ちょうど関節技に長けたプロレスラーの技を見るようです。掲示板で対決すると手強い相手ですが、解析の時間を十分に使える場合には勝負は必ずや真理の側にあります。再反論ができないよう固めて下さい。

 確かに、掲示板で議論する気にはとてもならない相手ですね……(タラリさん方はよく根気が続いたなあ、と他人事のように思ってしまいます)。
 ただ、今後、自分の投稿を適切に修正・編集して完成版にするような気概はありません。本来これは、グース氏のデタラメぶりを少しでも宣伝する助けになれば幸いだ、という低い志で書いた文章に過ぎません。

>今後とも続編を期待しております。

 ありがとうございます。できるだけ努力します。
 実は今回の投稿分だけで疲労困憊&自己満足してしまったため、まだ次の批判対象とするページすら決まっていません(ちなみに今回の批判対象としたページは、たまたま更新履歴でいちばん上にあったという理由で取り上げました)。
 グース批判その2を投稿できるのはいつになるやら……。
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[675]Re(3):グース批判その1:東京...
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 トロープ  - 05/7/27(水) 4:29 -

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   ▼渡辺さん:
>トロープさん、はじめまして。

 はじめまして。サイトや掲示板でのご発言は拝見させていただいています(ってタラリさんに対する返信と同じ挨拶ですね)。

>(1)東京裁判の速記録について
>
> 東京裁判では通訳が即座に翻訳し、その内容に問題があればモニターが訂正を加えるというものでした。しかも、その任についた日系二世で二ヶ国語に精通していたものは例外的でした。[1]

 そうだったのですか……。恥ずかしい話ですが、渡辺さんの投稿を読んで初めて知りました。『南京大残虐事件資料集』にはちゃんとその旨の注釈があるのでしょうか(実はまだ持っていないのです)。とにかく、東京裁判の外国人の証言などは慎重に取り扱わないといけない、ということですね。

> 私の不勉強かもしれませんが、南京事件に関した英語速記録については"Eywitness to Massacre"に掲載された部分以外、刊行されたものはないようです。そこで、3年ほど前にマイクロフィルム化された裁判資料の中から速記録を調べようとしたのですが、膨大な量で、しかも、ありとあらゆる文書が混在していたので断念しました。このあたりというところを調べたら、記号で書かれた速記そのものだったということもありました(^^;
> ということで、修行を積んでから再挑戦したいと思います。

 うわあ、すごい……。その熱意には頭が下がります。私なんてインターネット通販で関連書籍を集めるのが精一杯で、しかも熟読さえしないことがしばしばです。アホ否定派の連中に渡辺さんの100分の1でも真面目に学ぼうとする意志があればいいのに、と思ってしまいます。

>(2)maniacについて
>
> マイナーなことですが、速記録で、maniacを「狂人」としていることについては問題がないと思います。
> Yahooの辞書で《略式》というのはよく意味がわからないのですが、informal のつもりではないかと思います。

 うわ、知ったかぶりで適当に合わせていましたが、略式というのは意味不明だったのでしょうか。個人的な印象では「くだけた表現」ぐらいの意味だと思っていましたので、informalということでお願いします。

> 参考のため、研究社 『新英和中辞典』の記述を転載いたします。
>---
>ma・ni・ac
>    ―[形] 狂気の,狂乱の.
>    ―[名][C]
>    1 狂人.
>    2 《口語》 熱中者,…狂.
>---

 先に白状しておきますが、私の高校時代の英語の偏差値は40を下回るくらいであり、現在でも平均的な日本人よりも英語力が劣っているつもりです。やはり私の英文解釈はあてにならなかったようで……。
 これも恥ずかしい話ですが、たまたまYahooの辞書で「凶暴な人」という訳を見つけて「これだ!」と飛びついたというのが真相です(アホ否定派を笑えないなあ……)。一応、手元の英和辞典でも確認してみましたが、こちらにも狂人としての意味しか載っていませんでした。Yahooの訳もまさか無根拠というわけではないと思いたいですが……。

> 難民が脅迫され、その中に何人か「掠奪・強姦・放火」は中国兵の仕業だと言いかねない者がいるという脈略ですから、扱ってきた(have been dealing with)狂人とアホは 日本兵(the Japanese)のことになります。そこで、その後の文で、そんな狂人とアホのもとで起こされた試練の中を外国人がよくぞ生き残れたと驚いているわけです。

 私ごときが口答えするのも恐れ多いですが、 deal with が「〜を扱う」なのか「〜と付き合う」なのかは断言できないのではないでしょうか。いや、ほとんど意味は変わらないとは思いますけど。
 しかし maniacs と idiots の両方が日本軍を差すという解釈は納得できました。というか、文の流れとしては確かにそう読むのが自然ですね……。

> 狂人とアホは、『「掠奪・強姦・放火」は中国兵の仕業だといいかねない者』ではありえません。狂人とアホに難民も含まれているとする笠原氏の解釈は、脅迫で「掠奪・強姦・放火」が中国兵の仕業だと証言したもの(裏切り者)がいるとの「誤訳」に引きずられたものでしょう。

 実は渡辺さんの投稿を読んで一番ショックを受けたのがマッカラム日記の解釈でした。もしかしたら、マッカラムは中国人を非難してさえいない可能性があるのですね。つまり笠原氏をはじめ多くの人々に、「誤訳」による先入観・予断があったと……。
 自分としてはできるだけ客観的な視点で資料を読むよう努力しているつもりなのですが、それでもなおバイアスは排除できなかったというわけで、他にも同じような失敗を犯しているのではないかと心配になってしまいます。

 失礼ながら渡辺さんの解釈が全面的に正しいかどうかは判断できないのですが、その固定観念に縛られない考え方は非常に勉強になったと思います。どうもありがとうございます。
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[676]マッカラム日記1月9日分
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 トロープ  - 05/7/27(水) 4:32 -

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    きっとスペルミスも大量にあるでしょうが、せっかくですので話題になっている当日のマッカラム日記を『EYEWITNESSES TO MASSACRE』より引用してみます。少しでも議論の参考になれば幸いです。

January 9

Some newspaper men came to the entrance of a concentration camp and distributed cakes, and apples and handed out a few coins to the refugees. And a moving picture was taken of this kind act. At the same time a bunch of soldiers climbed over the back wall of the compound and raped a dozen or so of the women. There were no pictures taken out back.
 The constructive group want to restore electricity and water. The day before the final arrangements were made through Robe to get the workmen back on the job, a military detachment headed by non-commissioned officers went to the British Export Co.'s factory and picking out a group of Electric Light Employees, 43 of them, lined them up and machine-gunned them. The Light Co. was a private corporation. The soldiers without investigation claimed they were government employed. That is the general condition after a month's time and there is little hope of improvement.
 Now the Japanese are trying to discredit our efforts in the Safety Zone. They threaten and intimidate the poor Chinese into repudiating what we have said. Some of the Chinese are even ready to prove that the looting, raping and burning was done by the Chinese and not the Japanese. I feel sometimes that we have been dealing with maniacs and idiots and I marvel that all of us foreigners have come through this ordeal alive.
 We do not know when we will be permitted to leave Nanking. With so few of us we do not want to leave until some more men are allowed to come in. We have been living fairly normally in our bachelor quarters and it has been a grand bunch to be with. All of us have gotten into many amusing situations as well as serious ones and we have jolly times relating them to each other. We could welcome a change from Luchowfu peaches and Chinese cabbage for a diet. How good butter and eggs would taste! But we have plenty of flour, rice and our gardens are still yielding lettuce and carrots and beets. If it is made available by the military there should be enough rice in the city to feed the 200,000 people through the winter. But the economic outlook is pitiful to contemplate. There is no production; only consumption.
 Just heard the family had arrived in Hongkong safety. Praise be! Know where?
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[710]東中野氏「証拠写真を検証する...
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 ゆう E-MAILWEB  - 05/8/2(火) 21:17 -

引用なし
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   グース氏批判ではありませんが、「証拠写真を検証する」に、似たような例がありましたので、参考までに。

まずは、「検証する」の文章です。

******************************

一月二十六日(水曜日)

  「ある女性が今朝病院に入ってきた。一ヵ月以上も前に城内南部に連れ出されたという。(中略)日本軍兵士たちが彼女を毎日七回から九回もレイプして、ついに彼女は使えなくなったので放免された。彼女の経験の結果として彼女の性病の三つの形状は最悪の状態にあるが、しかし勿論日本軍は決してこのようなことはしないし、これらのウソをでっち上げて中国人を元気づけるのは我々外国人なのだ」(南京の聖パウロ聖公会教会の宣教師アーネスト・フォースター師の手紙)
(「検証」P67〜P68)

******************************


素直に読めば、フォースターが「外国人によるでっち上げ」を認めた文章、ということになりそうです。しかし、前の文章と「でっち上げ」部分がどうもつながらないし、何よりも、フォースターがそんな発言を行うとは考え難い。

さて、原文は、と探してみたのですが、残念ながら、青木書店「南京事件資料集」の掲載部分は、1月20日まで。
http://www.geocities.jp/yu77799/siryoushuu/forster.html

しかしどう見ても、フォースターが上のような発言を行うとは信じられない流れです。


この文章、"Eyewitnesses To Massacre"で原文を発見できました。以下、引用します。

 A woman came into the hospital this a.m. who had been carried off to the southern part of the city more than a month ago. Her husband was carried off at the same time and has not yet returned and probably never will. they had been married four years and had had no children.

 J.soldiers raped her from seven to nine times every day and finally released her when she could no longer be used. She has three forms of venereal disease in their worse state as a result of her experience, but of course the J.army never does such things and it is we foreigners that invent these lies to encourage the Chinese!

 So you see we are not exactly popular. But you can imagine what is in store for the Chinese if Japan has her way. After I had investigated the case of the girl who had been shot yesterday, I attended another meeting of our rehabilitation committee which lasted until five.

("Eyewitnesses To Massacre" P137〜P138。なお原文には、改行はありません)


訳してみると、こんな感じでしょうか。東中野氏の翻訳部分は、どうしても我慢がならない部分を除き(a.m.がなんで「今朝」なんだ)、そのまま採用しました。(私の英語力は高卒時点で止まっておりますので、おかしなところがありましたら、どうぞ、ご指摘ください)


******************************

午前、一人の女性が病院に入ってきた。彼女は一ヶ月以上も前、市の南部にさらわれていたのだった。彼女の夫も同時にさらわれ、未だに戻らない。おそらくもう戻らないのだろう。結婚生活は4年間、子供はない。

日本軍兵士たちが彼女を毎日七回から九回もレイプして、ついに彼女は使えなくなったので放免された。彼女の経験の結果として彼女の性病の三つの形状は最悪の状態にあるが、しかし勿論日本軍は決してこのようなことはしないし、これらのウソをでっち上げて中国人を元気づけるのは我々外国人なのだ!

 我々が必ずしも人気者でないことはおわかりだろう。しかしあなたは、もし日本が我が道を行けば何が中国人を待ち構えているか想像することができよう。昨日少女が射たれた事件を調査した後で、私は五時から続いている復興委員会のもうひとつの会合に出席した。

******************************


いやはや、原文の通りに "!" をつけるだけで、印象が一変しました。「しかし勿論日本軍は決してこのようなことはしないし」の前に、「何とまあ」の一言を付け加えたくなりますね。どう見ても、「日本軍が自分の悪さを認めない」ことを嘆く文章でした。

読み返すと、東中野氏、ここはただ原文を忠実に訳しただけで、「ウソ」はついていません。騙されるのは読者が悪い、というわけです。「マッカラム日記のトリミング」の失敗に懲りて、少しは進歩した、ということでしょうか(^^)
41 hits

[711]Re(1):東中野氏「証拠写真を検...
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 ash_28  - 05/8/2(火) 23:36 -

引用なし
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   ash_28です。
突然、失礼いたします。

>She has three forms of venereal disease in their worse state as a result of her experience, but of course the J.army never does such things and it is we foreigners that invent these lies to encourage the Chinese!
>彼女の経験の結果として彼女の性病の三つの形状は最悪の状態にあるが、しかし勿論日本軍は決してこのようなことはしないし、これらのウソをでっち上げて中国人を元気づけるのは我々外国人なのだ!

>いやはや、原文の通りに "!" をつけるだけで、印象が一変しました。「しかし勿論日本軍は決してこのようなことはしないし」の前に、「何とまあ」の一言を付け加えたくなりますね。どう見ても、「日本軍が自分の悪さを認めない」ことを嘆く文章でした。
>
>読み返すと、東中野氏、ここはただ原文を忠実に訳しただけで、「ウソ」はついていません。騙されるのは読者が悪い、というわけです。


この部分は、東中野氏の誤訳と思われます。
(意図的に誤訳しているならば、嘘をついていることになりますが)
「but」が「never」と一緒に用いられるときは、「 …するのでなければ」という意味で、
「but of course the J.army never does such things」は、
「もちろん日本軍がそのようなことをするのでなければ」という意味になります。
したがって、この部分の全訳は、
「彼女は、その体験の結果、3種類の重い性病にかかっているが、
もちろん日本軍がそのようなことをするのでなければ、
中国人を励ますためにそのような嘘をついているのが我々外国人となるのだ!」
となります。
46 hits

[717]ようこそ、ash28さん
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 ゆう E-MAILWEB  - 05/8/4(木) 7:28 -

引用なし
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   ご存知ない方のために紹介させていただきますと、ash28さんは、5年ほど前、「ヤフー」の南京トピで活躍された方です。私も「南京」に取り組んだ初期には、ash28さんの投稿を随分と参考にさせていただきました。こちらでお名前を拝見することは、意外な喜びです。

最も印象が強かったのは、石川達三氏の読売新聞記事全文を、ネットの世界にご紹介いただいたことです。私のページでも、この記事を取り上げる際、ash28さんのお名前を出させていただいております。

http://www.geocities.jp/yu77799/bunkajin.html#isikawa


さて、私は英語が苦手なだけに、ご教授は大変参考になりました。「おかしな訳文を見たら誤訳を疑え」という鉄則通りですね。今書きかけのコンテンツをふたつばかり仕上げたら、その次には「思考錯誤」板への投稿をまとめて「東中野氏の徹底検証 写真検証編」でもつくろうかと考えておりますので、その節には、ご指摘を生かさせていただきたいと思います。

また、東中野氏の「彼女の性病の三つの形状は最悪の状態にあるが」を「3種類の重い性病にかかっているが」と訳し直されたのは、 大変わかりやすくなって、よかったと思います。ひょっとしたらash28さんは、翻訳の「本職」の方なのでしょうか?


ついでに、第三パラグラフは私の訳文なのですが、日本語としてどうもしっくりこない。おそらく誤訳があると思いますので、もしお時間がありましたら、こちらもご指摘いただけると嬉しく思います。

>我々が必ずしも人気者でないことはおわかりだろう。しかしあなたは、もし日本が我が道を行けば何が中国人を待ち構えているか想像することができよう。昨日少女が射たれた事件を調査した後で、私は五時から続いている復興委員会のもうひとつの会合に出席した。
46 hits

[834]Re(1):東中野氏「証拠写真を検...
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 とほほ E-MAIL  - 05/8/14(日) 7:40 -

引用なし
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   ▼ゆうさん:
>読み返すと、東中野氏、ここはただ原文を忠実に訳しただけで、「ウソ」はついていません。騙されるのは読者が悪い、というわけです。「マッカラム日記のトリミング」の失敗に懲りて、少しは進歩した、ということでしょうか(^^)

もう、こうなると松尾氏の同類ですな、学者としての良識は完全に失っている。

16歳の少女
ところで、この少女は検証板にある、この16歳の少女のことですよね?

写真は違う写真なのですが(顔が似ているしベッドや服装も同じなのでそう思う)もう少し鮮明な写真で未来を開くあたらしい歴史には以下のようなキャプションがついてます。

この18歳の少女は、日本軍に拉致され、38日間にわたって、毎日7回も10回も強かんされ、重い性病を移された末に釈放された。
(アメリカ人牧師ジョン・マギー撮影、アメリカエール大学図書館所蔵)
年齢が違うし、検証板でのピッポさんのマギー集にも探す事ができなかった写真を使ってます、キャプションの内容からいっても同一人物だと思いますが年齢や証言内容には東中野検証よりしっかりしたものがありそうですね。


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