「百人斬り」東京地裁判決(部分-044)

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《紹介:鈴木記者への取材記事と鈴木記者の寄稿文》
        • (イ) 鈴木記者に対する取材記事

          鈴木記者は,上記「週刊新潮」昭和47年7月29日号誌上に掲載された記事の中で,取材に答え,

          「  南京へ向けて行軍中の各部隊の間を飛び回っているうちに,前から取材に当っている浅海記者に出あった。浅海記者からいろいろとレクチュアを受けたが,その中で,『今,向井,野田という二人の少尉が百人斬り競争をしているんだ。もし君が二人に会ったら,その後どうなったか,何人斬ったのか,聞いてくれ』といわれた。『そして記事にあるように,紫金山麓で二人の少尉に会ったんですよ。浅海さんもいっしょになり,結局,その場には向井少尉,野田少尉,浅海さん,ぼくの四人がいたことになりますな。あの紫金山はかなりの激戦でしたよ。その敵の抵抗もだんだん弱まって,頂上へと追い詰められていったんですよ。最後に一種の毒ガスである"赤筒"でいぶり出された敵を掃討していた時ですよ,二人の少尉に会ったのは…。そこで,あの記事の次第を話してくれたんです』  」,

          「  『本人たちから"向って来るヤツだけ斬った。決して逃げる敵は斬らなかった"という話を直接聞き,信頼して後方に送ったわけですよ。(中略)従軍記者の役割は,戦況報告と,そして日本の将兵たちがいかに勇ましく戦ったかを知らせることにあったんですよ。武勇伝的なものも含めて,ぼくらは戦場で"見たまま,,"聞いたまま"を記事にして送ったんです』」

          と述べた旨記載されている(乙4)
          また,鈴木記者は,上記「丸」昭和46年11月号誌上において,「私はあの"南京の悲劇"を目撃した」との文章を寄稿し,

          「  この二つの特電にあるように,浅海,光本両記者がまずこの"競争"を手がけ別の部隊に属していたわたしは,紫金山麓ではじめて浅海記者と合流,共同記事として打電された。  」,

          「  検事の喚問は,やはりこの"競争"を「虐殺」として,事実の有無,取材の経緯,そして両将校の"競争"の真意をするどく追求されたが,どの特派員もこの二将校がじっさいに斬り殺した現場をみたわけではなく,ただ二人がこの"競争"を計画し,その武勇伝を従軍記者に披露したのであって,その残虐性はしるよしもなく,ただ両将校が"二人とも逃げるのは斬らない"といった言葉をたよりに,べつに浅海君と打ち合わせていた(証言は別べつにとられた)わけではなかったが,期せずして,『決して逃げるものは斬らなかった。立ちむかってくる敵だけを斬った日本の武士道精神に則ったもので,一般民衆には手をだしていない。虐殺ではない』と強調した。 」

          旨記載している(丁2)
          さらに,鈴木記者は,上記「ペンの陰謀」に「当時の従軍記者として」を寄稿し,その中で,

          「  一体,昼夜を分たず,兵,或いは将校たちと戦野に起居し,銃弾をくぐりながらの従軍記者が,冗談にしろニュースのデッチ上げが出来るであろうか。私にはとてもそんな度胸はない。南京城の近く紫金山の麓で,彼我砲撃のさ中に"ゴール"迫った二人の将校から直接耳にした斬殺数の事は,今から三十九年前の事とはいえ忘れる事は出来ない。」,

          「  戦後,浅海一男君ともどもこの"百人斬り競争"の特電をもとに,市ヶ谷台の東京裁判で,南京虐殺事件の検事側証人として喚問された際,特に二人が強調したのは『二人とも逃げるのは斬っていない,立ち向う敵だけを斬った,虐殺ではない』ということだった。そしてまた,その事を信じての特電だったからだ。  」

          と記載している(乙1)
          なお,鈴木記者は,上記「『南京事件』日本人48人の証言」の中で,阿羅健一からの取材に答えて,

          「  『私は三回の記事のうち,最後の記事だけにかかわっています。南京へ行く途中,あれを書いた浅海(一男)君に会ったら,こういう二人がいる,途中で会ったら何人斬ったか数を聞いてくれ,と言われていた。そこであの記事になった。全体のことはあまり知らなかった』  」,
            (「・・・二人から話を聞いて,本当の話と思いましたか。」との問いに対し)
          「  『逃げる兵は斬らないと言ってました。本当だと思いました。戦後,野田(厳)少尉が,塹壕にいる中国兵にニーライライと言って出てくるところをだまして斬った,と語ったと聞いて,裏切られた思いをしました』 と述べた 」

          旨記載されている(甲36)

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