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死者に対する遺族の敬愛追慕の情も,一種の人格的利益であり,一定の場合にこれを保護すべきものであるから,その侵害行為は不法行為を構成する場合があるものというべきである。もっとも,一般に,死者に対する遺族の敬愛追慕の情は,死の直後に最も強く,その後,時の経過とともに少しずつ軽減していくものであると認め得るところであり,他面,死者に関する事実も,時の経過とともにいわば歴史的事実へと移行していくものともいえる。そして,歴史的事実については,その有無や内容についてしばしば論争の対象とされ,各時代によって様々な評価を与えられ得る性格のものであるから,たとえ死者の社会的評価の低下にかかわる事柄であっても,相当年月の経過を経てこれを歴史的事実として取り上げる場合には,歴史的事実探求の自由あるいは表現の自由への慎重な配慮が必要となると解される。
それゆえ,そのような歴史的事実に関する表現行為については,当該表現行為時において,死者が生前に有していた社会的評価の低下にかかわる摘示事実又は論評若しくはその基礎事実の重要な部分について,一見して明白に虚偽であるにもかかわらず,あえてこれを摘示した場合であって,なおかつ,被侵害利益の内容,問題となっている表現の内容や性格,それを巡る論争の推移など諸般の事情を総合的に考慮した上,当該表現行為によって遺族の敬愛追慕の情を受忍し難い程度に害したものと認められる場合に初めて,当該表現行為を違法と評価すべきである。
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